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2012年1月 8日 (日)

「気持ちを切り替える」~いまから変えていく

先日の新聞にこんなコラムがあった。
気持ちを切り替える~いまから変えていく
 年が改まって、新しい目標を立てた人も多いはずだ。正月は、気持ちを切り替えるきっかけになる。私たちは悩んでいるとき、過去を振り返って後悔していることが多い。なぜあのようなことをしたのかと考え込み、自分を責める。
 自分がうつ病になった体験を「やまない雨はない」という本にまとめた気象エッセイストの倉嶋厚さんは、そのときの心境について「過去を振り返れば後悔ばかり、先を見れば不安ばかり」と話されている。しかし、人生予報は当たらないとも話される。
 これから先、何か起こるかわからない。過去を変えることもできない。ただ、いまから変えていくことはできる。いまから準備をすることはできる。逆に言えば、過去を変え将来を変えることができるのは、いましかないのだ。
 同じくうつに苦しんだ女優の音無美紀子さんは、一番早く行動できるのは「いま」だと、講演でお話しになる。それぞれに体験に基づく言葉だけに重みがある。私が監修しているウェブサイト「うつ・不安ネット」の内容分析からも、過去からいまに視点が移ることでこころが軽くなることが示されている。
もっともこうした発想は、日本ではなじみの深い考え方でもあるようだ。禅では、私たちが瞬間瞬間に生まれ変わっていると考えるという話を昨年末聞いた。確かにやまない雨はない。今年もまた過去を認め、前を向いて生きていきたいと考えている。(国立精神・神経医療研究センター 大野 裕)」(2012/01/06付「日経新聞」夕刊p7より)

自分の過去を振り返った時、“ベスト”と言える人がどれだけ居るだろう? ほとんどの人は、自分の過去の行動を反省する。

今月(2011年1月)の日経新聞「私の履歴書」は、1997年から10年間、英首相を勤めたトニー・ブレア氏である。43歳にして英国の首相になった人も、こんなことを書いている。
「・・・・首相退任後、私は中東和平の支援や、異なる宗教間の対話促進のため世界を飛び回っている。58歳になった今、感じるのは自分が指導者だったときにいかに無知だったか、世界にはいかに多くの学ぶべきことかあり、その変化のプロセスがいかに魅力のつきないものかということだ。時々、自分があまりに若くして指導者になってしまったのではないかと思うほどだ。・・・」(2012/01/01付「日経新聞」p48より)

自分が現役の頃、“過去の自分の行動を後悔し、反省するということは、少なくても今の自分はその時点よりも成長した証なのさ・・”とうそぶいていたもの・・。
そうかどうかは分からないが、ブレア元首相に限らず、トシと共に分別が付いて行くのは誰も経験する。

後悔の過去ではなく、“栄光の過去”がある人は、“その時代なら戻りたい”と思うもの。それも、どの位の人がそう思うのだろう? どの位の人が自分の過去にOKを出すのだろう・・・。

同じく日経新聞のブレア氏の「私の履歴書」に、こんな一文もあった。
「・・・母は私か22歳のときにがんで亡くなった。容体が悪化したのは私か大学の卒業試験の準備で忙しい時期だったので、父と兄は母の本当の容体を私に知らせなかった。大学を卒業して帰省すると、駅まで迎えにきてくれた父は「お母さんの具合がとても悪いんだよ」と言う。「知っているけど、まさか死にそうなわけじゃないんでしょう?」。私は父が安心させてくれることを期待していた。「いや、どうやら危ないんだ」。それが父の答えだった。
 死が直前に迫ったとき、私は母にたずねた。「もう一度若いころにもどって人生を生きてみたい?」。母は答えた。「いいえ。あまりにも多くの苦痛があったわ。もう一度繰り返したいとは思わないよ」「だけど母さん、人生は幸せだったんでしょう?」「もちろんそうよ。だけど、もう一度繰り返すのは絶対嫌です」。母の言いたいことは今になってわかった。心配と満たされなかった希望、あまりに多くの骨折り。結局骨折りこそが人生の目的なのだ。・・・」(2012/01/02付「日経新聞」より)

この記事を読みながら、どこかで聞いた事のある言葉だと思った。実はウチのカミさんも、“過去には絶対に戻りたくない”という。それはブレア氏の母親と同じように、苦労の連続だったから・・・。
でも捉えようによっては、“今が一番”ということで、それはそれでハッピーなこと。

話は戻るが、音無美紀子さんが鬱だったとは知らなかった。カミさんに言わせると、結構有名な話らしい。
つまりは、どんな人も、いつ何どき、どんな病気になるか分からない。誰でもあらゆる可能性がある。それはある確率で確実に起きる。
5年ほど前に、障害者自立支援法について考えた時、“日本の家庭で障害者が居る可能性は6.5%”と計算した(ここ)。

今が平穏としても、自分が病気で障害者になる事など、まさに“これから先、何か起こるかわからない”のである。
そして、その時の心構えが「気持ちを切り替える~いまから変えていく」なのかな・・・と思いつつ、この記事を読んだ。

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コメント

過去はもうない、未来はまだない、あるのは今だけ。そんな経典の言葉を思い出しました。

投稿: たかはし | 2012年1月 9日 (月) 06:48

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