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2011年6月 5日 (日)

世界中の原発が国連の直轄事業だったら・・?

今朝の朝日新聞の「天声人語」はこんな記事・・・
「古代ギリシャ人は地球が丸いことを知っていたそうだ。エラトステネスという人は地球の大きさを計算した。二つの都市で観測された夏至の太陽の高度の差から、周囲は4万6千キロとはじいたという。
実際は4万キロだからかなり近い。満足な計測器もなかった時代の知恵に驚く。地球の大きさは、むろん当時と変わらない。だが世界の人口は増え続けてきた。先日は国連が、今年10月には70億人に達するという予測を公表した。
2050年までに93億人、2100年までには101億人を超すという。どこか恐ろしくなる数字だ。地球は誰ひとり振り落とさずに回る。自分もその一員ながら、さぞ重かろうと案ぜずにいられない。
1億年を1メートルとして、地球の歴史を46メートルに表したとしよう。原人の登場は最後の2センチにすぎない。そして「ミリ」にも満たない近代以降、私たちは爆発的に繁栄した。この星の恵みを満身に受けながら、わずかな「身ぶるい」で壊れるもろさを、痛感させられたばかりだ。
かつて読み、書きとめた一首がある。〈幾万年地下にありしを汲(く)み上げて消費して来しこの一世紀〉水野昌雄。石油に限らない。長い地球史からみれば、ほぼ瞬時に万物を消尽(しょうじん)して華やぐ時代へのおののきが、背後に透ける。
どの資源も無限ではない。農地は疲弊し、海は枯渇が心配される。「飽(ほう)」を捨て「贅(ぜい)」を削り、貧富と幸不幸を均(なら)した百億共存をつかみとる知恵が、続く時代には欲しい。周囲4万キロの、この限りある球体の上で。」(2011/06/05付「朝日新聞~天声人語」より)

そして、5月30日付日経新聞にはこんな記事が・・・(写真はクリックで拡大)
集中講義 企業を考える② 大組織が技術・市場の力引き出す
ゲイラード・ハントという米国の著述家が、1814年の米国における人々の暮らしぶりを書き留めて1914年に出版している。ハントにその100年の間の記録を残す必要性を感じ
させるほど、米国は大きく変容した。その事実を心に刻みつけてくれる野外博物館が、マサチューセッツ州のスターブリッジという町にある。
 この野外博物館では、スタッフらがハントの本に基づいて1814年の衣装を身にまとい、
当時の日課をこなしながら来訪者の質問に答えている。一部で水車と馬に頼るものの、力仕事は人が担う。衣食住をまかなう仕事も基本的には手仕事ばかりである。作業が夜にずれ込めば、暗い鯨油ランプかロウソクをともすしかない。
 このような悠久の暮らしぶりは、実は日本においても変わらない。いまから200年もさかのぼると、日本人の平均身長は成人男性で160センチ足らずで、弥生時代とあまり変わらないという。平均寿命も33歳程度で、生まれる人間の半分は15歳までに死んでいた。そういう状態が何百年も何千年も続いていたのである。
Image06771  現代の人々は、いまの生活水準をあたかも当然の権利のように受けとめて自己実現や娯楽に関心を振り向ける。しかし人類史から見れば、それは特異なことと言わざるを得ない。人類最大の関心はずっと生存だったのである。世界の人口が飢餓の壁を破って急速に増加したのはこの2世紀の間の出来事である。
 何が人類を苦役や飢餓から解き放ったのであろうか。技術の力、または産業革命と答える人は多いと思う。または私有財産制度の確立と、市場取引の普及と答える人もいるであろう。しかし、技術や市場のポテンシャルを最大限に引き出したのは、19世紀から20世紀の変わり目に登場したエンタープライズ(大企業)である。
 それから100年余。現代の豊かさをもたらしたエンタープライズの成り立ちを改めて産業革命から尋ねてみたい。(神戸大学教授 三品和広)」(2011/05/30付「日経新聞」P23より)

