「不眠~脳に効く薬には離脱現象がある」
今日は、昨日と打って変わって怖ろしい話・・・。睡眠薬などの頭に作用する薬は怖い・・という話。
雑誌「大法輪」(2011年8月号)の「医は仏道」という記事に、「不眠~脳に効く薬には離脱現象がある」という記事が載っていた。曰く・・・(写真はクリックで拡大)
「不眠~脳に効く薬には離脱現象がある
浜松医科大学名誉教授 高田明和
最近、抗うつ剤、睡眠薬、抗不安薬を止めることができないと訴える人が多くなっています。
覚醒剤とか麻薬なら分かるのですが、抗うつ剤や抗不安薬にも禁断症状があるのでしょうか。
<離脱現象とは>
眠れないという人はうつ状態の前兆だなどとされ、うつ病の診断にも用いられます。そこで医師は眠れない人に対して、睡眠薬とともに抗うつ剤を使うことが多くなっています。
実は、この連載でうつ病について書いた時にはあまりくわしく述べなかったのですが、最近抗うつ剤、とくに選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI たとえばパキシルのような薬)は50%くらいの人にしか効果がなく、効果があった人の半数が1年以内に再発する(つまり全体の25%しか効かない)ということで問題になっています。
つまり抗うつ剤が、初期に考えられていたほど効かないのです。
パキシルやルボックスのようなSSRIといわれる薬は、脳内のセロトニンの量を増やすとされます。しかしこれを使うと頭がぼんやりして考えられなくなるので、うつや不安に苦しむ人には悩みの軽減という効果があると考えられ、行政も使用を許可しています。
しかし、このような薬は次第に量を増す必要があるとされ、最初は10mgを2週間、ついで20mgを2週間と増やし、最後は40mgにします。患者は頭がぼんやりするので、苦しくて減らすように訴えます。
そこで、急に減らすと激しい「離脱現象」(=禁断症状)が起こるので、今度は40mg→30mg→20mg→10mgと減らします。
しかし結局、徐々に離脱現象が現れ、頭に強い電流が流れるようだとか手足がしびれるとか、頭に時に雷のような音がするなどと訴えます。とくに多いのは不眠、強度の不安です。
これ以上減らせないので、患者は10年も薬を使うようになっています。
医師は別の抗うつ剤に変えるのですが、これにも離脱現象があり、抜けられません。
<脳が変わってしまう>
不安や不眠には抗不安薬、睡眠薬を使うのですが、これらにも離脱現象があるのです。
不眠は脳の抑制がうまくゆかないからということは、すでに述べました。多くの場合に神経を抑制するGABAという物質が塩素イオンの通路(受容体)を刺激して、塩素イオンが通り、神経が抑制されるという仕組みになっています。
この抑制を強めるために受容体に結合する物質、多くの場合にはベンゾジアゼピンという物質を使います。すると通路が開き、塩素イオンが多く流れ込み、抑制が働き、眠れます。 ところが、すべての薬に当てはまるのですが、薬を使うとそれと結合する受容体が減り(これを「ダウンレギュレーション」といいます)、あまり薬が効かないようにするという仕組みを体はもっています。
つまり、塩素イオンの通路の数が減るのです。そこで次第に薬の量を増すようになります。
しかし、いつまでも薬を使っているのはよくないので、適当なところで薬を止めようとすると、受容体の数、塩素イオンの通路の数は増えることになっています(これを「アップレギュレーション」といいます)。
しかし、この保証はないのです。つまり脳は変わってしまい、塩素イオンの通路の数がもとに戻らないので、ベンゾジアゼピンが駄目なら、別の睡眠薬を使うということになり
ます。
じつは不安の場合にも不安の神経が興奮するので、これを抑制するためにベンゾジアゼピンのようなものを使います。
ベンゾジアゼピンのうちで眠りの中枢に効くものが睡眠薬だといったらよいでしょう。
<離脱現象について十分理解を深めよう>
とくに高齢者になると、一度減った受容体はもとに戻らないということがよくあります。
そうなると眠れず、不安になるので常に医師に薬を処方して貰わなくてはならないということになってしまいます。
とくに不眠につきもののうつ状態をなくすために抗うつ剤のSSRIを使うと、神経のつながりの部分であるシナプス間隙のセロトニンが増えるのですが、そのためにセロトニンの受容体が減ります。
今度薬を止めようとすると受容体がもとに戻らないので、不安、不眠、脳の活動の異常などが起きてしまい、薬から離れられなくなるのです。
脳に働く薬は、脳を変えようとするものです。薬を止めた後に元に戻るという保証はありません。
抗うつ剤でも抗不安薬でも睡眠薬でも薬はなるべく使わないようにし、もし使うなら先生とこのような離脱現象について十分理解を深める議論をしてからにしていただきたいものです。」(雑誌「大法輪」2011年8月号p210より)
何とも“ドキッ”とする話ではある。睡眠薬などは薬局でも売っているし、誰でも手に入る。それが“頭を壊す”という・・・
確かに、睡眠が不足すると一日中体調が優れないことがある。一日をムダにする位なら、睡眠薬で寝た方がよっぽど良い、という論もある。
昔、会社で米・東海岸に出張したことがあった。その時の睡眠はまさにボロボロ・・・。まったく寝付かれず、明け方にウトウト・・・・。時差に弱い自分は、それ以来、海外旅行には必ず睡眠薬を持って行くことにしている。
まあこれは異常時だが、日常の睡眠薬は、注意しないといけないようだ。でも医師は「副作用を心配しているようだが、少しくらいなら全く心配ない」と言う。
結局、判断するのは自分・・・。
でも、「薬は体に良くない」ことは事実。どんな薬も、飲まないに越したことはない。結局、薬の効果とそれによる弊害を天秤に掛けて、自分で判断するしかない。
最近、ウチのカミさんの趣味は自家製モニョモニョ・・・・。酵素ジュースだとかウコンだとか(ここ)、良く分からないままに飲まされている。(たとえ“暗殺用の毒”でも飲まされてしまうのである・・・)
まあ市販の「薬」よりは良かろうと、命令に逆らえず、飲んではいるが・・・。
とにかく“直ぐには薬に頼らない”姿勢だけは必要だな・・・
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薬の副作用は怖い・・・
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コメント
十数年前、事故で記憶を失くしたことがあった。その時、妻は私と精神病院に入院させた。自殺未遂をくり返した為らしい。主治医は重症のうつ病扱いをして、抗欝剤を処方した。そのため、ハイの状態になったらしく、猛烈に勉強を始めた。とは言っても、文字は平仮名しか読めず、しばらくは書物を読んでも意味は頭に浸透しなかった。50日間のうつ病の治療を受け、退院した。その期間の日課は朝5時から勉強を開始し、毎日10時間程度の勉強をした。社会復帰のため必死であったようだ。漢字などの記憶はは1ヶ月ぐらいしてから少しずつ戻り文書も読めるようになった。入院してから1ヶ月目から周りを見渡せるようになった。病院は牢獄,患者は眠らされて管理し易いようにしてあった。おそらく医師は治す気などない様に思えた。精神病は精神科の医者には治せないのであろう、と思った。
【エムズの片割れより】
まさに小説のような話ですね。これが現実とは・・・。
人生、まさに一寸先は闇。でも良く立ち直れましたね。ビックリです。
投稿: 金子 次郎 | 2011年8月 8日 (月) 21:22