「イタリアに出来るなら」
電車の中で読んだ日経新聞で、久しぶりに(?)面白い記事を見つけた。曰く・・
「イタリアに出来るなら
本社コラムニスト 土谷英夫
4年ほど前に、この欄に「イタリア化する?日本と題して書いた。テレビのバラエティー番組は、イタリアと日本の国民性の違いを面自おかしく取り上げるが、両国には似ている点がけっこう多い。
列島と半島の違いはあるものの、南北に細長く山が多くて四季がある風土。少子高齢化が進んだ人口構成もうり二つなのだ。
両国ともにさえないのが政治と経済。首相がくるくる代わる。日本は第2の経済大国の座を中国に奪われ、イタリアも1人当たり国内総生産(GDP)で一時抜いていた英仏に水をあけられた。GDP比の公的債務残高は2.2倍の日本が主要国でワースト、1.3倍のイタリアが続く。
そのイタリアで“異変”が起きた。ユーロ危機渦中の昨年11月に就任したマリオ・モンティ首相が仕掛け人だ。経済学者で、大学学長やEU(欧州連合)委員などを歴任した「政治家ではない首相」が、選挙で選ばれた人が1人もいない専門家内閣を率いて懸案を次々片付けているのだ。
イタリア在住の塩野七生さんが、月刊文芸春秋の巻頭随筆で4回続けてモンティ改革を取り上げた。
辛口の作家らしく、最初は、有権者ではなく市場に選ばれた内閣で「(税金を)取れるところならばどこからでも取る、という会計士内閣」と酷評していた。
ところが3回目には「ここ3ヵ月間の成果は、一言で言えば、目ざましいにつきる」「多くの政策が、ハイ次、という感じで実現されている」と手放しに近い好評価に変わった。
欧州メディアが「スーパー・マリオ」と呼ぶモンティ首相が先月来日し、講演するのを聞いた。演説口調ではなく、かんで含めるように話す。年金改革でノルウェーやスウェーデンを見習った、と語り、「われわれは北欧的な地中海国家になる」と聴衆を笑わせた。
この半年、消費税(付加価値税)などの増税、年金受給年齢の引き上げ、既得権益に切り込む競争促進策など、痛みを伴う政策を次々に実現した。仕上げが正社員の解雇条件を緩める労働市場改革で、内閣の命運をかけるという。
イタリアの事情を長々と紹介したのは、ほかでもない。「決められない」日本の政治家も、少し見習っては、と思うからだ。
・・・・・(中略)・・・
日本国憲法は、首相は国会議員、閣僚の過半数も国会議員と定めているので、残念ながら(?)イタリア式の非政治家内閣のピンチヒッターは期待できない。プロの政治家に心を入れ替えてもらうしかない。
同じ第2次大戦での敗戦国でも、ドイツはメルケル現首相が戦後8人目(旧西独時代から数えて)なのに、日本とイタリアは、新憲法下で30人を超える首相が生まれては、消えた。
日伊に共通するのは二院制の設計ミスだ。日本では「強すぎる参議院」のせいで「ねじれ国会」が政権の命取りになりやすいが、イタリアでは日本以上に上、下両院の権能が等しく、どちらかで信任を失うとい政権は崩壊する。
モンティ政権は、選挙が怖い既成政党が政権担当に尻込みし、大総領が任命した非政治家内閣を両院が信任して、“ポテンヒット”のように生まれた。来春の選挙までの期間限定内閣だが、あまりの活躍ぶりに、焦った旧与野党が歩み寄り、議員定数の削減を含む議会の自己改革に乗り出した。
日本の既成政党も「消費税の前に」もさることながら「消費税の次に」すべきことを、もっと論じではどうか。それは憲法改正も視野に入れた「決められる政治」への枠組みづくりだ。」(2012/04/16付「日経新聞」p5より)
何と“目から鱗”の議論ではないか・・・。EUで、ギリシャに続く危険な国はスペインとイタリア・・・と言われていたのに、この快走は何としたことか・・・。
これを可能にした原因は何だろう?この内閣は「来春の選挙までの期間限定内閣」だという。つまり最初からピンチヒッター。その打席の後(選挙)は気にしなくて良い。つまり怖いもの無し・・。よって何でも言えるし、何でも出来る・・・。
この記事でも指摘しているように、日本では憲法との関係で実現は不可能。でも想像するだけなら許されるだろう・・・・。では誰にする??・・・
人選が難航している次期東電会長の人事。AERAでは、とうとう「菅さんではどう?」という冗談のような記事も出ているという。
とにかく今の日本では人が居ない。イタリアと同じような経済学者では、小泉内閣の竹中さんのような例もあるが・・・。
そうだ、(もう死んじゃったけど)昔の土光さんなんてどう??・・・
今日の夕方のニュースは、石原都知事が「都の予算で沖縄の尖閣諸島を買う」と言ったとかで大騒ぎ中・・・。あ~ぁあ!
政治改革で、イタリアにも負けた惨めな日本の政治ではある。
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