「大山・羽生 将棋 史上最強はどっち?」と「米長邦雄さんの話」
今日は、なぜか将棋の話・・。
今朝の朝日新聞に「大山・羽生 将棋 史上最強はどっち?」という記事があった。なかなか面白いので読んでみよう。(写真はクリックで拡大)
「将棋 史上最強はどっち?
実戦を重視、晩年までA級 大山
研究重ね七冠制す隙のなさ 羽生
将棋界で数々の記録を打ち立ててきた羽生善治王位・棋聖(41)。「史上最強」との呼び声も高いが、かつてその代名詞と言えば、大山康晴十五世名人(1923~92)だった。タイトル獲得が史上最多の通算80期で並ぶ、昭和の巨人と平成の天才。真の「最強」は、どちらなのだろうか。
9月13日。羽生は第52期王位戦七番勝負で広瀬章人王位に勝ち、通算80期目のタイトルを手にした。対局後の会見で羽生は「偉大な大先輩に並ぶことができて、光栄というか名誉なことだと思う」と話した。
羽生は96年に将棋界で初めて7タイトルを独占。「十九世名人」を名乗る資格を持つなど、現役の中での実績は群を抜いている。羽生と数々の名勝負を繰り広げてきた谷川浩司九段は「80期という記録は誰も破れない。今後は『3桁』を目指して欲しい」と話す。
ただ、その時代における突出ぶりでは、大山にやや軍配が上がる。60年代に五冠独占を度々果たし、63年~66年には19回連続でタイトルを奪取、防衛した。当時はタイトルの数が五つ。今と同じ七つだったら、さらに多くのタイトルを獲得していた可能性が高い。
大山の名人14連覇を阻止した中原誠十六世名人は「大山さんの全盛期と今とでは環境が違う。二人の強さを比べるのは、相撲の双葉山と大鵬を比べるようなもの」と話す。
時代の違いは、将棋の質にも表れている。研究が進んだ現代では、序盤からリードを奪おうとするのが当たり前。序盤、中盤、終盤に隙のない羽生の棋風は、その土壌の上に築かれた。一方、大山が活躍した頃は「研究より実戦」という風潮が強く、大山の持ち昧である「受け」の強さは中終盤で発揮された。
大山の強さを物語るデータの一つに、高齢になっても活躍を続けたことが挙げられる。最後にタイトルを獲得したのは59歳。69歳で亡くなるまで順位戦は最上位のA級のままだった。
中原は「自分もそうだったが、45歳ぐらいからどうしても力が落ちてくる。羽生さんが、50代、60代になっても今と同じような活躍を続けるのは難しいのでは」とみる。研究で後れをとっては高い勝率を残せない現代において、羽生が今の強さを10年、20年と保ち続けるのは体力的、精神的に大変かもしれない。
羽生自身はこう話す。「40代のうちは体力のことはあまり心配していない。10年先のことは想像しづらいので、半年先、1年先のことを目標に据えるスタンスがいいと思っています」
森内俊之名人ら同世代に加え、若手の渡辺明竜王らと今後どのような戦いを繰り広げるのか。「史上最強」と本当に言えるかどうかは、羽生のこれからの歩みに懸かっている。(村瀬信也)」(2011/10/19付「朝日新聞」p21より)
たまたま先日、NHKラジオ深夜便で「人生勝負のカンどころ 永世棋聖・日本将棋連盟会長 米長邦雄」(2011/10/9~10放送)という番組を聞いたばかりだったので、米長さんが語っていた大山さん像とダブってこの記事を読んだ。
自分は将棋をまったくやらないが、亡くなった親父が将棋が好きで、床の間に大山さんの額があったり、兄貴も下の息子も将棋をする関係で、将棋界のことに少しだけ興味があり、こんな記事も読んでいる。
ところで、さっきの米長さんの話。2012年1月14日にパソコンと米長さんが指すことになっているそうだ。それについて、米長さんは、
「真剣に考えてくれる人が座ってくれると、そのオーラが自分にも伝わって、自分の能力が100%できる。つまり正座で6時間キチンと座ってくれているかどうかが大きい。それと変な動作をされると気が散って困る。」とコメントしていた。
米長さんは教育委員にもなったことがあり、こんなコメントも・・・
「ゆとりは生きる力を育む。それには将棋が一番良いが、次は座禅がよい。しかし今の教育では、座禅はムダということになっている。」
そして勝負については、
「不利な将棋は辛抱。時がくるのを待つ。優勢な将棋が一手で不利になったときは、過去を振り返らない。反省は将棋が終わった後ですればよい。生きている間は前を見る。現状、今ある局面で何が最善かを探し当てて前に進む。後悔は全く益にならない。」・・・
少し聞いてみよう。
<人生勝負のカンどころ 永世棋聖・日本将棋連盟会長 米長邦雄(1)>
<人生勝負のカンどころ 永世棋聖・日本将棋連盟会長 米長邦雄(2)>
我々の人生の過ごし方と色々とダブる、将棋の世界の話ではある。
(付録)NHK「アナザーストーリーズ“羽生善治 史上初の七冠制覇~ヒーローに翻弄された男たち”」(2017/10/3放送より)~八王子将棋クラブ
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コメント
米長邦雄対コンピュータソフト「ボンクラーズ」の対戦はメディアで大きなニュースとなり、このニュースは最近のNHKのクローズアップ現代でも取り上げられました。ごらんになったでしょうか?将棋ファンの私はこの対戦をインターネットで、1日中観戦しました。本日の読売新聞の編集手帳に面白い話が載っていました。「・・・私は勝てるだろうか?対局の直前、夫人に尋ねている。近著『われ敗れたり』によれば、夫人の答えは「勝てません」。全盛期にくらべて、決定的に欠けているものがあるという。「あなたはいま、若い愛人がいないはずです。それでは勝負に勝てません」・・・」。
【エムズの片割れより】
クローズアップ現代は見逃しました。しかし、読売新聞の編集手帳は読みましたが、なかなか面白い視点で、情報ありがとうございます。(これをネタに記事を書こうかな・・・)
投稿: KeiichiKoda | 2012年2月17日 (金) 11:57
81という数字は将棋界では特別の意味を持っているんですね。将棋盤のマス目が81だからです。将棋の棋士は81歳になると盤寿としてお祝いをする由。羽生さんが大山さんの持つ最多タイトル獲得数の記録80期を抜いて81期の記録を達成したことはNHKをはじめ、新聞各紙で報道されたのは記憶に新しいところですが、この81には2つの特別の意味があったんですね。7月7日の読売の編集手帳を読むまでは気づきませんでした。羽生さんは現在41歳、まだまだタイトルは獲得できそうに見えますが、棋士は40を過ぎると、新しいタイトルを獲得したり、防衛したりするのが難しくなります。これまで年平均3.5個のタイトルを所有していた羽生さんにしても今は2冠です。タイトル獲得数の数字の上では大山さんを抜き去った羽生さんですが、大山さんには50歳代でタイトル獲得、69歳で亡くなるまで生涯A級棋士であったなどのとてつもない記録があります。羽生さんがこの2つの記録でもどこまで迫れるのか注目しています。
【エムズの片割れより】
なるほど・・・。勉強になります。
羽生さんはこれから大山さんを目指して、どこまで近付けるか・・・。単なるタイトル数でなくて、現役の寿命で・・・・
投稿: KeiichiKoda | 2012年7月 8日 (日) 07:00
別のところでNHK杯戦トーナメントことを書いていて思い出したのですが、天才少年羽生善治の名前を決定的にしたのは、1988年度NHK杯将棋トーナメントの優勝ではなかったでしょうか?この年、プロになって3年目の羽生5段は当時の名人・名人経験者大山、加藤、谷川、中原の4人全員を破って優勝しました。とくに、加藤9段との対戦で空中に打った「5二銀」という手はNHK杯戦史上NO.1の名手といわれて語り継がれています。このとき解説していたのが先日亡くなられた米長さんで、米長さんが思わずあげた「やった!」という声は解説室から隣の対局室まで聞こえてきたと、羽生さんが後に述懐しています。私が驚くのは、こうした強敵に打ち勝って優勝したこと、将棋史上に残る名手を放ったこと、優勝決定の相手が当時の名人、中原さんだったということもむろんそうですが、当時の現役の名人経験者がすべて羽生さんに当たったという奇蹟的事実です。NHK杯はトーナメントの戦いですから、羽生さんが途中で負けてしまえばこれらの名人・元名人にあたることがなかったことはむろんですが、これらの人たちも羽生さんの前に負けてしまえば羽生さんとはあたらなかったわけです。確率的にはきわめてゼロにちかい、まさに天の配剤としか言いようのない、奇蹟的組み合わせだったということです。さらには、米長さんはこのときはまだ名人経験者ではなかったのですが、後に名人になったので、解説者も将来の名人、この米長名人を破って名人になるのが羽生さんと、何か因果を感じるのは私だけでしょうか?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%BD%E7%94%9F%E5%96%84%E6%B2%BB
【エムズの片割れより】
自分は将棋はまったくダメ。でも下の息子が祖父の影響で将棋は大好き。八王子将棋クラブでは羽生さんの後輩・・ということもあり、将棋世界のことは興味を持って見ています。
でもNHK杯の事は知りませんでした。
プロの将棋の世界は、やはり天才の域ですね。
投稿: KeiichiKoda | 2012年12月26日 (水) 14:01
上のコメントへの訂正。撮りためたビデオを整理していたら、羽生さんが23歳の時ですから今から19年前ですか(?)NHK「クローズアップ現代」で羽生さんが取り上げられたビデオが出てきました。当時の名人経験者4人を破って優勝したNHK杯戦やこのとき加藤9段との対戦で羽生さんが打った名手5二銀も話題になり、わかったのですが、このときの名人は谷川さん、優勝決定のときあたった中原さんは前名人でした(当時大山さんと加藤さんは元名人ですが、大山さんは15世名人の称号を使っていました)。したがって、上のコメントで、「当時の名人、中原さん」と書いたのは正確ではありませんでした。
この番組の中で明らかになったことの一つは、羽生さんにかぎらずプロは将棋を指しているとき、アマは左脳を使うのに、プロは右脳を使って、手を読んでいくということでした。
【エムズの片割れより】
そうですか・・・。自分もたくさんの昔のビデオを保管していますが、見たことはありません。そのうち・・・で、数十年・・・。
投稿: KeiichiKoda | 2013年6月16日 (日) 13:04
本日の日経のコラム「春秋」は里見香奈女流名人が奨励会3段に昇段し、来年の4月から三段リーグで戦うことになったことを書いていす。これまで、奨励会に挑戦した女性は少なからずいたのですが、三段はむろん、初段まで達したのも里見さんだけ、正直私も三段リーグにはいるのは難しいのではないかと考えていたので、驚いています。三段リーグを抜けて四段の棋士になるのは至難の業ですが、こうなったからにはぜひ頑張ってもらって女性の棋士の誕生を見てみたい。コラム「春秋」も、「世の中には、なぜという理由がきちんと説明できない事実というものがある。たとえば、「女性は男性より将棋が弱い」という事実。」と書いていますが、たぶん、将棋は理数系、囲碁は文系といわれている事実と関係があるのかもしれません。棋士になった人の多くは学校時代の得意科目は数学と答えています。そういえば、羽生さんのお父さんはエンジニアだし、米長さんの、頭が悪いので東大にいったというお兄さんたちもエンジニア、谷川さんのお兄さんも東大の工学部の出身。オバマ大統領の経済顧問だったラリー・サマーズはハーバード大学の学長時代に「女性は科学には向いていない」と発言し、女性たちの顰蹙を買ったことは有名ですが、サマーズ流に言うと、女性は「科学に向いていない」したがって「将棋には向いていない」のかもしれません。でも、キュリー夫人はノーベル物理学賞を2回ももらっているし、日本にも物理学会会長になった米沢冨美子さんのような存在もいる。里見さん頑張ってください、応援しています!
