« 米メディアが伝える東日本大震災の写真 | トップページ | 喜多郎の「無限水」と「フル・ムーン」~震災の鎮魂歌 »

2011年3月17日 (木)

「三つの母の日」

福島第一原発3号機に、自衛隊の消防車から放水が始まったという。何とかこれで落ち着いてくれると良いのだが・・・
今日は、あえて地震の話題を避け、「母の日」の話題・・・・。雑誌「大法輪」の今月号(2011年4月号)に、こんな話が載っていた。

三つの母の日
   金沢・曹洞宗・雲龍寺住職 荒崎良徳
日本には、三つの「母の日」があると思います。
 一つ目は、五月第二日曜日の、いわゆる「母の日」です。これは、今から百年ほど前に、アメリカのメソジスト教徒、アンナ・ジャーヴィスという女性が、亡き母を偲び、命日に白いカーネーションを墓前に捧げたことに始まるとされています。それを聞いて感動した当時の大統領、ウィルソンがアメリカ議会の議決を経て「母の日」を定めたと伝えられています。いわば、アメリカ型の「母の日」です。
 二つ目は、五月五日です。一般にはこの日を「こどもの日」と称して、こどもに関するさまざまな行事が行われていますが、法律をきちんと読んでみますと、次のように定められてあります。昭和二十三年七月十日発布・法律第一七八号「国民の祝日に関する法律」の第二条に「五月五日、こどもの日、こどもの人格を尊重し、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」と明記してあります。つまり、五月五日は単にこどもたちの幸福を考えるだけの日ではなく、母に対する深い感謝を求める日でもあるのです。いわば、日本国の法律に定められた「母の日」です。
 三つ目は、七月十五日あるいは八月十五日です。この日は、いわゆる「お盆」ですが、その原点にまでさかのぼって思惟してみますと、まぎれもなく大切な「母の日」であることが解ります。「お盆」という言葉の語源を尋ねてみますと、インドの古い言葉「ウランバーナ」を、中国の人が「孟蘭盆(うらぼん)」と音写し、それを省略して「盆」と称するようになったようです。ウランバーナとは、「倒懸(とうけん)の苦しみ」と訳されます。つまり「逆さに吊り下げられたような苦しみ」という意味です。
 一般に、親戚一同が集まって賑やかに過ごす楽しさを、盆と正月が一緒に来たようだと表現しますが、その語源を尋ねると、何となく恐怖を感じて、尻込みしてしまうような言
葉になります。
では一体、誰が、何が原因で「逆さ吊りの苦しみ」に陥ったかというと、『仏説孟蘭盆経』には「釈尊の弟子・目連尊者(もくれんそんじゃ)の亡き母が、罪根深結(ざいこんじんけつ)のために餓鬼道に堕ち、倒懸の苦しみに苛(さいな)まれていた」と記されてあります。
 目連尊者は釈尊の十大弟子の一人に数えられるほどの立派なお方です。そんな秀れたお方を生み育てた母親が、何故、餓鬼道に堕ちて逆さ吊りの苦しみに陥らねばならなかったのでしょうか。『孟蘭盆経』には、たった一言「罪根深結」とだけ記されてあり、その具体的な内容は、後世の私たちが推理するしかありません。その一つとして、古歌に詠われている、『たらちねの心は闇にあらねども 子を思う故に迷いぬるかな』の「迷い」を挙げることができると思います。
 そして、その「迷い」は、時としてエキサイトし暴走し、どんな犠牲を払ってでも、たとえ自分が地獄に堕ちても一切後悔はしないから、我が子だけは幸福にしてやりたいとい
う願いに膨れ上がります。この願いは、特に母親に強く見られます。それは当然のことで、十月十日の間、自分の血肉を胎内の子に分け与え、張り裂けるような苦しみの中で出産した、いわば自分の分身のような我が子ですから、どんなことをしてでも幸福にしてやりたいと願うのは、自然の摂理と称してもいいことだと思います。しかし、その願いは時として社会生活のルールを逸脱することもあり、いわば「罪」を犯すことさえあります。これを『孟蘭盆経』では「罪根深結」と称しているのだと思います。
 私たちは皆、母親の「罪根深結」に守られて、生まれ、育ってきたはずです。そのことを、しっかりと憶念するのが、孟蘭盆に関わる「母の日」だと思うのです。
 アメリカの議会で決められた「母の日」に従うか、日本の法律に定められた「母の日」を守るか、孟蘭盆経に述べられた「母の日」を心から念ずるか、ここは、しっかりと考え
るべき正念場だと思います。」(
雑誌「大法輪」1011年4月号p40より)

