「最愛の妻の死を乗り越えて」~国立がんセンター名誉総長 垣添忠生氏の話
NHKラジオ深夜便「最愛の妻の死を乗り越えて~国立がんセンター名誉総長 垣添忠生」(2012/02/15~16放送)を聞いた。
氏については、2年ほど前に当サイトで書いた事がある(ここ)。この時の記事は、新聞の記事からの情報だったが、今回は肉声。背景は知っていたが、氏の死生観やがん治療の現実について、色々と考えさせられた。放送の一部を紹介する。こんな死の瞬間もあるのか・・・・・
<「最愛の妻の死を乗り越えて」~垣添忠生氏の話(1)>
<「最愛の妻の死を乗り越えて」~垣添忠生氏の話(2)>
まだ離婚も成立していない時に、まるで駆け落ちのようにして一緒になった12歳年上の妻。亡くなってからちょうど4年になるという。その喪失感からの脱出が今日の話のメインテーマ。それを「グリーフケア」(悲嘆のケア)の視点、そして自らの再生、つまり「グリーフワーク」の視点から話されていた。先ずは泣く・・・。そして、仕事に没頭することによって少しだけ忘れる・・・。そして徐々に体を動かして行くと、精神も徐々に立ち上がって行く。まさに精神と体は一体だという。それに、仏教の100日法要などの精神的なケジメも有用。そして、1周忌の後に妻の絵画の遺作展をしたりして・・・。
しかし「話をしたい」相手が居なくなるということは、特に子供がいない場合はツライ。妻はまさに自分の分身なので・・(詳細は、直接放送を聞いて下さい)
夫が、国立がんセンター総長というがん治療の最先端のトップに居ても、ガンの根治は難しい。そこに現実がある。氏の「妻を看取る日」という本に詳しいらしいが、抗がん剤治療は、本当は奥さまは望んでいなかったという。しかし氏のがんセンター総長という立場を考えて抗がん剤治療を我慢して受けたとか・・・。
抗がん剤治療も最初は劇的に効く場合もあるが、2回目からはなかなか難しいらしい。こんな医療の最先端からの例を聞くと、我々素人には、抗がん剤治療について、怯(ひる)んでしまう・・・。
そして「家に帰りたい」という気持ち。奥さまは結局自宅で亡くなったわけだが、これは非常にまれなケース・・・。多くの人は、家に帰りたい、という希望も叶えられず、そのまま病院で亡くなっている。家で亡くなるのは、誰もが願うものの、現実は真に難しいらしい。
そして氏の死生観。「もういつ死んでも良い・・・」という境地だと言っていたが、自分の人生のケジメの付け方について、着々と手を打っておられる。奥さまと同じように、葬儀はしない。遺骨は墓を作らず、思い出の中禅寺湖に奥さまと一緒に散骨・・・。キチンと遺書を残して、動産は寄付、遺品は整理業者と契約しようかと・・・・。
この番組を聞いて、自分なりに捉えたこれからの自分の“行動指針”!?
①カミさんへ100%頼っている現在の生活からの脱却(←これは無理なので、最初からチャレンジしない!)
②氏が勧めておられるがん検診をどうするか?(今のところ、受けるつもりはないが)
③もし自分にがんが見つかったとき、抗がん剤治療を受けるか否か?(1度目はともかく、2度目以降は・・・)
④いよいよ死期が近くなったら、どうしても自宅に帰るぞ!(←カミさんに良く言っておく。守ってくれなかったら、お岩さんのように化けて出る!)
⑤遺言と遺産の整理・・・(そろそろ考える?)
⑥そして、もし万が一、カミさんが先だったら・・(これは全くの想定外だが、少しだけ料理も習っておく??)
・・・・・
平均寿命まで生きると仮定しても、あと15年。そう遠い年月ではない。垣添さんに比べると、あまりに平々凡々な我々だが、逆境に向かう対応は、みな同じ。大いに参考になる話であった。
(関連記事)
「妻見送った医師の苦悩」~前国立がんセンター総長 垣添忠生氏(2010/02/03)
「悲しみを癒やす旅路」~日本対がん協会 垣添忠生会長の話(2019/06/16)
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コメント
私は、40代独身の女性なのですが、
わずか数年のうちに66歳の父、68歳の母、94歳の祖父を亡くしました。
祖父の面倒をみるのは、私の仕事になったのですが、今は介護制度があるので、デイサービスとショートステイでなんとか乗り切れました。
40代である同世代に、
遺言の話やお墓の話をしても
誰からも理解してもらえないので
60代の自分の大学時代の恩師くらいしか
理解してもらえません。なかなか孤独です。
両親の葬儀をやりましたが、
お寺にも百万単位のお金をとられ
葬儀にも百万単位のお金をとられ・・
葬儀ビジネスと寺のシステムというのには
甚だ疑問をいだきました。
それで私も、自分のときは
もう葬儀はなくてもいいかなと
最近思っています。
投稿: あんころもち | 2012年2月25日 (土) 03:11
追記:わたしは、すでに遺言と遺品?の整理はしています・・。
ガンは、準備ができる病気といいますが、
ガンとのたたかいは、精神力と体力がいりますので、遺品の整理どころではありません。
だいいち、生きようと精いっぱい頑張っている時に、誰も遺品の整理などしませんでした。
元気な今、40代のうちから荷物はできるだけ少なめにして、
自分の遺品は自分で始末をして
死んでいきたいなと思います。
【エムズの片割れより】
亡くなる時は、いちどきなのですね。自分も昨年近親者2人を亡くしました。
それにしてもまだ40代というのに、整理とはお早い・・・。でもガンになったら、遺品の整理どころではない、という話は納得できます。自分もそろそろ整理を進めようかと思っています。
投稿: あんころもち | 2012年2月25日 (土) 03:15