【エムズの片割れより】
今朝の「春秋」は自分も読みました。里見香奈さんはスゴイですね。
実はウチの息子も将棋キチで、アマ名人戦で1度地区代表で天童に行ったことがありますが、数学は全くダメでした。でも自分の親父も兄貴も将棋は大好きでしたので、やはり遺伝か?
でも理系は自分だけで、あとの家族は全員文系。それに自分は将棋はまったく指せませんので、遺伝の不思議を思います。
投稿: KeiichiKoda | 2013年12月25日 (水) 13:08
昨日(2/4/2014)の日経夕刊におもしろい記事がありました。マイク・モラスキーという日本文化研究者が書いた「将棋はお好きですか」というエッセーです。この人が将棋を覚えたのは、谷川さんが史上最年少で名人になったころなので、「かれこれ30年以上におよぶ将棋歴をもつ」そうです。「しかし、どんなに将棋熱が上がっても相変わらず腕は上がらない」ので、近年はもっぱら観戦専門に転じている。「毎週発行される「週刊将棋」に必ず目を通すほか、プロの対局をリアルタイムで楽しめるように、あるオンラインサイトに契約し、一手一手に対する解説を読みながら、鑑賞する」のだそうです。この人がどんな人なのか詳しくは知りませんが、名前からして外国人ですよね。外国人であること、棋歴が私のほうが少し長いことを除けば、私とそっくりなので笑ってしまいます。私ももっぱら観戦専門で、実戦はパソコンで将棋ソフトと対戦するだけ。「週刊将棋」を購読し、将棋のオンラインサイトに契約し、ほとんど毎週必ずプロの将棋を観戦してる点では同じです。外国人といえば、将棋も少しずつですが外国人のファンも増え、外国―とくにヨーロッパ―でも盛んになりつつあるようです。「週刊将棋」を読んでいると、外国の将棋ファンの一部が将棋のために日本を就職先に選ぶこともあるようですし、ポーランド出身の若い女性が女流棋士を目指して来日し、研修会(奨励会の下部機関)で修業にはげんでいるという情報もあります。お隣の囲碁では日本棋院に所属する外国人棋士は珍しくありませんが、相撲や囲碁の世界のように将棋の世界でも外国人がいずれトップを占める時代がくるのでしょうか?
【エムズの片割れより】
自分も読みました。日本人だとばかり思って読んでいたら、外人さんなんですね。
実はウチの下の息子が将棋キチ(5段)なので、将棋の世界も少しだけ覗いています。でも自分はルールさえ知らないほど・・・。自分の親父と兄貴は将棋キチだったので、隔世遺伝なのでしょうか・・・・。
それにしても、コンピュータ将棋が参入してきたと思ったら、外人選手とは、これまた面白いですね。
投稿: KeiichiKoda | 2014年2月 5日 (水) 09:20
2012/12/26と2013/6/16の私のコメントへの追記です。
・さすがインターネットの時代ですね。ここで言及した羽生―加藤のNHK杯戦の模様はYouTubeにアップされていますね。
http://www.youtube.com/watch?v=cCDe0Pdypps
・「やった!」という解説の米長さんの声が対局室まで聞こえてきたという羽生さんの証言はここ(↓)
http://www.youtube.com/watch?v=nnf4VMeF0ug
エムズの片割れさんのご子息も羽生さんが子供時代に修業した八王子将棋センターで将棋を勉強されたそうですが、この将棋センターからは羽生さんの後に続いて阿久津八段、村山六段など優秀な若い棋士が輩出しているんですね。とくに阿久津さんは来期はA級で、名人挑戦をめざして頑張ることになるんですね。
【エムズの片割れより】
そうらしいですね。良く分かりませんけど・・・
あとアマで清水上さんというのが強いらしい・・。良く分かりませんけど・・・。
それに、香奈さんの休業は心配ですね。
投稿: KeiichiKoda | 2014年3月 6日 (木) 17:15
清水上さんは、アマチュアの強豪ですね。彼がNHKの小学生名人戦で優勝したとき、たまたま見ていました。当然プロの道へ進むものと思っていましたが。。。彼も八王子将棋センターの出身なんですか?