世の中、知らないことが色々ある・・。お盆が“大切な「母の日」”だとは・・・。しかし言われてみると、ナルホド・・と思う。
動物の世界でも、子育て中の母親が一番危険な存在と言われる。森の中で偶然に動物に出会った時、その動物の子供がそばにいると、母親から思わぬ攻撃を受ける・・。それは「いのち」を継ぐ性の、自然の摂理・・・。
これは人間も動物なので同じ・・。だから親が子どもを無条件で庇う。だから刑法もそれを認めている。
「刑法第1刑法第105条(親族による犯罪に関する特例) 前2条(犯人蔵匿等・証拠隠滅等)の罪については、犯人又は逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除することができる。」
それにも拘わらず、子どもの虐待の話が絶えないのは、よく報道されること・・・。

一方、持ちたくても子どもを持てない親の悩みも多い。たまたま先日見たNHKドラマ「四十九日のレシピ」(ここ)。和久井映見扮する妻の不妊治療の話が出てきた。
幾ら子どもが好きで愛情を注ぎたくても、その子どもが授からない・・・。このドラマでは、不妊治療失敗で落胆する妻を見かねた夫が、ダックスフンド(犬)を買ってくる。それを受け容れては、妊娠を諦めることにつながると、拒否する妻・・・。
確かに、子育ては単に愛情の問題だけではなく、親をも育てることは周知の事実。でもこればかりは“大いなるもの”のなせる業(わざ)。人間は手も足も出ない領域・・・

ウチのメイ子(愛犬)。貰った時に不妊手術をしてしまった。だから子どもは生めない。子育ての喜び(?)も味わえない。もちろん「母の日」を祝ってくれる家族(子ども)も居ない・・。
人間の都合でペットの人生を左右する傲慢さ・・・。

「メイ子が散歩に行きたいって!」「いや、メイ子は寒いから今日は家に居たいって・・」
と繰り返される、我が家でのたわい無いやりとり・・・。
メイ子に対して、子どもを持てなくした罪滅ぼしのため、せめてメイ子が喜ぶ散歩くらいは、いやがらずにしてあげようか・・・・

|

« 米メディアが伝える東日本大震災の写真 | トップページ | 喜多郎の「無限水」と「フル・ムーン」~震災の鎮魂歌 »

コメント

いつも楽しいブログを拝見させていただいてます!今後も応援してます(^O^)/

【エムズの片割れより】
コメントありがとうございます。
でも「応援」は、東北に譲りたいな・・・

投稿: 表参道 美容院 | 2011年3月17日 (木) 22:23

hisashiburini Karumen Maki no "tokiniwa hahano naiko noyouni" kikimashita.
syouwa 44nen3gatsu, watashiwa shigoto o yamete, minamino shimani
aruhito o tazuneteikimashita.

otakuno Meiko wa Mr.M' sottkurinanokanato photo mite omoimasu.

nihongo ni henkandekimasendesu,kesawa.

yesterday madewa music kikemasendessita. today I am going to Japanese Embbasy to sign a condolence book for victims of earthquake and tsunami.

【エムズの片割れより】
自分も早く、落ち着いてカルメンマキを聞きたいな・・。

投稿: むべ そよ風 | 2011年3月18日 (金) 22:00

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 米メディアが伝える東日本大震災の写真 | トップページ | 喜多郎の「無限水」と「フル・ムーン」~震災の鎮魂歌 »