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2011年8月15日 (月)

KENWOODのFMチューナー「L-02T」のカタログ・接続図・文献

小学生の頃に作った鉱石ラジオから始まって、今までにどの位のAV(オーディオ&ビデオ)機器を手に入れただろう・・・。その半世紀にも及ぶ自分のオーディオ人生の中で、30年も前の(1981年11月発売?)定価30万円だったというFMチューナー「L-02T」は、最も“離せない”機器になっている。
なぜか・・? 普通は、“いい音だ”と感じても直ぐに慣れてしまう。しかしこのL-02Tは、毎晩聞くたびに、「これは良い音だ」と感心する・・・。自分的には、そこが他の機器とは根本的に違う。
(“自分的”には、シンセサイザーのチューナーは全部NG。それに比べて、昔持っていたTRIO のKT-5000 (\39,500、1969年頃)は、昔、MDに録ったものを聞いても、音が良い。やはりバリコン式が良い音の条件らしい。まあ“惚れた、惚れない”の話なので、L-02T以外の機種など、どうでもよいのだが・・・)

このL-02Tというチューナーは、良く言われているように“みずみずしい音”であり“生々しい音”。そもそも“音”などというものは“好き嫌い”の世界。それでも、なおかつ自分はこのチューナーの音に惚れてしまった・・・
よって、もし世の中に、ケンウッドのFMチューナー「L-02T」の“ファンクラブ”でもあれば、自分は真っ先に入るかも・・・・!?

しかしこの機械ほど、繊細なものはない。例えると、貴婦人? それとも令嬢??
つまり、置かれた環境(受ける電波)によって大きく表情を変えるのだ。お城や御殿に住んでいる(キレイな電波を受けている)時は、この上なく麗しい。しかし、いったんホコリだらけの巷に降りるや(キタナい電波を受けるや)、その美しさは一挙に失われる。
繰り返すが、この最高級チューナーは、強い良質の電波が入ると最高の音を出す反面、マルチパスのあるようなキタナイ電波や弱い電波だと、ジュルジュルのキタナイ音しか出さないのである(ここ)。よって、このご婦人との付き合い方、ご機嫌の取り方は極めて難しい。まあそれだけに、つい気に掛けてしまい、“存在感がある”ことになる・・・・。
紆余曲折があったが、幸いなことに、我が家では、今のところ何とかキレイな電波を受けて、絶好調な音を出している。

さて本題だが、いったん惚れると、“お嬢さん”の素性を知りたくなるもの・・。そんな訳で1年前にL-02Tの“初号機”を手に入れて以来、色々と資料を集めてしまった。(写真はクリックで拡大)

<L-02Tのカタログ>
1982年5月発行のカタログはこんな調子・・・・

L02t011a L02t021a L02t031a L02t041a L02t051a L02t061a L02t071a L02t081a L02tgr1a

(詳細をご覧になる方のために、カタログのPDFをここに置きます。~10MB)

このカタログに載っているデータが興味深い。特に「総合S/N特性」。このグラフを見ると、Image07295 ステレオだと、最高性能を発揮するためにはアンテナ入力が75dB以上必要な事が分かる。それだけの入力があれば、カタログデータ的にはステレオでもS/N比が89dBも取れる。それと、他の3枚のデータも、アンテナ入力が10mvの時のデータであることに気付く。これは80dB以上の電界強度。これだけの電波を受けられる場所は、そう多くはあるまい。まあカタログデータは、車の燃費と同じく理想環境なので、まあこんなものだろう。

<L-02Tの接続図(回路図)>
そしてL-02Tの回路図だが、ケンウッドの補修部品として外販している事が分かり、手に入れることが出来た。(ここ)からメールで、ケンウッドに依頼すれば、1~2週間で送ってくれる。(多分他の機種の回路図も、有料で手に入るのでは?)
自分が送って貰った時には、A3が3枚で、代引き料込みで千数百円だった。
またケンウッドのサービスセンターや、取扱販売店でも取り寄せてくれるという。
(下記の写真は、意識的に読めない大きさにしている)

L02tcircuit1 L02tcircuit2 L02tcircuit3

(2011/09/09追)
cooltune さんから、「無線と実験」誌の1983年6月号に、L-02Tの回路図が折り込みで入っている、との情報を頂き、調べてみた。すると回路図そのものが載っていた。つまりL-02Tの接続図は既に公知のようである・・・。
よって、(ここ)にそのPDFを置きます。10MBあり。