里見さんが奨励会3段に進んだあと、理研の小保方さんがSTAP細胞の作製で有名になり、理数系女子「リケジョ」が脚光をあびました。しかし、里見さんも小保方さんも、そのあとちょっと苦労しているようで、心配ですね。
本日は、将棋のA級順位戦の最終日、いわゆる「将棋界の一番長い日」で、朝からTVの前に陣取って、この対局の番組(BSスカパー)を阿久津さんの解説で聴いています。
【エムズの片割れより】
いやいや・・・。清水上さんの出身はどこなんでしょう?今は埼玉に住んでいるとか・・・
勝負の世界は、観戦している方は楽しいですが、やっている方のストレスはいかばかりか・・・
投稿: KeiichiKoda | 2014年3月 7日 (金) 18:54
本日(4/13/2014)のNHKEテレの「将棋フォーカス」をごらんになりました?この番組は毎週日曜日NHK将棋トーナメントが始まる前の30分間を、15分間の将棋講座と15分間の特集で構成する番組で、今回の特集では八王子将棋センターが取り上げられていました。将棋センターの様子が紹介され、道場主の八木下さんや羽生さん自身が登場し、羽生さんの子供時代の道場での思い出・エピソードを語っていました。以下のURL(↓)を参照してください。
http://cgi2.nhk.or.jp/goshogi/shogifocus/#top
なお、今回の番組は4/17(木)3:00-3:30PMにNHKEテレで再放送されます。
【エムズの片割れより】
貴重な情報をありがとうございます。自分は将棋は門外漢ですが、ここ出身の息子に教えてあげます。ありがとうございました。
投稿: KeiichiKoda | 2014年4月13日 (日) 12:25
エムズの片割れさんは日経新聞を読んでおられるから、ご存知でしょうが、羽生名人が豊島7段の挑戦を退けて、王座のタイトルを防衛し、王座通算22期、7大タイトル獲得を90期の大台に乗せました。大山15世名人の記録80期を抜いたのはほんの2年前でした。このとき、私は羽生さんも40歳代にはいったので、今後はタイトルへ挑戦したり、獲得するのは難しくなると書いたばかりでした(上の2012/7/8の投稿をご覧下さい)。あのときは、羽生さんは2冠でしたが、その後名人復位を果たし、現在はタイトル保持数も4冠です。すごいの1語です。ただ、羽生さんへの挑戦者はしだいに若手に移ってきているようで、研究熱心で頭の柔軟な若手を負かすのは決して容易ではありません。豊島7段は24歳、現在竜王戦で森内竜王に挑戦中の糸谷7段は26歳です。今回の王座戦5番勝負では羽生さんは2連勝でスタートし楽々と防衛かと思われたところから豊島7段に巻き返され、フルセットでようやく防衛したという感じでした。竜王戦の挑戦者決定3番勝負では糸谷7段にフルセットの末敗れ、挑戦権を逃しています。勝負強い羽生さんが挑戦者決定戦で敗れるのを見たのは久しぶり-あるいはじめて?ーの気がします。豊島さんの名前は、彼が小学4年生で奨励会に入会したころから名前は知っていましたが、16歳で棋士(4段)になった俊秀で、コンピュータとの激闘5番勝負では唯一コンピュータに勝った棋士として記憶に新しいところです。今夜(2014/10/25)11時のNHKEテレのETV特集「プロ棋士VS将棋ソフト激闘5番勝負」という番組(↓)ではこのときの模様が取り上げられるようで私も楽しみにしています。
http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2014/1025.html
【エムズの片割れより】
さっそくETV特集を予約しました。ウチの息子が羽生さんと同じ八王子将棋クラブの5段なので、将棋の世界はどうも気になります。
追)自分は将棋は指せませんが、この番組は面白かった。情報ありがとうございました。
投稿: KeiichiKoda | 2014年10月25日 (土) 11:16
以前(10/25/2014の投稿をご覧下さい)、糸谷7段が竜王戦挑戦中であることを書きましたが、すでに新聞で報道されたように、26歳の糸谷7段が竜王を奪取しました。糸谷さんは、大阪大学大学院の哲学科に在籍する、大学院生でもあるんですね(休学中のようですが。。)米長さんも、大学に進もうとしたら、師匠の佐瀬名誉9段から、棋士には学問は必要ないと反対されたと、どこかに書いているのを読んだことがあります(「大学に行かないと、あなた(師匠)ぐらいの人間にしかなれない」と言ったので、こっぴどく叱られた、とも書いています(笑い))。いまは、一芸入試とか、大学の門が大きく開かれたので、大卒の棋士もずいぶんと増えました。しかし、大学に入ってからはじめて将棋を勉強して、棋士になった人がいると聞けばびっくりするのではないでしょうか。東大卒で女流棋士になったというので数年前に話題になった女流棋士の渡辺弥生さんです。将棋雑誌「将棋世界」には「私はこうして強くなった」というインタビュー構成の連載記事がありますが、いま発売中の新年号には「渡辺女流初段の巻」というのが載っています。渡辺さんは東大の経済学部を卒業したあと、本当は理数系を勉強したかったことに気づき、東大の数学科に入り直して(学士入学ではなく、最初から受験をし直したらしい)、2年経ったころ、「ノイローゼになって急に何も手につかなくなった」と書いています。順風満帆に見える、才能ある女性というのは、バイオリンの五嶋みどりさんにしても、将棋の里見さんにしても、どうもそういうことがあるらしい。この不調期に気分を紛らわすためにはじめたのが将棋だったようで、やがて将棋に熱中していったことが女流棋士になるきっかけになった、ということのようです。
子供のときに奨励会にはいって将棋を勉強してきた糸谷さんや豊島さんはいわば将棋のネイティブ、それに対して大学にはいってから将棋を学んだ渡辺さんにとって将棋はいわば「外国語」。「外国語」として学んだ将棋がネイティブの将棋にどのくらいせまれるのかと考えると、目がはなせません。
この渡辺さんは実は私の友人の娘さんで、彼女が生まれた頃から知っているんです。そういう意味でも、頑張って欲しいと応援してしまいます。
【エムズの片割れより】
糸谷さんのことは新聞で読みましたが、渡辺弥生は知りませんでした。もちろん将棋世界も読んだことがないので・・・
しかしそんな遅咲きの人もいるんですね。
東大は立命館、早大などと競う大学将棋の雄らしいので、最初に染まった環境も良かった??
投稿: KeiichiKoda | 2014年12月10日 (水) 14:31
上のコメントへの追記です。渡辺さんは、読売新聞の夕刊の、11月11日から12月2日まで、毎週火曜日、計5回にわたって、「一歩千金」と題する面白いエッセイを書いていますので、渡辺さんに興味のある方はそちらを参照ください。とくに将棋ファンでないかぎり、「将棋世界」を手に取ることはないでしょうから。
【エムズの片割れより】
記事のコピーをありがとうございました。下記にアップしましたので、皆さん良かったら読んで下さい。
http://emuzu-5.music.coocan.jp/zip/141210-watanabemio.pdf
投稿: KeiichiKoda | 2014年12月10日 (水) 17:41
「将棋界の語り部」といわれる河口俊彦七段が亡くなりました。本日(2015/2/17)の日経新聞の喪友記(文化欄)で、友人の青野照市九段が河口さんについて書いています。最後のところで、「生前、死んだときは音楽で送ってくれと言っていたと聞いた私は、マタチッチ指揮のブルックナー交響曲第7番第2楽章を選んだが、満足して頂けだろうか」と書いています。青野9段は将棋界きってのクラッシック音楽ファンとしても知られていますが、エムズの片割れさん、できたら、この指揮者とこの曲について解説をして頂けますか?
【エムズの片割れより】
改めて、日経の記事を読みました。
残念ながら、ブルックナーと自分はあまり相性が良くなく、3番、4番がかろうじて頭に残る程度で、7番は自分の耳を素通り・・・。
よって、とても解説など・・・
投稿: KeiichiKoda | 2015年2月17日 (火) 08:24
上のコメントへの追記です。河口さんに続いて、丸田祐三九段が亡くなりました。本日(2015/2/20)の日経新聞のコラム「春秋」は、長い間日本将棋連盟を運営する要職(会長・副会長・理事)にあり、今月95歳で亡くなった丸田九段を追悼しています。丸田さんは本業の将棋でもA級在位24年にあった名棋士で、とくに丸田さんの2年で四段から八段へのスピード昇段記録と77歳現役の記録は今後とても破られそうにない記録です。10年ぐらい前までは、NHK杯将棋で解説者として登場する丸田さん、あるいはNHKBSで放送される名人戦・竜王戦では立会人としての丸田さんをよくお見かけしていた気がします。私が大学生のころですから、もう何十年も前になりますが、丸田さんはNHK教育テレビで将棋講座の講師を務められたことがあって、この講座をよく観ていた記憶があるし、丸田さんが大山名人と一緒に書いた、矢倉戦法についての解説本(名著!)を友人から借りて読んだ記憶があります。ですから、そういう意味で丸田九段は私にとっても将棋の師匠(?)の一人なんです。日経の「春秋」は「河口さんと丸田さん。古い将棋好きは懐かしい個性を相次いで失った。」と結んでいます。
投稿: KeiichiKoda | 2015年2月20日 (金) 09:04
上の、私の2014/2/5コメントへの追記です。
「・・・ポーランド出身の若い女性が女流棋士を目指して来日し、研修会(奨励会の下部機関)で修業にはげんでいるという情報もあります。」と書きましたが、この女性はとうとう女流棋士になったようですよ。以下のリンクをご覧下さい。
http://news.so-net.ne.jp/article/detail/1115839/
【エムズの片割れより】
将棋は日本人だけの文化だと思っていましたが、スゴイですね。
投稿: KeiichiKoda | 2015年6月28日 (日) 17:43
エムズさんの御子息は八王子将棋センター出身の将棋5段腕前の由ですが、八王子将棋センター出身の棋士の話です。
2015年度(第65回)NHK杯将棋トーナメントの優勝はこのセンター出身の村山慈明7段でした。村山さんは「序盤のことは村山に聞け」といわれる研究家として有名。NHK杯戦は全国の将棋ファン注目の棋戦で、かの羽生名人もすべての名人経験者を連覇して、天才羽生の名前を揺るぎないものにしたのも5段のときのこの棋戦の優勝でした。もしかしたらエムズさんの御子息ともお知り合いではないかと考えたら、なんとなく決勝戦でも村山さんを応援してしまいました。
もう一人八王子センター出身では、奨励会3段までいって、先ごろ癌で亡くなった天野貴元さんがいますが、この人のことが2016/4/3(日)、14:00-14:55、フジテレビでドキュメンタリーとして取り上げられます。興味がおありでしたらご覧下さい。詳しくはここ(↓)をご覧下さい。
http://www.fujitv.co.jp/thenonfx/index.html
天野さんも、もしかしたら、御子息のお知り合いではないでしょうか?以前、雑誌「将棋世界」に、八王子将棋センターが紹介されたとき、席主と一緒に写っている小学生の天野さんの写真を覚えています。この子も、将来は羽生さんと同じような強豪の棋士になるにちがいない、と。
【エムズの片割れより】
情報をありがとうございます。
一昨日だったか、九州の息子から、4/3のフジテレビの「ザ・ノンフィクション=天野貴元30歳~」という番組を録って送ってくれと、珍しくカミさんメールが来ました。
そんな背景だったのですね。
そして村山さんは日野市出身らしい。この辺は、将棋の神が宿っている場所なのかも・・・??
