「怒ればあなたは必ず負ける」~ブッダの教える発想の転換(2/5)
雑誌「大法輪」2011年5月号に「ブッダの教える発想の転換」という記事があった。なかなか耳の痛い話ではあるが、5回に亘って読んでみよう。今日はその2回目。
「ブッダの教える発想の転換
菅沼 晃(東洋大学名誉教授)
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<怒ればあなたは必ず負ける>
「怒りにたいして怒りを返すならば、さらに悪を積み重ねることになる。怒りにたいして怒りを返さないならば、勝利しがたい戦に勝ったことになる。他人が自分にたいして怒っているのを知っても怒らず、自心を鎮めて怒りを返さない人は、自分と他人の双方に利益を与えることになる」(『相応部経典』七)
今、私たちの身の回りで「怒る人」がふえています。電車の中や駅で、何かのお店の中で、駅員さんや店員さんの対応が気に入らないなどの理由で、訳もなくキレて怒鳴っている。こんな人をよく見かけます。それどころか「怒って何か悪い」、「怒るのは相手が悪いからだ」という人さえいます。しかも、その「怒る人」が若者よりも中高年者に多いようなのも気になります。激しく変わって行く世間が気にくわない、自分が大切にされていないという思いが、ちょっとした機会に吹き出るのでしょうが、これも自分を守ろうとする自我の意識の表れにすぎません。
しかし、いちど怒りを爆発させると、自分を抑えられなくなって、怒りはますます強くなり、心は怒りで一杯になって身も心も消耗させてしまいます。怒りは、まさに私たちに
とって猛毒なのです。この「毒」は怒りの対象となった人にも及んで、心をかき乱して深いダメージを与えます。怒ることのメリットは何もない。相手が怒っても、自分は怒らない。「怒ったら負けだ」という心構えを持て、とブッダは教えています。」(雑誌「大法輪」2011年5月号p49より)
これも言われてみるともっともな話である。しかし現実には実行が難しい・・・
我々はどんな時に怒るのであろう? 気にくわない時・・・? つまり“自分の思い通りに行かなかった時”がもっとも簡単に怒るのかも知れない。でも、その怒りの相手は様々。相手が自然のときもある。でも、天気が悪いと怒ってみても仕方がない。結局、身近な所に怒りをぶつける。そしてその人の周囲に暗雲がたちこめる・・・
しかし人間、一番心の底から怒るのは、理不尽なことをされた時かも・・・
ふと数年前の、ある外資系の顧客とのやりとりを思い出した。今思い出しても、その時の理不尽さに対する怒りは心に残っている。しかし同時に、怒りは心臓に良くないことを身をもって体験した。つまり帰りの地下鉄の中で心臓がバクバク・・。不整脈だった。
確かに怒りは体に良くない・・・・
周囲を見回すと、怒った姿を見たことがない、という人もいる。これは性格だろうか、それとも人間のスケールの違い?? でもサラリーマン世界では、怒ったことがない人は、逆に甘く見られることがあるので注意。
でも我々のように、サラリーマンリタイア間近組ともなると、ビジネス上で一線を退いていることもあり、怒る場面は本当に少なくなった。これは人生の余裕かも知れないし、責任の程度かも・・・。それに、怒る価値があるかどうかについて、つい考えてしまう・・・。一歩離れて見る・・・。これは体にも良いこと。
一方、家庭ではどうか? 若い時は自分の機嫌の悪さを、近くにいるカミさんにぶつけていたもの・・・。
それで今は?? そんなことをしようものなら、アッと言う間に逆襲され、「スミマセン・・」と謝らされるのがオチ・・・。そんな状態で、どうして“落ち着いて”怒れようか・・・。
むしろ、カミさんが怒るのをオドオドして恐れているほど・・・。残念だが、立場は激変している。
でも、とにかく怒りは良くない。これは先ずカミさんに悟らせねば・・・・
ひょんな事で、カミさんの怒りの怖さを思い出してしまった・・・・。
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