<L-02T海外モデルのサービスマニュアル>
サービスマニュアルは、海外版モデルのものは前に米のサイトから手に入れて、当サイト(ここ)にアップしてあるが、日本語版は手に入っていない。

・L-02Tの海外モデル回路図付サービスマニュアル(英文)のPDFは(ここ)に置きます。~17MB

<L-02Tの文献>
そして、文献だが、唯一発見した文献を前に手に入れて(ここ)にアップした。何せ古い雑誌の記事なので、これを手に入れるのは苦労した・・

雑誌「ラジオ技術」1982年1月号の記事(PDFはここ
・「新製品スクランブルレポート No.46“ケンウッド L-02T” 黒川晃」
・「ケンウッドFMチューナL-02Tに採用した“ノンスペクトラムIFシステム”“ノンステップ・サンプリング・ホールドMPX”の特徴 沼田幸雄 (トリオ)」

<FM放送のノイズ対策記事>
自分が体験した一番の妨害波が電柱からのスパークノイズだった(ここ)。このことについての文献がこれ・・・。
(この文献も、ある友人が出身大学の図書館で古いCQ誌を探して送ってくれたもの・・・。実に貴重品である)

CQ誌の2000年10月号P147「電力会社にも協力を求めた電力用空中架線のノイズ対策」(PDFはここ

このように、我が愛するL-02Tについての素性調査はだいたい出来た。大事に大事に使いたい所だが、弱点は部品が無いこと。電解や抵抗などの一般部品ならどうにかなるが、特殊部品だと壊れたときに直すことが出来ない。何ともヒヤヒヤものである。
誰かが言っていた。何でもデジタル化されて行く中で、“FM放送はアナログ最後の砦”。その通りだ。たぶん自分が死ぬまで(まあ長くて20年ほど?)は、L-02Tを楽しめるだけの“手は打った”。
よって、これから自分が老いぼれて住居を変えることがあっても、絶対条件は「キレイなNHKのFM電波が受信できること」なのである・・・。(“老いらくの恋”は怖ろしいのである・・・)

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コメント

L-02Tについて
こんにちはL-02Tのカタログ等貴重な資料
ありがとうございました。

エムズさんの愛が感じられます。(笑)

私は本日休暇だったので「弾き語りフォーユー」を聴いてみました。ピアノの音に濁りやビリ付きが皆無でした。感動しました。
これはNHK浦和向きアンテナでエムズさんのチリチリ対策のおかげでした。
 
しかし東京タワー向けはシグナルは十分あるのに音に濁りがあります。個別アンテナでも同様でした。
マルチパスも解決できているのによくわかりません。
スカイツリーに期待するしかないでしょうか。

後 ラトル/ベルリンフィルのマーラーの
交響曲第5番(クラシックカフェ)をT-1100からCDRに焼いて 以前ミュージックバードから同様に取ったCDRと聴き比べしたのですが
結果はミュージックバードの圧勝でした。
NHKFMをミュージックバードで放送していたら
まだ存続していたかもしれませんね。

とにかくNHKFMのバラエティに富んだ良質な番組の数々大切にしたいですね。

【エムズの片割れより】
NHK FMはスカイツリーに期待!です。
ミュージックバードは、原理的にPCMそのままですので、CDそのままの音ですよね。でも、昔聞いていた時は、光の出力にプリエンファシスが掛かっていたので、原音に戻すのに苦労しました。なぜエンファシスを掛けて放送するのか理解できませんでした。
でも終わってしまったのは惜しい・・・
FM放送は、ミュージック・・のように、内容がCDの垂れ流しではないのがいいですね。

投稿: 風鈴崋山 | 2011年8月22日 (月) 19:35

エムズの片割れさんの情報でケンウッドからL-03Tの回路図を入手できました。
L-02T関連では無線と実験誌の1983年6月号にもケンウッドの技術者との対談記事と折込で回路図が入っています。

【エムズの片割れより】
“大先生”からコメントを頂けて、非常に光栄です。この1年、貴サイトを何度クリックしたことか・・。(自分の知識は、ほとんどが貴サイトから・・・・)
加えて、無線と実験誌の情報ありがとうございました。早速手配しました。
引き続きL-02Tの情報をよろしくお願いします。自分は、この機械に相当に惚れていますので・・・
(なお当サイトにアップしている資料で、もし有用なものがありましたら、自由にご利用下さい)

投稿: cooltune | 2011年9月 7日 (水) 23:58

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