追)今、カミさんに聞いたら、舌がんの人は、前に息子から話を聞いたことがあるとか・・・。やはり同じ道場で知り合いだったようです。
投稿: KeiichiKoda | 2016年4月 1日 (金) 10:12
上のコメントへのフォローアップです。
私も4/3のフジテレビのドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション=天野貴元30歳~」を観ました。将棋界の語り部といわれた故河口俊彦7段(河口さんについては上の2015/2/17の私の投稿で触れています)の著書の一つ「一局の将棋、一局の人生」を思い出しました。天野さんにとっては不完全燃焼の人生だったかもしれませんが、これも一局の人生だった、と。30歳で亡くなった天野さんの倍以上を生きている私ですが、彼のような状況(余命1年の宣告)になったとき、どういう余生を送ることができるか、考えてしまいました。好きな本を読んでも頭に入らないだろうし、好物の食べ物を食べても美味しくない、彼のように賭けるべき執念が私には何もないことに気づきました。
なお、私の4/1のコメントで記したURLは番組終了後別の番組に変わっていますので、天野さんについてお知りになりたい方は、たとえば
http://www.asahi.com/articles/ASHBW45GCHBWUCLV004.html
をクリックしてください。
将棋界には、1998年にA級在籍のまま29歳で亡くなった村山聖九段がいますが、彼を主人公としたノンフィクション映画「聖の青春」が今秋公開されるようです。3月1日の日経新聞の夕刊には、この映画についての記事があり、「「東の羽生、西の村山」と羽生善治王座と並び称され、病と闘いながら勝負師として29年の短い人生を生き抜いた棋士」と書いています。原作は直木賞作家で、雑誌「将棋世界」の編集長も勤めたこともある、大崎善生氏。村山九段を演じるのが俳優の松山ケンイチ。私もこの映画が上映されるのを楽しみにしています。故村山聖九段について知りたい方は彼についてのウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%91%E5%B1%B1%E8%81%96
をご覧下さい。
なお、4/1のコメントで、NHK杯将棋トーナメントに優勝した村山慈明七段のことを「序盤のことは村山に聞け」と呼ばれる研究家と書きましたが、このフレーズは実は終盤が強かった村山聖九段の「終盤のことは村山に聞け」から来ていることは知る人ぞ知るの事実です。
投稿: KeiichiKoda | 2016年4月 4日 (月) 09:32
本日新聞の朝刊を開いた方はお気づきになったように、将棋界にビッグニュースが飛び込んできました。14歳(中学生)の藤井聡太三段が奨励会の三段リーグを突破して、10月1日付けで新四段に昇格し、プロ棋士になることが決まったことです。渡辺竜王以来の、16年ぶりの中学生棋士の誕生です。詳しくは
http://www.shogi.or.jp/topics/news/2016/09/post_1452.html#record
をご覧下さい。中学生でプロ四段になった棋士はこれまで加藤、谷川、羽生、渡辺の4人しかおらず、四段昇段の若さが14歳2ヶ月とこれまでの記録(加藤九段の14歳7ヶ月)を抜き、しかも三段リーグを1期で駆け抜けるというすばらしい記録です。将棋連盟のプロになる制度が何度も変っているので、一概に比較するのは難しいのですが(たとえば、谷川さんや羽生さんの時代には三段リーグはなかった)、すばらしい記録であることは間違いありません。藤井新四段の今後の活躍が楽しみです。
【エムズの片割れより】
読みました。各紙に大きく載っていましたね。
スゴイですね~!
歴史に残る棋士になるでしょうね。
投稿: KeiichiKoda | 2016年9月 4日 (日) 15:20
上の2015/2/17のコメントに対してエムズさんは、「残念ながら、ブルックナーと自分はあまり相性が良くなく、3番、4番がかろうじて頭に残る程度で、7番は自分の耳を素通り云々」 と書いておられる。NHKEテレの「ららら♪クラシック」という番組(↓をご覧下さい)を見ていたら、テーマがブルックナーで、ブルックナーという作曲家は熱烈なファンがいる一方、ファン投票では嫌いな作曲家のランキング1位を毎年占めているような音楽家であることを知りました。なるほど、エムズさんが「相性が悪い」と書いておられるのも、決して例外ではないんですね。ブルックナーの熱烈なファンのなかには、脳学者の茂木健一郎氏もいるし、たぶん将棋界きってのクラシックファンである青野九段もその一人なのでしょう。以前、クラシックファンの友人からクラシック曲のCDをたくさんプレゼントされたことがあって、ほっておいたのですが、よく見たらブルックナーの交響曲第7番もはいっていました。今度ぜひ聞いてみなくては!
http://www.nhk.or.jp/lalala/archive.html
【エムズの片割れより】
タイムシフトで見ました。嫌いな作曲家No1ですか・・。分かる気も・・・
久しぶりに聞く「ロマンチック」。大学1年の時の前期試験が終わった時に、ワルターのレコードを買いに行った記憶があります。
どの曲も、同じような雰囲気だと思っていたら、“ブルックナー**”というようなクセが、やはりあるのですね。
そのうち機会があったらNo7も聞いてみます。
投稿: KeiichiKoda | 2016年9月12日 (月) 13:14
将棋界の明るい話題といえば、史上最年少で棋士になった藤井聡太四段をめぐる話題で、私も2016/9/4のコメントで、「藤井新四段の今後の活躍が楽しみです」と書きました。藤井さんはその後も快進撃を続け、「最年少vs最年長-”天才”少年棋士鮮烈デビュー」(2017/1/16「クローズアップ現代)、4/4のNHK午後7時のニュースでは藤井聡太四段11連勝のデビュー連続新記録を達成と話題を提供し続けています。そして本日、朝刊(日経)を開けたら、「藤井四段13連勝!」の記事。これには2重の意味で驚いた!一つは、もちろん記録を13連勝まで伸ばし、新記録を塗り替えたこと。もう一つは、この13連勝は4/23(日)に放送予定のNHK杯戦の千田ー藤井戦の結果ですが、これが放送前に報道されたこと。NHK杯戦というのは、「生」の放送ではなく、何日も前に録画を撮り、日曜日の10:00-12:00amにEテレで放送しているのです(そのことは、将棋ファンならだれでも知っていること)。いくら将棋界の唯一の明るい話題とはいえ、それを放送前に結果を公表してしまう(新聞だけではなく、将棋連盟のホームページに公表されている)というのは将棋ファンをバカにした行動ではないでしょうか?勝負事というのは、将棋にしろ、サッカーの試合にしろ、結果がわかってから観戦するということほどつまらないことはない。公表することで、最終盤の、詰むや詰まざるやの緊張と楽しみを奪うという「禁じ手」を指してしまった、いうことです。将棋連盟の執行部は三浦問題で処理を誤り、私を含む将棋ファンを激怒させ、佐藤理事長の新体制に移行したはずなのに、三浦問題ほどの大きな問題ではないとはいえ、将棋ファンを愚弄している点では変わりがない大失態と言わざるを得ないでしょう。
【エムズの片割れより】
確かに、視聴者からみるとその通りですね。しかし、番組の視聴者“以外”から見ると、そんな事は知らん!事実だけが大事・・・!?
この将棋の結果に限らず、サッカーの試合でも何でも、生中継以外では、結果は早々に報道されてしまう・・・
昔、生中継を見られなかった試合で、家に帰ってから「絶対に結果を言うなよ」と言って、録画しておいた試合を見たことを思い出しました。
投稿: KeiichiKoda | 2017年4月18日 (火) 09:17
NHK将棋トーナメントの長い歴史の中で、勝敗の結果が放送前に公表されたことは今回を除けば一度たりともなかったと思います。ただ、一度だけ結果が事前に知られてしまったことはあります。何年か前の日曜のNHK杯の決勝戦の放送のとき、大きな地震があって、放送中の将棋番組が中断され、地震の速報に切り替わるという事件がありました。決勝戦は1週間後に再設定されましたが、月曜日発売の「週刊将棋」(この将棋新聞は現在は休刊中)には結果が載ってしまうという事件です(「週刊将棋」を読んでいない人にはわからなかってかもしれません)。これはまったく不測の事態で、意図せざる結果なので私もこの事態に対してどうこう言うつもりありません。
昨今は奇妙な事件がつぎつぎと起こるので、村上春樹の「1Q84」の世界に紛れ込んでしまったのではないかとすら感じることがあります。数年前にベストセラーになったこの小説についてはご存知の方も多いと思いますが、
1984年のある日、主人公の青豆はタクシーに乗って首都高速道路で走行中渋滞に巻き込まれ、先を急いでいた彼女はタクシーを降りて非常階段を使ったことから別の世界(「1Q84」の世界)へ迷い込んでしまう。後者の世界は住んでいる住民も景色も前者の世界とほとんど変わりなく、青豆は当初この世界に迷い込んだことに気付かなかったが、奇妙なことがあることにだんだんと気が付いていく
という筋立てで話が展開していきます。将棋界にも三浦事件のような前代未聞の事件や、今回のように放送前に勝負の結果を公表してしまうというような、私には奇妙としか思えない「事件」が起きています。だいたい、アメリカの大統領にトランプ氏のような人物がいること自体たいへん奇妙な光景ではないでしょうか?
