安田祥子と小林啓子の「比叡おろし」
我々、初老にもなると、良く夜中に目が覚める。昨晩も夜中にふと目が覚めた。いつものように、枕元の時計を叩く。すると「午前3時5分です」と声を出す(ここ)。つい「シメタ!」と思い、イヤホンを耳にねじ込んでしまう。午前3時台は、NHKラジオ深夜便「にっぽんの歌こころの歌」の時間帯なのだ。優しい須磨佳津江アンカーの声が聞こえてくる。今日は「郷愁の歌:由紀さおり&安田祥子、童謡・抒情歌集」だという。つい3時から4時まで聞いてしまった。
その中で、久しぶりに安田祥子の「比叡おろし」が流れてきた。しみじみと聞いてしまった。
<安田祥子の「比叡おろし」>
「比叡おろし」
作詞・作曲:松岡正剛風は山から降りてくる
レタスのかごをかかえて
唇はくびれていちご
遠い夜の街を 越えて来たそうな
うちは比叡おろしですねん
あんさんの胸を雪にしてしまいますえ風は琵琶湖に落ちてくる
北山杉を下に見て
夕焼けはよそゆきマント
光る銀の靴を はいていたそうな
うちは比叡おろしですねん
あんさんの胸を雪にしてしまいますえ風は今夜も吹いている
死んではだめよと言いながら
さよならは小さなみぞれ
そっと京都の町に 捨ててきたそうな
うちは比叡おろしですねん
あんさんの胸を雪にしてしまいますえ
うちは比叡おろしですねん
あんさんの胸を雪にしてしまいますえ
この曲は前から自分も持っていたが、その歌にまつわる須磨アンカーの解説が面白かった。曰く・・・
「・・・『比叡おろし』は、論客で知られる松岡正剛さんが若い21歳の時、失恋して一晩で書いた曲。心を寄せている女性と逢うことになって、一週間、当日のデートコースを練りに練って日生劇場のラシーヌを奮発した。市原悦子さんが主演だった。これが最悪の選択だったようで、途中でその女性が「私、帰るわね。ごめんなさい」と言って風のように席を立ってしまった。呆然として、何も分からなくなった。雪のような冷たい恋だったと思い、その夜、初めて松岡さんが作詞作曲したのが、この『比叡おろし』だった。・・・その後の活躍は皆さんご存じだと思いますが、才能のある方は失恋しても素晴らしい作品を作るものなんだなあと、改めて感心してしまいました。心に滲みる『比叡おろし』でした。・・・」
(*ラシーヌ(Jean Racine)は、イギリスのシェイクスピアと肩を並べる、フランス古典劇の代表的作家)
無知な自分は松岡氏を知らない・・・。Netで見てみると、なるほど偉大な方のようだ。でもその経歴には、歌のカケラはない・・・。でもこの「比叡おろし」という歌だけは、歌い継がれている・・・。
“誰でも小説が一つだけは書ける”という話がある、自分の人生を書けばそれが小説になるという話だ。でも、“誰でも一つだけは歌が作れる”という話は無い・・・
与野に住んでいた小学生低学年の頃、近所の家の縁側で、蓄音機でSPレコードをかけていた。それを物珍しそうに塀の外側から覗いていたら、入って見て良いという。それで初めて間近に見たのが、自分のレコード音楽との出会いだった。
小学校高学年の頃、親父が叔父に頼んで買ったプレヤーと、童謡のSPレコード。それとの出会いが自分の音楽人生に多大な影響を与えたことは事実。
そんな長い自分の音楽人生でも、ただの一つも歌(音楽)を作ったことはない。もちろん才能が無いためだが、こんなエピソードを聞くと、今からでも歌の一曲位作ってみようかな・・・、ナンテ思ったりして・・・・
ついでに、この「比叡おろし」は小林啓子も歌っている。最後に、それも聞いてみよう。だいぶん雰囲気が違う・・・
<小林啓子の「比叡おろし」>
●メモ:カウント~165万
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コメント
確か 小室等さんも歌っていましたね。メロディがちょっと尖っていますが。
【エムズの片割れより】
聞いてみました。ロック調ですね。
投稿: セシル | 2012年11月12日 (月) 00:00