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2011年3月 1日 (火)

「政府、税と社会保障改革で新聞5社の提言比較」~メディアの読み方

今日は、昨日(これ)の続きで、法人としてのメディアについて。
先日の日経新聞に、政府が社会保障改革について、新聞5社の提言を聞いたという記事があった。曰く・・・(写真はクリックで拡大)

政府、税と社会保障改革で新聞5社の提言比較 基礎年金の財源に消費税どこまで 考え方に違い 厚生年金適用拡大では一致

政府は26日、社会保障改革を議論する集中検討会議(議長・菅直人首相)を開き、日本経済新聞など新聞5社の提言を比較検討した。年金改革では基礎年金の財源に税金をどこまで充てるかが焦点に浮上。委員からは改革を先送りせず、断行するように求める意見が相次いだ。
110301shinbunhikaku 政府は19日に日本経団連など労使4団体の意見も聞いており、今回は新聞5社の社会保障改革に関する提言を検討。朝日新聞を除く4社から直接ヒアリングした。
年金改革では、パート労働者なども厚生年金に入れるようにする必要性で一致。受給権を得るための加入期間を25年から10年程度に縮める考え方も共通した。
焦点の基礎年金の財源については、日経新聞が全額を消費税で賄うよう主張。朝日新聞、読売新聞、産経新聞の3社は税と保険料で半分ずつ賄う現行の社会保険方式を維持するよう求めた。毎日新聞は当面は現行方式のまま税金で無年金・低年金対策を行い、将来は基礎年金を全額税による最低保障年金に移行するよう主張した。
朝日新聞と読売新聞は全額税方式にすると必要な税財源が大きくなるので、基礎年金は社会保険方式で、新たな税財源は医療や介護に充てるべきだとの考え方。日経新聞は税方式になれば基礎年金の保険料は廃止すると主張した。
産経新聞は「年金は自己責任が原則」とし、現役時代に保険料を納めても老後の生活に困る人を応援するため、月2万円を年金に上乗せする制度の創設を提唱した。
委員からは「若い世代が厳しいなど前提となる認識は重なっている」(宮本太郎・北海道大教授)などの指摘が出た。柳沢伯夫元厚生労働相は「障害があっても先送りは絶対に駄目だ」と改革の断行を訴えた。
菅首相は「多少の意見の差はあったが、年金の問題は十分一緒になりうるのではないか」と結び、6月に税と社会保障の一体改革案をまとめる考えを改めて強調した。
終了後に記者会見した与謝野馨経済財政担当相は「税か保険料かという議論よりも、国民負担をどこまでお願いできるかが重要」と指摘。社会保障費の抑制については、6月に具体案を出す考えを示唆した。」(
2011/02/27付「日経新聞」p3より)

昨日書いたNHKの「日本人はなぜ戦争へと向かったのか(3)熱狂はこうして作られた」(2011/02/27放送~ここ)の番組で、時の首相・近衛文麿は、昭和12年に首相になる前の昭和11年にNHK総裁に就任し、昭和20年に亡くなるまで、その地位にあったと言っていた。そして、それまでの新聞に対して、新たなメディアとしてのNHKラジオが、戦争遂行に大きな影響を与えた、とも言っていた。NHKの総裁が首相だったという事実・・・
現代もそうだが、テレビ・ラジオからは大量の情報が流れている。それに比して新聞は地味だが、紙という“残る”媒体での影響力は、ラジオ以上のような気もする。

新聞も法人。ある人格で、さまざまな事に人のように主張する。そしてそれは、結果として民衆を煽る。世論を動かす力を持っている。
確かに、個人の主張に比べると、それらは法人だけに“練られた主張”のように見える。
先の記事は、政府がその練られた新聞の主張を客観的に聞いた、と言う記事。

日経に載っていた比較の表は、各紙での主張の違いを表していて面白い。国民が一番関心のある年金、医療費、消費税について、各紙でこれだけ違う・・・・

我が家で取っている新聞は、朝日と日経の2紙。ここで思う。読んでいる新聞の主張に、知らず知らずのうちに啓蒙されてしまっているのではないか・・・と、ドキッとする・・・。
どうも“新聞に書いてあることは正確”という思い込みが自分にはあるようだ。つい、鵜呑みにしている・・・。それが危険・・・。

2年ほど前に、ブータンのテレビ番組の記事で、ampouieさんから「何に関するマスコミ報道も同じですが、流される情報がすべて正しいと思い込むのは禁物です。むしろ報道には嘘があると思うのが賢明です。」(ここ)というコメントを頂いたことがあった。

その時はピンと来なかったが、先のNHKの番組やこの表を見て、やっとその真意が分かった・・・・!?
流れて来る情報に対して、いま一歩離れたところから物事を見ないといけないな・・と思うこの頃ではある。

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