投稿: KeiichiKoda | 2017年4月19日 (水) 08:48
訂正です。藤井ー千田のNHK杯戦の放送予定は明日の4/23ではなく、来月の5/14が正しいようですね。将棋連盟は1か月後に放送予定の対局の勝敗結果を公表していたんですね。実際の対局が放送の1月前おこなわれること自体は驚くべきことではなく、たとえば、三浦問題の渦中の、2016/10/23に三浦ー橋本戦が放送されましたが、この対局は1か月前の9/19に行われたものでした。(通常いつ行われた対局であるかなどは示されることがないのに、このときばかりは、放送中にこの旨のティロップが流れたので、よく覚えています。)これで、今回連盟がなぜNHK杯戦の対局結果を放送前に公表したのかの理由の一つは想像がつきます。実際に行われた対局日と放送との間に約1月のタイムラグがあるのでこの間に藤井4段に別棋戦の対局があると、その対局の勝敗はその日にわかります。勝てば連勝記録がもう一つ伸び、負ければ連勝記録がそこでストップすることになる。いずれにせよ、メディアの注目の的である藤井の連勝記録がいくつとなるか問題になる。将棋連盟では、NHK杯戦の対局の結果は放送時点ではなく、実際の対局時点で計算する方式をとっているので、藤井の連勝記録はその他棋戦の対局に負ければ、その時点で13でストップ、勝てば14となる。しかし、そのように発表すると、メディアは連続勝利が12までは知っているので、その時点で実はNHK杯戦の、いわば「隠れた」勝利があったことに気づくことになる。連盟としてはそれを隠すためには、他棋戦の勝敗が決定した時点で、藤井の連勝記録は、それぞれ、12(他棋戦に負けたとき)、13(他棋戦に勝ったとき)と「嘘」の発表をしなければならなくなる。問題は、負けた時の連勝記録だ。本当は13なのに、12でストップしていることになるからだ。本当の13を発表するなら、5月14日に放送予定のNHK杯戦に勝っていることが(正しく)推測されてしまうし、12といえば、嘘をついたことになり、放送のあと訂正しなければならなくなる。このようなリスクを抱えた連盟は、訂正を余儀なくされるリスクを回避するために、4/17に藤井のNHK杯戦の対局があった時点で、本当の連勝記録を公表したのではないか?このジレンマはどうしたら解決できるでしょうか?私は、対局時点を実際に対局が行われた時点ではなく、放送があった時点に規定を変えることだと思う。そうなれば、記録上のタイムラグ問題は解消するので、NHK杯戦の結果を放送時点まで公表しなくても問題はなくなるはずだからだ。
【エムズの片割れより】
同じような話は、NHKの日曜討論でもありますね。「今日収録された・・・で・・・という発言があった」とか・・・
放送日などを気にする余裕は無く、発生した事実で動くしかないのでしょう。視聴者の事よりも、それが最もトラブルが少ないと判断しているのでしょうね。
投稿: KeiichiKoda | 2017年4月22日 (土) 15:01
藤井四段は相変わらず勝ちまくっていますね。本日(4/27)の朝刊には、デビュー以来の連勝記録が14に達したことが報じられています。また月曜(4/24)の朝刊によると、インターネットTV局が企画した非公式戦「炎の7番勝負」では羽生さん含む錚々たるメンバー(A級3人、タイトル戦挑戦等の実績のある若手4人)との対戦で6勝1敗の成績をあげたらしい。YouTubeにはこの対戦の模様や棋譜がアップされています。将棋界の連勝記録は28ですが、どうせならこの記録も藤井四段に破ってほしいと思う反面、連勝がこのまま続くと、NHK杯戦の、次の対局の勝敗も放送前に報道されるという恐れが出てくる。(私の4/22のコメントを参照してください。)勝敗が分かった対局を観戦するというのは、いわば、犯人を知らされたミステリー小説を読まされるようなものです。藤井四段はこの春中学3年に進級し、高校受験を控えているはずですが、受験勉強は大丈夫なんだろうかと老婆心ながら心配になってしまいます。高校に進学した羽生さんはあまりに勝ちまくっていたため、出席日数が足りなくなり、その高校を卒業できなかったというのは有名な話。(勉強家の羽生さんはその後通信教育で、高卒の資格をとったようですが、体育のスクーリングを年配のおじさんたちと一緒に受けたことを日経の夕刊のコラム「こころの玉手箱」でヒューモラスに書いているのを読んだことがあります。)
【エムズの片割れより】
いやはや大変な人が出て来ましたね。これで世の中の将棋熱が、またまた上がるかも・・・
投稿: KeiichiKoda | 2017年4月27日 (木) 12:43
藤井四段、あっというまに負けなしの20連勝!本日(6/3)の朝刊は軒並みこの話題でしょう(といっても私は日経しか読んでいませんが。。)エムズさんが1月前に「これで世の中の将棋熱が、またまた上がるかも・・・」と書いておられるますが、連勝のたびにメディアで報道されるので、将棋を指さない一般の人たちも、みんな天才少年棋士藤井聡太の名前は知っているようです。数日前の日経新聞の夕刊(5/30)には「快進撃の14歳19連勝中」という見出しの記事で、藤井四段に続けとばかり、将棋教室や関連グッズが活況を呈しており、藤井4段が幼少期に遊んだスイス製の知育玩具「キュポロ」にも注目が集まっている、と報道しています。
四段時代の羽生さんは、将棋ファンの間でこそ超有名で、私もそのころから知っ ていますが、それでも羽生さんの名前が世間に広く知られるようになったのは、たぶん7冠を制覇したころ、羽生さん25歳のぐらいのときぐらいからでしょうか(?)いずれにせよ、四段時代の羽生さんを知っていた一般人は非常に少なかったと思います。認知度という点では、羽生四段は藤井四段にとてもかなわない。羽生さんがはじめて将棋の(指し方)を知ったのは、両親が将棋を指さなかったため、小学校へはいってから、将棋を知っている友達から教えられたときだったようです。藤井四段が将棋を覚えたのは、4-5歳のころ祖父母から教えられたときだったらしく、おじいちゃんと将棋を指している写真が残っています。モーツァルトの才能を見抜いた父親のレオナルド・モーツァルトが4歳のモーツァルトに音楽を教え始めたという逸話を思い出します。
【エムズの片割れより】
ウチの息子(中学生?)と親父が将棋を指していたシーンを思い出しました。
自分は指しませんが、親父と兄貴は将棋が大好き。(息子は、八王子将棋クラブの羽生さんのそばに5段の名札あり)
親父は、(反抗期で?)挨拶がなっていない孫に諌言するため、将棋で負かさなければ、と、寝床に将棋の本を持ち込んで勉強していました。脳溢血で倒れた時、朱線の付いた将棋の本を、お棺に入れました。
ウチの息子も、祖父にもっと近ければ(態度が良ければ)、もっと早く将棋へ近付くことができて、もっと成長したかも・・・??
投稿: KeiichiKoda | 2017年6月 3日 (土) 19:34
訂正です。モーツァルトの父親の名前はレオポルトですね、レオポルト・モーツァルト。それから藤井4段は、中高一貫の名古屋大学教育学部附属中学の3年生なので、高校受験はないんですね。「文芸春秋」の本年3月号(2月発売)に将棋ライター松本博文氏による「将棋 14歳プロは羽生を超えるか」という記事があり、そこに書いてありました。文春は毎号読んでいるんですが、この号の特集は芥川賞発表で、この記事を見逃していました。いま、読み返してみると、藤井4段についてはこの事実以外は今ではよく知られた事実ばかりでした。そのはずで、1/16のNHKのクローズアップ現代+「最年少vs最年長ー天才少年棋士鮮烈デビュー」以来、NHKだけでも藤井4段が連勝するたびに7時のニュース、ニュースウオッチ9、ニュースシブ5時で取り上げられるし、民放のワイドショーでは毎日のように藤井4段の話題が取り上げられていますから。直近のニュースは6/10の叡王戦の勝利で25連勝、連勝記録歴代単独2位になったということ、いよいよ将棋界の記録28連勝にせまってきました。
【エムズの片割れより】
なるほど。受験勉強は不要か・・・
しかし、25連勝とはスゴイですね。自分は指しませんが、家族に将棋好きが多いので、今後の活躍に興味津々です。
投稿: KeiichiKoda | 2017年6月11日 (日) 09:30
NHKスペシャル「人工知能天使か悪魔か2017」はご覧になりましたか?羽生さんが案内する、2015/5/15同タイトルの続きです。YouTubeにもアップされていますので、見逃されたのなら
https://www.youtube.com/watch?v=fq8pRbgP_-A&t=33s
でもご覧になれます。ポナンザ対佐藤名人の対局で、羽生さんが解説しているように、人工知能(AI)の将棋はこれまでの常識ではまったく考えられない手を指すようです。羽生さんはこれを将棋はまだまだ進化させる余地があるとポジティブにとらえているようです。
いま話題の藤井4段の強さについても、なぜこんなに強いのかについて、AIとの関連が指摘されているようです。藤井4段が29連勝という新記録を達成した翌日(6/27)の日経新聞朝刊の2面では、「AI時代の申し子偉業」「藤井4段ソフトで探求」という見出しで、何人かの棋士が藤井将棋と将棋ソフトとの類似性を指摘し、ソフトを使った研究によるところが大きい、としています。別のところでもコメントしましたが、ソフトを使った研究で成果をあげている棋士といえば、「異色の棋士」千田翔太6段です。2016年のNHK杯では初出場で、準優勝、今期の棋王戦挑戦者(渡辺棋王にフルセットで負け)と、活躍し、ソフトから得たヒントで新しい定跡を作り出し、升田幸三賞を受賞しています。この棋士の練習法が「将棋フォーカス」で公開されました(YouTubeにもアップされています↓)。千田さんの練習というのは、「①ソフトと対局し、悪手を指した局面を検討する。ソフトに評価値がグラフ・数字の形で示される。②コンピュータ同士の対戦を観戦する。人間同士の対局ではあらわれない局面が出てくる。③一つの曲面(何でもよい)を取り上げ、形勢判断の力を磨く。形勢判断にはソフトに判断させる。」ということらしい。たぶん、現在では多くの(若手)棋士がソフトを利用した同様の練習法を取り入れているはずですが、とくに藤井4段の将棋にソフトの影響が大きいと指摘されているのは、藤井4段が若く、頭が柔軟で、かつ詰将棋大会で3連覇するほどの将棋の読みの力が突出しているために、ソフトに近い考え方が誰よりもできるのかもしれません。千田ンさんが登場する番組(YouTubeのタイトルは「異色の棋士千田翔太6段」)には5/14放送の千田6段と藤井4段のNHK杯戦の終わったあと、藤井4段が千田さんのコンピュータをのぞき込む場面があるので、ぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=nAxByT7yJqw&t=487s
2016/17年の将棋界というのは三浦問題にはじまり、佐藤名人がAIに敗北し、人間がAIには勝てないことが決定的になり、千田6段や藤井4段のようなAIを活用した棋士の活躍というふうに良くも悪くも将棋界がAIに振り回された年として記憶に残るのではないでしょうか?
