「一念岩をも通す」
自分が最近好きなことわざに「一念岩をも通す」というのがある。Netでみると「「石に立つ矢」ともいう。一念とは人が生ずるその時、その瞬間の心のこと。人はその心・信念のあり方によっていかようにも成し遂げられることを示す。前漢の将軍であった李広が、石を虎と見誤って必死に矢を放ったところ、矢が見事に石に突き刺さったという故事から。」(ここ)とある。
雑誌「大法輪」(2012年2月号)にこんな一文があった。
「人の一念 法華宗(本門流) 大塚日正
ある年の正月、四十代の男性ですが、突然クモ膜下出血で倒れ、娘さんの成人式当日に亡くなりました。
以下、未亡人の話です。
「主人が倒れた直後『お父さん、お父さん!』と呼びましたが応答がなく、救急車を呼びました。早速手術となり、脳に溜まった血を応急処置で吸引しました。その時、私の呼びかけに『ママ、ママ!』とつぶやいたのが最後で、昏睡状態になってしまったのです」とのことでした。
ご主人はどのような思いで「ママ、ママ!」と言われたのでしょうか?恐らく奥さんに対して、いろいろな思いを込めての言葉だったのではないかと思います。
残念ながら亡くなりましたが、当日、実に不思議なことがあったそうです。
未亡人曰く、「亡くなる前日でした。成人式を迎える娘が、どうしても晴れ着を着て、父親に見せたい!と言い出したのです。そこで娘が婦長さんに頼んだところ、『あなた、ここが何処だと思っているの?・・・・
・・・・・・・・・
娘は泣きながら院長先生に訴えました。『先生!父に見せたいと思っている振り袖は、父が選んでくれたものです。去年の秋のことです。普段、こんなことを言う父ではないのですが、突然私に向かって、お前、来年成人式だよな!お父さんが選んでやろう、と言い出しました。その振り袖なのです。父は、成人式を指折り数えて待ち望んでいました。それなのに、こんなことになってしまいました。判らなくてもいい、是非見てもらいたいのです』
話をじっと聞いていた先生は、『分かった。そういうことなら特別許可しよう。君は、今日まで良く頑張って看病していたね。実に感心な娘さんだと思っていたよ。親孝行の君に免じて、特別許してあげよう』という訳で、念願が叶い、当日、振り袖姿で集中治療室の父親の枕元に立つことが出来ました。
娘は、『お父さん!私よ、振り袖よ!』父親の肩を揺すりながら、何度も呼びかけました。
その内、何と父親の両眼の目尻から涙が惨み出し、やがて頬にまで伝いはじめたではないですか。『お父さん、お父さん!』娘は激しく泣き叫び、父親の身体を揺すりながら、尚呼びかけました。その時です。主人が目を開けたのです!さらに口を動かしたのです。『何か言いたがっているんだよ。君を見ているのだよ!』院長先生がおっしゃるのです。娘は、 『お父さん、見てくれたのね。これから成人式の会場に行ってくるからね』と言い残し、会場に向かいましたが、主人は安心したのでしょうか、間もなく息を引き取りました。
実に不思議なことでした。 後で院長先生は、『お父さんの娘さんを思う心と、娘さんのお父さんを思う心。この父娘の一念が通じ合った瞬間、医学では到底理解の出来ない奇跡が起こったのだと思いますよ』とおっしやいました」
以上、このような話を、未亡人から聞きました。
諺に「一念岩をも通す」とありますが、人間の思いというものが如何に強く、重いか、改めて感じざるを得ない出来事です。
人生、いろいろなことが待ち受けていると思いますが、しっかりとした目的と、何か何でも成し遂げたいという強い思いを持って歩みたいものです。」(雑誌「大法輪」2012年2月号p40より)
「一念岩をも通す」ということわざは、「念ずれば通ず」として覚えていたが、これは正式な諺ではないらしい・・。
話は変わるが、年末のサプライズ・・・。私事で恐縮だが、実は九州の息子が年末に、突然、結婚すると言ってきた。まさに青天の霹靂だったが、実はこの事、我々夫婦にとっては、まさに念願、つまりは「一念岩をも通す」だったのである。
当サイトに何度か「“見合い結婚”が消えたのは怪しからん」と書いてきた。少子化についても嘆いてきた。その背景には、やはり息子の結婚問題があったように思う。しかし東京と九州という距離は如何ともし難く、せいぜい神仏に祈るほかに手段は無かった。
それが何と・・・・・。まさに「一念岩をも通す」だ。
先日、息子が彼女を連れて挨拶に来た。初めて彼女を見たとき、カミさんは「こんな娘(こ)が、本当に来てくれるのだろうか?」と信じられない思いだったという。自分はノー天気に、ただただ嬉しく、彼女とペチャクチャ・・・・
実は、年末はヨメさんのことを聞き出すのが一苦労・・・。「名前は?」「そんなの聞いてもしょうがないだろう」「歳は?」「聞かない方が良いだろう・・・」
何とか、最低限の事は聞き出し、正月に一瞬だが写真も見た。でもそれは一瞬だったので・・・
でも百聞は一見に如かず。人間は一目見れば全ては分かる・・・・。
左の写真は、カミさんの近所の友人が、ヨメさんが挨拶に来る事を聞いて届けてくれたランの花。一足違いでヨメさんには見せられなかったが・・・(写真はクリックで拡大)
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コメント
家族の力ってすごいですね。
妻子を愛し守ることが、こよなき幸せである。そんな言葉が経典にあって、結婚式で僧侶と一緒にその経典を唱える国があるとか。息子さんよかったですね。
【エムズの片割れより】
おかげさまで・・・
投稿: たかはし | 2012年1月26日 (木) 06:14
こんにちは。
御子息の縁談、おめでとうございます。
素敵なお嬢さんのお姿が目に浮かびます。
喜びと期待に満ちたおもてなしでしたでしょう。
ランの花がとてもきれいで、お嬢さんの姿と重なりました。
東京でお住まいながらも、日頃からの御近所付き合いの賜物でしょうね。
お嬢さんのお目に触れていたなら、一生忘れ得ない一鉢になっていたと思います。
一人息子の愚息は、一浪して現在受験の真っ只中です。
私達にも、エムズ様のような素敵な御縁が有ることを今からでも念じたい気持ちです。
九州の地から、若輩者のコメントお許しください。
心和む話題をありがとうございました。
【エムズの片割れより】
九州からの“エール”をありがとうございます。確かに、ランの花を見て欲しかったですね・・・。
でもやっと “スタート”ですので、これからいくらでもチャンスはあるでしょう。楽しみです。
投稿: CITROEN GS | 2012年1月26日 (木) 15:47