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2011年12月23日 (金)

映画「南極料理人」

先日テレビで放映された映画「南極料理人」を見た。何とも愉快な映画で、今日はカミさんに無理矢理見せてしまった。一緒に2度目を見ても飽きない・・・。こんな映画は久しぶり・・。

111223nankyoku どこまで事実かは知らないが、念願かなって南極越冬隊員になれた同僚の不慮の事故によって、不幸にもその身代わりに・・・。行きたくもない南極に1年半の人質・・・
しかし料理人として孤軍奮闘。無事8人の食事を作り続けて、帰還するまでを描く。

この映画を見て、南極観測隊について色々と勉強になった。まずメンバー構成。気象学者、雪氷学者、大気学者という3人の学者を、雪氷サポート、医師、車両担当、通信担当そして調理担当の5名がバックアップする。確かに、学者が何人であれ、車両や通信や体調管理、そして料理には、それぞれ専門家が必要で、観測陣をバックアップしている。
しかし、現地では上下関係はほとんど無く、皆孤独と戦っている。違うのは、志願して行く人と、命令されて行く人との違い・・・。

111223nankyoku1 しかしこの映画の主人公の料理人は大変だ。一日3度の食事は、休みがない。映画でも出て来たが、料理人が不在だと、それこそ皆が飢えてしまう。食材の配分も大変。一人が1年に食べる量は1トンにもなると言っていたが、それらの食材をバランス良く使っていかなければならない。食材がカラ・・・というわけにはいなかい。しかしさすがに食材は一流品ばかり・・・

ストーリーについては論じないが、外はマイナス30~70度という死の世界。この閉塞された世界に、男8人が1年半閉じ込められたら、精神的に参る人も出てくるのでは・・・?と心配になってしまう。
それに、ひとたび不和が発生してしまうと、全員が毎日一緒の生活なので、逃げようもなく、それこそ大変。この映画では、あまり表に出ていなかったが、リーダーの役割も大変なのだろう・・・

ふと先の原発事故を連想した。原発の中央制御室でも、全電源が喪失したら、手も足も出ない。この南極基地でも、何かの事故で、電源が喪失したら、極寒の中で生きて行けない。当然、電源や通信にそれなりのバックアップ設備があり、暖房などは止まらないように出来てはいるのだろう。そして、事故の時のためにその道のプロが送り込まれているのだろう。しかし、どのような状況でも、逃げられないというのは、プレッシャーだ。

この映画で、主役の娘役(小野花梨)が面白かった。何ともトボけて、演技が実に自然体。まさにミニ母親・・。自分には娘がいないので分からないが、どの家庭でも小学生の娘はこんなものか・・・。しかしこれが現実だったら、オヤジはやってられない!?
主役の堺雅人は、相変わらず何とも得体の知れない表情で・・・。この人はいつもニコニコしていてつかみ所が無いだけに、あまり個性のない料理人の役にはピッタリかも・・・

改めて書くが、ここの料理人は休日無しで大変・・。しかし、ふと考えてみると、家庭の奥さまと同じではないか・・・。特に小さな子供がいる家は、3度の食事をパスすることも出来ず、連戦が要求される。亭主は終日があっても、奥さまは不眠不休・・・・!?

この映画の最後の場面は、帰還して2~3日経つと、南極での生活は夢のよう・・・。これがホントウの心情だろう。
自分がここに何度も書いているように、いかに毎日の“日常”が大切か・・・・

この映画は、自分にとっては「何も無いありきたりの生活が、如何に貴重か・・・」を改めて教えてくれた気がした。

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