【エムズの片割れより】
自分も見ました。
29連勝したとき、「今までの将棋で一番印象に残ったのは?」と聞かれて、最初の加藤九段との対戦を挙げていました。
なかなかの人物だと思いました。
明るい話題が少ない世の中、連勝を続けて欲しいものですね。
投稿: KeiichiKoda | 2017年6月29日 (木) 09:57
先日(7/1)NHKEテレでETV特集「加藤一二三という男ありけり」という番組がありました。藤井四段が棋士デビュー戦の対戦相手が、それまでの最年少棋士の記録を持ち、当時将棋界最年長棋士でもあった加藤九段で、クローズアップ現代プラスでも「最年少vs最年長、”天才”少年棋士鮮烈デビュー」として取り上げられ、話題になったことは記憶に新しいところです。私は知らなかったのですが、加藤九段は「ヒフミン」の愛称のもとでワイドショーやバラエティ番組などで一般にも広く知られていたんですね。考えてみると、加藤九段は、藤井四段のときもそうですが、これまでも大成した棋士の「引き立て役」としてたびたび登場してきているんですね。私の以前のコメントでもふれたのですが(上の2012/12/26および2013/6/16のコメントを参照ください)、羽生さんを一躍有名にしたNHK杯史上No1の名手とされる「空中に打った5二銀」のときの相手は加藤九段だったし、谷川さんの、21歳史上最年少名人が誕生したときの、破った相手が、当時の加藤一二三名人でした。
ETV特集「加藤一二三という男ありけり」は以前に放送されたNHK総合のノーナレ「諦めない男棋士加藤一二三」(2017/3/27放送)の拡大版ですが、本日(7/5)深夜Eテレで再放送があるので、見逃されたのなら、どうぞご覧ください。
【エムズの片割れより】
さっそく、予約しました。
投稿: KeiichiKoda | 2017年7月 5日 (水) 09:15
私は、ときどきNHKEテレの「ニュースで英会話」(毎週木曜11:25-55pm)という番組を視聴していますが、今週は「将棋の藤井4段 強さの秘密に迫る」というタイトルで藤井4段を取り上げています。英語で将棋のことをどう説明するかを知るにも便利です。番組では、オランダ出身の将棋愛好家で、AIを研究している東京工科大学コンピュータサイエンス学部のライエル・グリムベルケン教授にもインタビューして、藤井4段の将棋とAIとの関係等についても聞いています。なお、グリムベルケン氏は、上の私の2014/2/5のコメントで、「外国の将棋ファンの一部が将棋のために日本を就職先に選ぶこともあるようです」と書いたとき、念頭にあった外国人の将棋愛好家です。
この番組は明日7/8(土)6:00-25amにも再放送されます。また、グリムベルケンケン教授とのインタビューは
https://cgi2.nhk.or.jp/e-news/special/index.cgi?pn=sp20170706
でも観ることができます。
投稿: KeiichiKoda | 2017年7月 7日 (金) 06:03
藤井4段はその後3敗し、一時の藤井ブームは去ったようですが、まだ中原誠(16世名人)が持つ年間勝率0.8545(1967年度)を30年ぶりに書き換えることがきるか、といった興味が残っていて、メディアも目が離せないようです。そのためか、藤井4段の次回のNHK杯戦の相手は森内九段(元名人)決まっていますが、この対森内戦は生放送で放送されることに決定されたとか、ネットで騒いでいます。上の私のコメント(2017/4/18, 4/22)で指摘しましたように、将棋の勝敗は対局時にカウントされるので、藤井4段のように、勝敗がいちいち問題にされるような棋士の場合、対局があった時点でメディアが結果を嗅ぎつけて放送前であっても報道してしまうので、「生放送」でする以外方法がないのかもしれません。それにしても、NHK杯戦が録画放送ではなく、「生」で放送されるとは、TVで放送されるようになってはじめてのことでしょう!
【エムズの片割れより】
藤井さんも、一時の大騒ぎから解き放たれて、ホットしているのかも・・・
いずれにしても、まだ1年目。今後の活躍が期待されますね。
北朝鮮よりも、将棋の話題の方がよっぽど正常!
投稿: KeiichiKoda | 2017年8月17日 (木) 08:54
昨夜(2017/10/3)放送のNHKBSプレミアムの番組アナザーストーリー「史上初の七冠制覇、ヒーローに翻弄された男たち」はご覧になりました?番組紹介はここ(↓)
http://www4.nhk.or.jp/anotherstories/x/2017-10-03/10/7399/1453072/
羽生さんに7冠制覇のとき敗れた谷川9段、ライバルだった森内九段、それから羽生さんが通った八王子将棋クラブの席主八木下さんの視点から羽生さんの強さを語る番組です。もちろん、当時の羽生さんも登場します。八王子元木小学校6年の羽生さんが小学生名人戦で優勝したとき、谷川8段(当時20歳、羽生とは8歳年長)が解説役として登場しますが、大山永世名人(当時将棋連盟会長)から優勝賞状を手渡されたあと、大山さんから「後ろに控える谷川8段を目標に十分やれる棋力ではないか」というコメントをもらう。八木下さんからは、7冠制覇のとき、これを報道する各社の新聞を片っ端から買いに行ったという話や羽生さんがこのクラブへ通いはじめたころのエピソードが披露される。7冠制覇がなって八王子将棋クラブ内が沸き立つ映像も映し出されました。この中には、エムズさんのご子息の姿もあるのではありませんか?あるいはこのセンターに通うことになったのはそれ以後のことなのでしょうか?このクラブの師範の名札の中には羽生さんのほか、阿久津、中村、長岡、増田という棋士の名前が見えていますが、このクラブから棋士になった人はほかにも村山、高崎、及川、伊藤、大橋と、たくさんいるんですね。現在王座戦で羽生王座に挑戦中なのは中村6段ですが(中村6段があと1勝で王座を奪取というところまで迫っています)、奇しくも二人ともこのクラブの出身ですね。
【エムズの片割れより】
録画を先ほどやっと見ました。この番組でクラブの名札を初めて見ましたが、確かに5段の所に息子の名前がありました。(5段はウソではなかった!?)
それにしても、羽生さんが七冠を達成したときに、それだけ強いのなら、しばらく七冠が続くのかなと思いましたが・・・
勝負の世界は、維持が大変なことが良く分かりました。
投稿: KeiichiKoda | 2017年10月 4日 (水) 09:00
羽生さんが竜王に返り咲いて、タイトルを2冠に増やしただけでなく、永世竜王の資格を得て、永世7冠を達成し、藤井4段に話題を独占されていた2017年の将棋界で、ひさびさに羽生さんが脚光をあびましたね。羽生さんにとっても、竜王ははじめて(19歳のとき)とったタイトルでが思い入れの強いタイトルのはずなのに、このタイトルだけは永世の称号がなかった。この称号を得るには通算で7期(連続だと5期)が必要ですが、その7期目(2008年)に対戦した相手が渡辺竜王で、このときの竜王戦は4連覇していた渡辺竜王も羽生さんに勝てば連続5期となるので、二人とも永世称号がかかっていた戦いだったんですね。この戦いは羽生が初戦から3連勝し、誰もが羽生のタイトル奪取を疑わなかったでしょう。なにしろ、将棋界には3敗から逆転して4連勝しタイトルをとったという歴史はなく、確率的にも4連勝するには(2人の力が拮抗しているとして)0.5の4乗=0.0625、つまり6%ぐらの微かな可能性しかありませんから無理ありません。しかし、羽生さんはこのタイトル戦に4連敗して逆転で負けるのです。このころは竜王タイトル戦はNHKBSが実況中継していて、私も手に汗を握って観戦していたことを覚えています。今回この渡辺竜王から竜王位を奪ったのですから感慨深いものがあったにちがいありません。史上初の永世7冠は主催紙の読売新聞は号外を出したらしいのですが、各紙も大々的にとりあげましたから、八王子将棋クラブの席主の八木下さんもまた各紙を買いあさるので大忙しだったでしょう(笑い)。各紙の永世7冠報道で書き忘れていることがあります。羽生さんには7大タイトルの永世称号のほかにNHK杯に10度優勝し、NHK杯名誉選手権者というほかの誰もが持っていない「永世」称号があります。羽生さん以外にこの称号をとれる棋士が将来でてくるのでしょうか?
