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2011年7月20日 (水)

NHKテレビドラマ「下流の宴」

またまたテレビドラマの話で恐縮だが、昨夜でNHKのテレビドラマ「下流の宴」(ここ)が終わった。

あらすじは・・・(NHKの第1回あらすじから)
「福原由美子(黒木瞳)の目下の悩みは、息子の翔(窪田正孝)が高校中退後フリーターを続けていること。その翔が、突然沖縄の離島出身で同じくフリーターの宮城珠緒(美波)と結婚すると言い出した。幼い頃、医者の父を亡くし、母・満津枝(野際陽子)から「下流に落ちるな」と厳しく育てられた由美子。福原家「下流転落」の危機を夫・健治(渡辺いっけい)や娘・可奈(加藤夏希)に相談するが何も得られない。由美子は、幼なじみで、今は受験のカリスマとなった島田(遠藤憲一)に思い切って会いに行く・・・。」

何となく見はじめたドラマだったが、結局最後まで見てしまった。
“努力をすれば何倍にもなって戻ってくる”という持論の野際陽子と黒木瞳の母娘。それはそれでよいのだが、医者の家庭だったというプライドから、下流を見下す猛烈な偏見。しかし結局それらは虚ろであり崩壊していく・・。一方、その偏見を見返す事だけを目標に、東大医学部を出た受験のカリスマ。そして沖縄出身の、価値観がまるで違う宮城珠緒(美波)・・・。

世の中の一流と二流三流との違い、人生で何を目標に生きるか、結局何が人生の“勝ち”か・・・等々、色々を考えさせられた風刺劇であった。

当blogを始めた5年ほど前、「人生における“勝ち”と“負け”」(ここ)という記事を書いたことがある。
還暦を迎える頃になると、人生のレースもオワリ。会社での肩書も取れて、みんな同列・・・。
当時、自分も還暦を迎えるにあたって、ふと振り返って書いた記事であった。あれから5年。当時と今とでは、自分の心境(価値観)が大分違ってきたことに気付く。あの当時は、何となく・・・考えていたものが、今ではかなり明確に結論が出ている・・・・・
結局、世の中で“先生”と呼ばれる人でも、我々のように一般ピープルでも、終わってみると(リタイアして皆平民となってみると)、違いは無かった。金をたくさん稼いだかどうかも関係ない。ある程度の生活に困らない金があれば、それで充分。よって会社で、出世が早いか遅いかも大きな問題ではなかった。
結局、人生をいきいきと生きたかどうか、それだけが重要だったような気がする。
どんなに社会的な地位が高くても、ストレスに負けて病気になることもあるし、家庭がボロボロな例もある。家庭も含めて、どう人間らしく生きられたか・・・・

そんな視点で考えてみると、このテレビドラマ「下流の宴」では、“沖縄の宮城家の価値観が一番!”のような気がする。つまり、珠緒の母(余貴美子)の豪放磊落な言葉を借りると「くだらない事に拘ると余計に大変な思いをする」(wikiより)という価値観。
大家族の沖縄の価値観からすると、“先生”の価値はそう重くなく、皆でワイワイ楽しく・・・。結局、それが勝ちなような・・・・

このドラマでもセリフで言っていたが、「上だの下だの、あっちの世界だのこっちの世界だのと拘っていたのは、自分たちだけだった・・・」
結局、キーワードは「こだわり」。何~んだ・・・。釈尊が言っていることと同じではないか・・・

何のことはない。NHKのテレビドラマの話が結局、仏教の原点の話になってしまった。
自分たちもあと何年生きるか知らない。でも残された時間を、「こだわり」を捨てた、自由で軽い、生き生きとした生活を送ることが出来れば、死ぬ時に「アー面白かった!」と言えるかもね・・・・

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コメント

いつも必ず欠かさず拝読させてもらっています。エムズの片割れさんの半分くらいの年の男なので、敢えて“僕”と名乗らせてもらいます。

僕もこのドラマを見ました。エムズの片割れさんの感想・解釈が大変に興味深かったです。僕がまだ30歳後半ということもあり、このような視点からの発想がありませんでしたので、刺激になりました。
ちなみに、
僕がドラマを見終わった後に一番感じた印象は、珠緒の母(余貴美子)の次の言葉です。
いよいよ大学入試本番の日が近付いてくる中で模試の成績がA判定を出し始めたころ、お母さんから娘に対して
「合格するのはよいけど、その後も、彼のことをしっかりと掴まえておかないといけないよ。なぜなら、女は賢くなると男がバカに見えてくるから。。。」
という言葉です。
僕は、この言葉こそが、現代の社会問題となっている女性の晩婚化・非婚化の根本原因なのではないかと思いました。
そして、あの予想が付かなかった彼氏からの別れの切り出しというエンディングの際に、彼が語った理由の真の背景なのではないかと・・・・変に考えたりもしました。考え過ぎでしょうが・・・・


蛇足
僕の名前の一部の“ぷるる”とは僕の家内です。
家内はブログをしていますが僕は未経験なので、エムズの片割れさんを真似して、ブログデビューしてみようかなと思うこの頃です

【エムズの片割れより】
楽しいコメントをありがとうございます。“片割れ”仲間ですね。
そのセリフ、覚えています。このドラマには、色々と核心を突くセリフが多いようで、なかなか面白かった・・・
確かに晩婚化の原因・・・。同感です。

投稿: ぷるるの片割れ | 2011年7月22日 (金) 20:18

 こんにちは。
私も見てました。

 私は、原作者の林真理子氏、脚本家の中園ミホ氏が好きなので・・・。

 私がもっとも印象に残った台詞は、
鉄道クラブ(?)で、第三者のおじさんが、

「人生というのは、負けを学ぶ為にあるんだよ。」

 というような台詞です。(正確に記憶できませんでしたが・・・。汗)

 そして、最後に、

「私たち、二人とも思いが届きませんでしたね。二人とも振られちゃいましたね。」

 と玉緒が言えば、

「人を頑張らせるって、大変でしょう?自分が頑張る方が、ずっと楽なのよ。」

 ということばです。

【エムズの片割れより】
確かにありましたね。そのセリフ・・。ドラマもじっくり見ると、色々と“なるほど・・”と思わせるセリフがあるようで・・・

投稿: elinor-marianne | 2011年7月23日 (土) 17:01

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