同じ新聞の隣の欄にはこんな記事も・・・・
経済教室 科学技術の役割~原発事故に学ぶ(上)
   東京大学名誉教授 畑村 洋太郎
・・・・・
 筆者は、どんな産業分野でも十分な失敗経験を積むには200年かかると考える(図Image06772 参照)。米機械学会は1942年にボイラーの危険度を引き下げた。産業革命以降、ボイラーの爆発で1万人以上が命を失ったとみられる。ボイラーが出現して約200年がたって、ようやく手に負える製品になったということだ。一方、原子力発電は始まってまだ60年しかたっていない。・・・・・」(2011/05/30付「日経新聞」P23より)

大分長い引用になった。よく言われているように、地球が生まれてから、そして人類が生まれてから、それに現代文明が生まれ西暦が始まってから、今の我々の時代は、ほんの一瞬だと言うことを改めて認識する。
そして、確かに我々人類は、それぞれの技術を体得するまでに、幾多の犠牲を払ってきた。飛行機の開発ではコメットの空中分解など、昔読んだ柳田邦男の「マッハの恐怖」を思い出す。人類が新しい技術を手に入れるまでの苦難は、上の表でも良く分かる。確かに原発は、まだ60年の歴史しかない・・・
一方では、たった直近200年間での爆発的な世界人口の増大。そしてそれらの人間が、地球が46億年もかかって営々と培ってきた自然の資源を、あっという間に使い果たす・・・
従って人類は、生きるために必須のエネルギーを求めて、未知の原子力という“未だ御せない技術”に突進するしかない・・・

今回の原発事故。大いなるものから見ると、まさに起きるべくして起きた事象なのかも知れない。人類の原発への技術は、まだまだヒヨッコ。だとすれば、「原発事故は起きる」という前提で捉えるしかない。よっって今回の原発事故は、一企業である東電の事故ではなく、人類が未熟なために引き起こした事故、と捉える・・・。
確かに地震国ではそれなりの対応が求められ、それが不足していたのは事実だろう。しかし、もし東海沖の地震だったら、中電・浜岡原発が事故を起こしていたかも知れないし、もし敦賀沖だったら・・・・。そして、それが海外の原発の直下だったら・・・。そう考えると、世界中のいつどこで起きても不思議ではない・・・。

もし人類が「原子力はまだ人類が御せる技術には達していないため、世界全体で協力して運営する」ということになっていたら、どのような展開になっていたのだろう?
世界的な仕組みは国連しか知らないので、世界の原発が国連の直轄事業だったとしよう。
すると、今回の福島第1原発の事故は、世界中の原発から見て、まさにモデルケース。世界中の応援の技術がフクシマに集まるだろう。そして世界中の文殊の知恵が集まり、あらゆる機材が送り込まれ、フクシマの現状と対策と全てのデータは、世界の原発に即時に流され、直ぐにそれぞれの再発防止に利用される。
そして、世界の国々の原子力発電の恩恵に応じて、フクシマの復興費用は、全世界規模でまかなわれる・・・

ふと、そんな夢を見てみてしまった。前提はあくまでも「原発事故は起きる」「原子力はまだ人類が御せないもの」。
もちろん国連配下の日本の原発は、50/60Hzの関係から、日本の東西で、それぞれ最も地震災害の影響の少ない場所に作り、電力は玉突きで送電・・・

そんな視点で考えると、政府・東電の情報秘匿などは論外。それに、海外も単に日本の原発事故のデータをタダで貰うのではなく、世界中の原発保険のような機構があって、再発防止への人類の貴重な(大変なコストが掛かっている)データなので、それなりの支援を前提とする・・・。

まあ、原子力の平和利用なんていう次元を飛び越えた夢物語だが、世界から注視されている“人類始まって以来”の原発事故。それをこれからの世界的体制再構築をも踏まえて、もっともっと有効利用しようではないか・・・。もちろん夢だけどね・・・

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コメント

広島の原爆1000個分以上の放射性物質を炉内に溜め込み、地震で配管が一部損傷して冷却水を失い、幸いにも、再臨界寸前で圧力容器の爆発だけは免れた福島原発。

原発の技術が完成するまでの間に、汚染物質によって生物が住むことのできない地球になっていないことを祈る。

【エムズの片割れより】
これも手厳しい・・・

投稿: 憂鬱な日々 | 2011年6月10日 (金) 20:58

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