投稿: KeiichiKoda | 2017年12月20日 (水) 11:16
本日(2017/12/22)の日経新聞の文化欄に八王子将棋クラブの席主の八木下征男さんが、今年で40周年を迎えた自分の将棋道場について書いています。書き出しは「八王子将棋クラブ(東京都八王子市)というと、ちょっとした将棋の「聖地」らしい」となっていて、見出しも「王座2人を育てた「聖地」」となっています。もちろん「王座2人」というのは羽生さんとその羽生さんを今年破って新王座についた中村太地7段のことです。私は10/4のコメントで、この道場出身の棋士はたくさんいると書きましたが、八木下さんの言葉によると「道場出身のプロ棋士は10人を超える」と書いています。羽生さんはこの道場にこの道場が出来た翌年1978年から通い、修行をはじめたので、こここそが将棋の聖者(?)羽生さんを生んだ「聖地」でしょうね。それから、八木下さんは、棋士になれなかったが忘れられない存在として、2年前に30歳でガンで亡くなった天野貴元さんの名前をあげていますが、私も天野さんのことは上の、2016/4/1と4/4のコメントで書きました。
【エムズの片割れより】
情報をありがとうございました。
紹介頂いた日経の八木下さんの記事を読んでみました。記事にある棋士は、天野貴元さんはじめ、10人のプロ棋士の皆さんが名札にありました。
先日のNHKの番組から、八王子将棋クラブの名札の写真をアップしておきました。
投稿: KeiichiKoda | 2017年12月22日 (金) 10:58
2月17日には、「羽生が負けた、羽生が勝った」という情報が飛び交い、混乱したようです(笑)。もちろん、最初の「羽生」は将棋の羽生竜王のことで藤井5段(いまは6段)に敗れたこと、2番目の「羽生」はフィギュアスケートの羽生選手のことで、オリンピックで金メダルをとり2連覇したこと。漢字では同じでも、読み方が「ハブ」と「ハニュウ」と、異なります。昔、名エッセイストでもある内藤國雄九段が雑誌「将棋世界」に書いたエッセイを思い出します。雑誌は手元にないので、うろ覚えですが、こんな話です。まだ将棋の羽生さんが若いころですが、内藤さんの知り合いから電話がある。知り合い「ハニュウという棋士はだいぶ強そうじゃないか!」内藤「あれはハニュウではなくハブと読む」ではじまります。私は当時埼玉県に住んでいたので、埼玉には「羽生市」というのがあって、羽生は「ハニュウ」とも読むことは知っていましたので、このエッセイは笑って読みました。この雑誌の次号の読者欄には「埼玉県羽生市」の読者から「羽生」は「ハニュウ」とも読みますなどというコメントがありましたね。いまはどちらの「羽生」も超有名になったので、笑い話にもなりません(笑)。
内藤さんのエッセイの結論は、「将棋の天才は升田と羽生の二人だけ、あとは谷川を含めて秀才」というものでした。内藤九段は升田とも羽生とも実際に戦ったことがあり、二人の将棋の質をよく知っていたので断言できたのでしょう。藤井六段のことは何といっただろうか興味あるところですが、引退してしまった内藤さんは断言することはないでしょうね。
【エムズの片割れより】
それにしても、藤井さんはスゴイですね。相手が過去にどんな実績があろうとも、その一戦で勝つか負けるか。その直接対決で、現役名人や永世七冠を破ったのですから・・・
その話題が羽生さんの金に埋もれてしまったのが残念。
何度か書いていますが、自分は将棋は全く門外漢。しかし、親父、兄貴、次男が好きな(だった)ので、なぜか将棋の世界が気になります。
名前は、最初に覚えた呼び方が体から取れません。自分の同僚だった羽生さんは「はぶ」さんだったので、スケートもよく“ハブ選手”と言います。(政府の人気取りの国民栄誉賞の話には辟易しています)
宗像神社もあいかわらずムネカタ神社です。
投稿: KeiichiKoda | 2018年2月20日 (火) 09:00
国民栄誉賞といえば、2/18放送のTBSの番組「情熱大陸――二人の天才棋士羽生善治×井山裕太に独占密着」を観ました。「二人が官邸にはいるのはもちろんはじめて」云々というナレーションとともに官邸にはいり、総理大臣から表彰される場面が出てくるのですが、ナレーションは正しくありません。羽生さんは1996年3月に7冠制覇のあと当時の橋本総理大臣から内閣総理大臣顕彰を受けているので、総理大臣官邸にはいるのはこれが2度目のはずです。7冠制覇のときは、新聞も一面をかざる大騒ぎで、羽生さんは「国民栄誉賞」受けるのではないかという話もあったようですが、結局「内閣総理大臣顕彰」で終わったのです。今回マイナーとみられている将棋(と囲碁)へ「国民栄誉賞」が行ったのにはもちろん羽生さんの永世七冠とか井山名人の囲碁の7冠制覇という事実もありますが、中学生棋士の藤井六段の大活躍によって空前の将棋ブームになっていることが背景にあることは間違いないでしょうね。
藤井さんについての特集はNHKだけ取り上げても、クローズアップ現代「最年少vs最年長、天才少年棋士戦慄デビュー」(2017/1/16)ではじまり、クローズアップ現代が2回(1/16と6/21)、NHKスペシャルが2回(2017/7/8と10/8)、NHKEテレで1回(2017/9/2)、そしてBS1スペシャルが1回「伝説の棋士へ、藤井聡太デビューから1年」(2017/12/24)あります。これらは今年にはいって順位戦C級2組で9連勝してc級1組への昇級を決め、5段に昇段し、2月17日に朝日オープン戦で、名人、竜王を含むA級棋士たちを破って優勝し、6段に昇段することになる以前の話です。最近は、藤井さんは400年に一人の天才、つまり将棋界始まって以来の天才とみなされているようですね!
【エムズの片割れより】
放送の記録をよく取られていますね。
「情熱大陸」は自分も見ましたが、囲碁の世界は、中国・韓国に強豪がいるので、国民栄誉賞もほろ苦い?その点、将棋は日本だけなのでホットした!?
投稿: KeiichiKoda | 2018年2月22日 (木) 11:17
藤井聡太さんはすごいですね。あっという間に藤井7段になってしまいました。15歳で7段は加藤一二三九段の17歳での7段を抜いて史上最年少7段だそうです。NHKの朝のニュース、それから7時のニュースでも7段昇段が決まる前から大騒ぎでした。しかし、加藤九段とくらべるのはどうなんでしょうか。昇段規定・制度が当時と現在とでは大きく違いますから。当時は、7段は順位戦でB級1組まで昇らなければ与えられなかった。順位戦以外の棋戦(新聞棋戦といっていた)でいくら勝っても昇段はなかった。当時の制度のもとでならば、藤井さんはまだ5段のはずです(昨年度C級2組で全勝し、今年度C級1組へ進級した)。羽生さんの若いころだって、全棋士参加の棋戦で優勝すると1段上がるというような規定はありませんでした。たとえば、羽生さんは5段のときNHK杯戦で優勝しましたが、6段には昇段しなかった(羽生さんのNHK杯の初めての優勝については私の2012/12/26のコメントを参照ください)。棋戦の数も増え(加藤さんが藤井さんと同じ年齢のころはタイトル戦の数は3つしかありませんでしたが、いまは8つに増えています)、昇段規定もずいぶんと緩やかになっているのです。そうした制度面のちがいを無視して騒ぎたてるのはどうでしょうか?
