米国の閣僚人事の審査と日本・・・
昨日の朝日新聞「政治考」というコラムに、先の問責決議に関して、面白い指摘が掲載されていた。米国の閣僚人事仕組みについてである。曰く・・・
「政治考 問責可決 妥当な結論
編集委員 星 浩
「真剣勝負の討論」の代表といえば、米議会上院の委員会で開かれる人事の審査だろう。閣僚をはじめ、役所の副長官や次官、最高裁判所の判事、大使など大統領から指名された人が、関係する委員会で質問を受ける。
米議会内の現場を取材したことがある。米上院は各州2人ずつ、全体で100人。上質な政治家がそろう。オバマ大統領もクリントン国務長官も上院議員だった。委員会では、10人ほどの上院議員が次々と追及する。政策課題だけでなく、過去の言動も厳しくチェックされる。迫力満点のやりとりだ。十分な受け答えができなければ、その人事は承認されず、大統領は別の候補を探すことになる。
参院で問責決議が可決された一川保夫防衛相と山岡賢次消費者相が、仮にこの上院委員会で審査を受けたらどうだろうと考えてみた。
沖縄の少女暴行事件の「詳細は知らない」などと語った一川氏は、発言の真意を聞かれるだけではすまない。防衛政策の中身についても、詳しくただされる。答弁に窮すれば「防衛相の資格なし」と切り捨てられるだろう。山岡氏は、マルチ商法業者との関わりを執拗に聞かれるに違いない。消費者行政についても、容赦ない質問が続くはずだ。その結果、両氏が承認される可能性は、まずないだろう。
そもそも、一川、山岡両氏の人事は、野田佳彦首相が民主党の小沢一郎元代表や輿石東幹事長に配慮して決めた。野田政権の弱点である。・・・・・」(2011/12/11付「朝日新聞」p4より)
これを読んだ時に、米大統領選の仕組みを思い浮かべた。大統領候補は、長期間に亘る討論会を経て、結果として候補者として訓練され、成長していくという。
それらの仕組みに比較して、日本の人事制度(組閣)はどうか・・・。言うまでもなく日本では、首相に任命権限があり、米国のような第三者による面接試験のような審査の仕組みは無い。よって日本では、この論が指摘する通り、派閥からの候補者がまず決まり、そのメンバーを閣僚ポストに“割り付け”る。つまり、“適材適所”は後回し・・・。よって、素人の閣僚が誕生する可能性もある。野党が熱中する無益な失言探しも国民にとっては辟易ものだが、与党の派閥の人選も同じ穴の狢(むじな)。これは仕組みの問題であり、自民党や民主党だけの問題ではない。
前に大物政治家の話を聞いたことがある。自分の得意でない分野の閣僚になった時に、こんな趣旨のことを言ったという。「自分の役目は、予算を取ってくること。それをどう使うかは、次官以下で考えよ」。素人でも、こんなやり方もある。
ひるがえって、政治の世界ではない、一般の企業の人事制度はどうだろう?
人事権は査定権と共に、長が組織を動かす大きな力(権力)。その行使は、それぞれの長に委ねられる。会社によっては、昇格試験があるケースもある。しかしあまりうまく行っていないようだ。
つまり多くは、組織長によって決められる。そこには、審査らしきものはほとんどないのが普通。よっておよそ適材適所とは言えない人事も有り得る。
人事は好き嫌い。昇格は自分のボス次第・・・。これは現役を卒業した(ヘソが曲がった)自分の悟った(?)ところだが、大会社ならそれが是正されるチャンスは多い。しかし小さい会社は、なかなか難しい。
最近はやりの「事業仕分け」。学識経験者や一般市民が“仕分け人”になって、米国のように閣僚の適不適を面接試験(審査)したら面白いのに・・・。もちろんNetによる全面公開で・・・。
そうなると、閣僚辞退者が続出したりして・・・・!?? ホホホ・・(←もちろん夢だけど・・・)
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