「原発関連収入 何に使ったのか」「原発収入 地方を責めないで」
今朝の朝日新聞の投書欄に、先日の原発収入についての意見に対する反論が載っていた。曰く・・
「原発関連収入 何に使ったのか
(神奈川県鎌倉市 65 男性)
報道で、福島県は原子力発電所の稼働にかかる県税として「核燃料税」を課しており、今年度は44億円に上る予定だったことを知った。この一部は周辺市町村にも分配されるという。
また、原発を誘致することにより、県も当該市町村も国から多額の特別交付金を毎年配分され、さらに固定資産税、住民税などの地方税も入ったはずだ。多くの住民が原発関連で雇用される効果も含め、相当の経済効果が県や当該市町村にあったと思う。
福島県知事は今回の原発事故で、ことあるごとに補償、補償と訴えているが、県や当該市町村は、これまで得られた、このような原発関連の収入で、不測の事故が起こった場合の備えをどれほどしていたのだろうか。例えば基金として蓄えていたお金を避難住民に配分したとか、離れた地域に一定期間快適に居住できる避難場所を設定していた、などという話は全く聞こえてこない。一体、多額の収入を何に使っていたのだろう。
政府の復興構想会議がスタートしたが、いつどこで、どれほどの規模で起こるかわからない巨大地震・津波の被害と、一定の想定ができた原発事故の被害を同じ土俵で議論してはならないと思う。」(2011/04/25付「朝日新聞」声p7より)
「原発収入 地方を責めないで
(福島県いわき市 41 主婦)
神奈川県鎌倉市の方の「原発関連収入何に使ったのか」(25日)にがくぜんとし、福島の原発による電力をのうのうと使っていた首都圏の方の言葉にいら立ちを感じました。
東京からいわきに移り住んで15年。この間、家から歩いて30分以上かかる駅への路線バスも廃止され、都会と地方のインフラ、サービスの格差を痛感しています。
投稿は、多額の原発関連収入が入るのに原発事故時に備えた貯蓄をなぜしてこなかったのかという指摘でした。しかしそもそも自分たちが使いもしない電力を作るための原発を喜んで招く所はなく、泣く泣く受け入れる過疎地の厳しい財政事情を知ってほしいものです。交付金で箱物を造り、地域振興を図るのは責められることでしょうか。
今回の原発被害補償は最終的に数兆~数十兆円に上るとか。原発事故時に備えた貯蓄をと言われますが、当初予算が例年約1兆円の福島県で簡単に備えができる規模ではありません。しかも安全で事故は起こらないと造った原発は国策です。放射能被害で遺体捜索もままならない中、福島県は、宮城県や岩手県のようには前に向けず、原発事故の収束をいまだに足踏みして待だされている状況なのです。」(2011/04/30付「朝日新聞」声p8より)
ここで、この二つの投稿に対する意見を言うつもりはない。要は、視点の違いによって色々な見方が出来る・・・ということだ。
先日、てんかんの持病を持った青年が、薬を飲み忘れてクレーン車を運転し、発作で意識がないまま児童6人がはねられて死亡する事故があった。
今回の事故を受け、「日本てんかん協会県支部の鈴木勇二事務局長によると「栃木は車社会で、免許を取得したいという患者は多い」という。2年以内に発作が起きている場合などは免許は取得できないが、「免許を取得しようと治療に励んでいる人もいる」と指摘する。
てんかん患者の免許取得は14年の道路交通法改正で可能になったばかり。鈴木事務局長は、今回の事故を受け、「医師の診断を得て免許を取得している人たちまでも安全性を疑われるのでは…」と困惑ぎみに語り、てんかんに対する正しい理解を求めた。」(ここ)と報道されている。
また、「日本てんかん協会によると、発作は軽度のけいれんから、意識障害など重度のものまで個人差があるが、多くの場合は薬で抑制できるという。02年の道路交通法改正で一定期間発作が出ていないなどを条件に、てんかん患者も運転免許を取得できるようになった。しかし、柴田容疑者は免許の取得・更新時に持病があることを申告していなかったという。」(ここ)という報道も・・・・
一方、福島県の避難者が、「福島県民のホテルなどへの宿泊予約が拒否される」(ここ)という風評被害も・・・
どれも、一つの事実をどう捉えるかの問題・・・・。
「原発関連収入」という事実だけを捉える人は、より良い使い道は無かったのか?と疑問に思う。しかし東京から原発を誘致した地方に移り住んだ人は、「原発関連収入」に頼らざるを得ない現地の財政状況を訴える・・・。
一方、児童6人が亡くなった交通事故では、てんかん協会が、今回の事故で多くの地道に治療しているてんかんの人の努力が、報われなくなるのではないかと心配している。これも、ある意味「福島県の人は・・・」という風評被害と同じ心配か・・・?
交通事故でも裁判でも、警察や裁判所は必ず双方の意見を別々に聞く。そう、一つの現象も、人が、そして視点が違うとまったく逆の結論になるので・・・。
これら事例でも、つくずく“事実の捉え方”の難しさを感じた。つまり、テレビ・新聞やNetから洪水のように流れてくる情報を、そのまま受け取るのではなく、自分の視点を持って受け取ることは、非常に重要ではあるが、“その道”の経験が無いと、自分の意見を言える状況には達しない。つまり殆どの情報は、ついそのまま受け取ってしまう。まさに付和雷同である。
これは自分の能力のせいで仕方が無いが、せめて、全ての情報を「one of them」と言う一歩下がった視点で受け取りたいもの・・・・
*まったく関係のない話だが、今日は一日鼻水で参った。花粉症?抗アレルギーのアレグラを飲んでも良くならない・・・。アレルギーはトシと共に鈍感になるという話も聞いたが・・・。困ったものだ。
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コメント
原発収入に関する2つの投書、私も興味深く読みました。同じ新潟県でも原発を受け入れた柏崎市などと住民投票で受け入れを拒否した旧巻町。それぞれ理由はあったにせよ、今地元の人たちはどういう思いを持っておられるのか、聴いてみたいものです。
【エムズの片割れより】
現地の人たちの中で、家族・親戚に東電の社員が居る、という例はたくさんあるのでは・・・?
被る被害と、かつて幾多の糧を貰った事実との間で葛藤されているのではないでしょうか・・。
今はだたただ、早期収束を祈るだけですね。
投稿: かえるのうた | 2011年5月 2日 (月) 19:37