【エムズの片割れより】
貴重なご指摘(分析)ありがとうございます。まったくその通りですね。
今朝の朝日新聞には「日本将棋連盟によると、「七段昇段最年少ベスト5」は〈1〉藤井聡太新七段=15歳9カ月〈2〉加藤一二三(ひふみ)・九段(78)=17歳3カ月〈3〉谷川浩司九段(56)=18歳11カ月〈4〉羽生善治(はぶよしはる)竜王(47)=20歳0カ月〈5〉渡辺明棋王(34)=21歳5カ月。昇段規定が追加されるなどで最近の方が昇段しやすくなった事情を勘案しても、規格外の昇進スピードだ。」と、少しだけ“事情”が書いてありました。
投稿: KeiichiKoda | 2018年5月18日 (金) 22:56
このコラムは「史上最強の棋士は?」というタイトルですが、もしかしたら史上最強の棋士、少なくとも現在最強の棋士は名人でもなく、竜王でなく、藤井聡太7段なのではないかと思わせる最近の藤井7段の活躍です。藤井7段の対局はほぼ全局インターネットテレビのAbemaTVとニコニコ動画(生放送)とで棋士による解説付きで午前10時から対局が終了するまで中継されるので、毎回視聴しています。とくに、直近の6/5の石田5段との竜王戦5組の決勝戦と昨日(6/22)行われた深浦9段(A級棋士)との王座戦挑戦決定トーナメントがすばらしく、ネットではワールドカップの対コロンビア戦で活躍した大迫選手になぞらえて「半端ない藤井聡太」の声が飛び交いました。石田5段との対局では悪いとされて解説陣が検討を打ち切ったところ(AIも「悪手」と判定していた手)から出発し、驚異の飛車斬りを実行して、勝ちに導いたのです。藤井さんの凄いところは飛車斬り以降、詰みまでの手順が「悪手」を指すときから見えていたこと(したがって「悪手」ではなく正解手だったということ)。この将棋のあと、棋士仲間・将棋ファンのあいだから感嘆の声があがり、藤井7段の「AI超え」という声が一斉にあがりました。この手順は「AI」には見えず、藤井さんには見えていた、ということです。
昨日の深浦戦も凄かった。終盤はワールドカップサッカーの「ブラジルvsコスタリカ」というこれまた凄まじい試合を横目で(TVを)にらみながら、パソコンのAbemaTVを観戦していたのですが、終盤、解説の2人の若手棋士が藤井さんの詰みの道筋がよく読めていない中、30数手の詰みをあっという間に即詰みに、見事に決める。
藤井さんの終盤力というのは、幼稚園のころから培ってきた詰将棋の力によるところが大きいのは間違いないでしょう。幼稚園のころから小学校低学年まで通った将棋スクールの先生はそのころから50数手詰みの詰将棋を解いていたのいうのですから恐れ入ります。プロ、アマを問わず詰将棋が得意な人達が参加する詰将棋解答選手権で藤井さんは一人だけ全問正解で4連覇を果たしたのは記憶に新しいところですが、先日のEテレの「将棋フォーカス」で今年の試験問題の中から最後の37手詰の難問の解答がMCの中村太一7段・王座によって示されましたが、中村さんが解くのに2-3日かかったという難問を苦もなく解いてしまうんですから、私のような素人はただただ驚くほかありません。なお、深浦9段を破ったことで、王座戦ベスト4に進み、いよいよタイトルが見えてきました。あと2人を破るとタイトル戦に登場し、王座に挑戦することになります。
【エムズの片割れより】
すごいですね~。こんな明るい話題は大歓迎ですね。
自分もKodaさんのように将棋が分かれば、どんなにか楽しめるのに・・・残念!
親父も兄貴も息子も将棋キチなのに、血は関係無いようで・・・
投稿: KodaKeiichi | 2018年6月23日 (土) 17:48
私の、2014/2/5の投稿で、マイク・モラスキーという日本文化研究者に言及しました。本日(2019/9/17)の日経新聞の「春秋」というコラムを読んでいたら、つぎのような文章に出会った。ちょっと長くなりますが、引用してみます。「数年前の初秋の頃だった。東京のJR中央線・西荻窪駅の近くの居酒屋で、外国人の熟年の紳士が、ひとり静かに杯を傾けていた。「おねえさん、お酒を人肌で」。端正な日本語だ。酒飲みとして相当、年季が入っている。あんなふうになりたいものだと深く感じた。後日、その紳士を早稲田大学のキャンパスで見かけた。はたと気づく。戦後日本の大衆文化史を研究するマイク・モラスキーさんではないか。・・」とあります。なるほど、こういう人なので、将棋も嗜むのだ、と妙に感心しました。
投稿: KeiichiKoda | 2019年9月17日 (火) 08:17
コロナの影響で50日間対局から遠ざかっていた藤井聡太7段がついに将棋ファン待望の棋聖戦の挑戦者に名乗りをあげ、渡辺棋聖(3冠)と5番勝負を争うことになりました。日経新聞のコラム「春秋」(6/6)の担当記者も将棋ファンのようで、「加藤(一二三)さんのプロデビュー最年少記録を62年ぶりに更新した藤井7段(17)が、また新たな歴史を刻んだ。おとといの棋聖戦の挑戦者決定戦。終日ネット中継にくぎ付けになった愛好家もおられよう。終盤、人口知能(AI)が予測する最善手冷静に差し回しタイトル挑戦の最年少記録を書き換えた。名曲だった。」と書いています。
コロナの影響といえば、NHK杯戦の将棋も5月中旬から中断され、かわりにNHKアーカイブから1988年度、羽生さん(当時5段)が4人の名人経験者(加藤、大山、谷川、中原)をこの順でつぎつぎに破ってNHK杯戦初優勝したときの対局が再放送されました。このとき、羽生さんは18歳で、ちょうどいまの藤井さんぐらいの若さでした。有名な加藤9段との対局(この対局で羽生さんが打った「5二銀」はNHK杯戦史上最高の名手として将棋愛好家ならだれでも知っている)は何回か再放送されていますが、今回、大山、谷川、中原戦も再放送され、これらの対局ははじめて見たという人も多いのではないでしょうか?なお、この羽生さんが優勝した1988年度のNHK杯戦については以前この欄で書いたことがあります(上の2012/12/15の私の投稿をご覧ください)。本日(2020/6/7)は、対中原戦の優勝決定戦が放送されました。このとき中原さんは前名人で、かつNHK杯戦の前年度(1987年度)優勝者です。解説は大山15世名人(このとき将棋連盟会長)でした。藤井7段はもちろんこのときまだ生まれていないし、大山さん自身も藤井さんが生まれる以前に亡くなっているので、もしかしたら大山さんの姿や声に藤井さんが(TV画面で)接するのは初めてではなかったでしょうか?
【エムズの片割れより】
昨日は大事件でしたね。自分もツイッターで行方を覗いていました。
終盤、90%以上の数字の載った画面が挙がっていましたね。
自分も将棋が指せたら、再放送も楽しめたでしょうが、残念ながら自分は野次馬に過ぎないので残念!?
タイトル戦の結果が楽しみですね。
投稿: KeiichiKoda | 2020年6月 7日 (日) 19:55
久しぶりに米長邦雄さんの映像を見ました。土曜日の早朝NHK総合で放送している「あの人に会いたい」という番組です。米長さんの簡単なプロフィールが紹介され、米長さんの将棋哲学が明快に述べられています。数々のタイトルを獲得してきた米長さんだが、40歳ごろから勝てなくなる。米長さんによると、将棋は18歳ぐらいがピークで、体力、気力、記憶力、...すべての面で下り坂になる。経験だけが蓄積され、豊富になるが、経験はかえって棋力の進歩にたいして邪魔をする。それに気づいた米長さんが考えたのが、自分の得意戦法とか過去の将棋の考え方を捨て、一から若い世代の棋士、とくに羽生世代といわれる人たちから将棋を学び直そうとしたことです。自宅を広く若手の棋士たちに開放して、一緒に研究会をすることで新しい考え方を身に着けようとした。いわゆる米長道場です。この成果が49歳11か月で、どうしても(名人戦では)勝てなかった中原名人から名人位を奪取して、史上最年長名人になるという快挙に結び付いたということです。
ここに出てきた若い、羽生世代(羽生、森内、佐藤、丸山の4人の名人が輩出した)もいまや50歳、A級に在籍するのは羽生さんと佐藤さん(将棋連盟会長)だけとなりました。羽生さんや佐藤さんだってA級の座は安泰ではありません。米長さんの話は示唆に富んでいるのではないでしょうか。
インターネットのNHKプラスにアクセスすると、NHKの番組(総合・Eテレ)は1週間内の番組であれば視聴できるので、興味がある方はアクセスしてみてください。(実は私も今朝放送されたこの番組を見逃し、NHKプラスで観たのです。)
【エムズの片割れより】
早速、タイムシフトで見ました。まさに米長さんの将棋哲学が語られていましたね。
米長さんと言えば、「兄達は頭が悪いから東大へ行った。」という言葉を思い出します。
それに、プロとして初めて将棋ソフトと対戦しましたよね。
しかし69歳没とは早過ぎます・・・
投稿: KeiichiKoda | 2020年10月 3日 (土) 13:13
将棋の藤井聡太名人・竜王は異次元の強さですね、羽生さん以上でしょう。唯一残されている、そして現在挑戦中の「王座戦」のタイトルをとれば前人未踏の8冠です(永瀬王座との王座戦対局は2023/9/12現在で1勝1敗)。それだけでなく、2022年度はタイトル戦以外にもNHK杯戦、朝日杯戦等の(タイトル戦以外の)一般棋戦も総なめにしました。こんな人過去にいないでしょう。
昨日のNHK杯戦をみていたら、伊藤匠7段が登場し、糸谷8段に勝利しました。強いですね。この人は子供のころ藤井聡太を負かし、負けた藤井聡太が大泣きする有名な映像が残っています(笑)。
伊藤7段は藤井聡太と同年代の20歳で(むしろ若干若い)、すでに竜王戦の挑戦者に決まっています。今後将来にわたって藤井聡太竜王・名人のライバルになるのはこの人であるような気がします。
【エムズの片割れより】
藤井さんの活躍はニュースにもなっていますが、スゴイですね。
ただ自分は、将棋が指せないのでその強さが分からず、残念です。
たまに覗いて、AMEBAの%を眺めるくらい・・・
思い出すと、親父は会社の将棋同好会で大山さんを呼んで、書いて貰った色紙を床の間に飾っていました。
兄貴も囲碁と将棋が大好きで、我が家が帰省すると息子と指していました。
息子も昔は佐賀県代表で天童に行ったこともありましたが、最近はどうなのか・・・
いまさら仕方がありませんが、こうも勝負事が苦手とは。我ながら残念です。
投稿: KeiichiKoda | 2023年9月13日 (水) 09:09
訂正。正確には、藤井聡太竜王・名人は7月(7/19)に21歳になりましたね。伊藤匠7段は3か月ほど若く、まだ20歳(10/10が誕生日)です。
投稿: KeiichiKoda | 2023年9月14日 (木) 20:56