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2011年6月30日 (木)

「亡き人を描く画家」~NHK日曜美術館

NHK日曜美術館で、「記憶に辿りつく絵画~亡き人を描く画家~」(ここ)(2011/06/26放送、再放送は2011/07/03 20:00~)を見た。

NHKの解説に、こうある。
「「亡くなった娘を絵画で蘇らせて欲しい」。1人の画家に来た依頼だ。
画家は独自の写実表現で注目される諏訪敦。
諏訪は以前、舞踏家の大野一雄を1年にわたり取材し、連作を描いた。そして7年後に100歳を迎えた大野を再び取材し描いている。諏訪は写実的に描くだけでなく、徹底した取材を重ねて対象となる人物と向き合い、人間の内面に迫ろうとする気鋭の画家だ。
依頼したのは、2008年の5月、南米ボリビア・ウユニ塩湖で交通事故に遭(あ)い炎上死した、鹿嶋恵里子さん(当時30)の両親である。鹿嶋恵里子さんは結婚も決まり、結納式から10日後の突然の悲劇だった。
依頼した内容は、諏訪の絵によって快活な娘を蘇(よみがえ)らせて欲しい、というものだ。
亡き人を描くために彼はわずかな手掛かりを求め、さまざまな取材・手法から彼女の特徴を探っていく。自分の表現としての作品性と、依頼した両親の娘に対する思いをどのように1枚の絵画に描いていくのか。諏訪が悩み、葛藤していく様を撮影した。
番組では6か月にわたり諏訪と依頼した鹿嶋さん家族を取材。親の思い・亡き人と向き合った彼の苦悩と完成までの軌跡を追った。」
(NHKのここより)

死者の肖像画を描くというショッキングなテーマに、恐る恐る見た番組だったが、この作品は、ある意味ドキュメンタリーの秀作だと思う。最愛の娘さんをまさに不慮の事故で亡くし、それを未だに受け入れられない両親。そして、明るい表情の肖像画を、と願う。
それを受けた画家は、両親のスケッチから始めて、数々の写真や実際に着ていた服などから、実物大の肖像画に昇華させていく。その6ヶ月間の、まさにドキュメンタリー。
両親の“明るい表情の娘の姿を”という希望と、画家の“単なる写真を写したような肖像画では、絵として鑑賞に耐えない”と思うギャップ。それを画家は悩みながらも、そして何度も描き替えながら描いていく。手の表情に至っては、写真から読み取るのが難しいため、義手のメーカーに出向いての取材までしている。
そして半年後。出来上がったのは単なる一枚の肖像画。それを持って依頼者の家を訪ねる画家・・・。双方、まさに“ドキドキ”の一瞬である。そして出来上がった肖像画を見て、両親は感動する。新しい娘がそこに居る。出来上がった肖像画は、両親が見たこともない腕時計を手にする架空の姿。でも新たな娘が帰ってきた・・。その肖像画からは、写真と違って感動が伝わる、という。その肖像画は、見れば見るほど娘が色々な言葉を発している、という・・・。

番組は、同じく子どもを亡くした別の親も取材している。その人は、全ての情報から“画家が捉えた人物像”を描いてくれれば、そのように娘を捉えてくれた人もいる・・と思えて、嬉しいこと・・・と言う。突然亡くした子供に対する親の想いは、みな同じ・・・

一緒に見ていたカミさんが「良い番組を見せてもらった・・・」と涙を拭く・・・。この番組は、家族の姿、そこに突然襲った悲劇、両親の子どもの死への想い、それらを画家としてどう捉えるか・・・等々、色々と考えさせられた番組だった。
日曜美術館という番組は、どちらかというと展覧会の紹介が多いが、このような方向の番組作りもなかなか面白い。今後も期待したいもの・・・・。
(もし良かったら、今度の日曜日(2011/07/03)の夜に再放送があるのでご覧下さい)

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コメント

初めてオジャマいたします。

この番組の情報をさがしておりました。

たしか今年になってから、再放送がありまして、大変鮮烈に記憶に残りまして。

番組名も画家の方のお名前もウロ覚えだったため、大変助かりました。
どうもありがとうございました。

【エムズの片割れより】
それはそれは・・。確かに再放送されていましたね。

投稿: 深穂*miho | 2012年7月 7日 (土) 15:39

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