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2011年2月28日 (月)

高橋是清に何を学ぶか~メディアの読み方

今日は寒かった。東京の昼は2.6℃だったとニュースで言っていた。昨日は小春日和で20℃を超えていたのに・・・。(お陰で、花粉症で一日大変だったが・・・)
75年前も寒かった・・・。2.26事件の日は雪だったという。

昨夜、NHKスペシャルで放送された「日本人はなぜ戦争へと向かったのか(3)熱狂はこうして作られた」(2011/02/27放送~これ)を見た。
メディアが軍と結託して民衆の熱狂を煽り、戦争に突き進んで行った事実・・。よく言われている事だが、それを正面から捉えていた。

先日のラジオ深夜便を聞いていたら、「メディアとはミディアム(中間)の意味であり、何もしない。単に起きた事実をあっちからこっちに伝えるだけ」と言っていた。原理的にはそうだろう。しかし現実は、メディアはとてつもない“権力”を持っている。法人として“意志”を持っている。そしてそれを主張する。
一方、それを読んだ人は、それが事実だと信じる。負け戦も、勝っているとラジオ・新聞が伝えると、それを信じてしまう。民衆にとって、他に情報源が無いこともあるが・・・。メディアにしてみると、軍の機嫌を損なうと、不買運動でつぶされてしまうので、信濃毎日新聞のように、筆を折って軍に荷担した新聞もあったという。

この番組のなかで、国際連盟を脱退せよ、と煽るメディアに対し、閣議でマスコミを利用している陸軍を叱った蔵相・高橋是清が出てきた。その高橋が暗殺されたのが、75年前の寒い雪の日・・・。

昨日の朝日新聞の社説(これ)に高橋是清のことが書いてあった。
少し抜粋すると・・・
二・二六事件と財政―高橋是清に何を学ぶか
75年前の2月26日、東京は30年ぶりの大雪だった。街の中心部は、1400人の軍人に襲撃、占拠された。いわゆる二・二六事件である。
総理官邸や天皇の重臣の屋敷、警視庁、朝日新聞東京本社などが銃剣で武装した将兵らに踏み込まれた。高橋是清蔵相、斎藤実内大臣らが暗殺され、内閣は総辞職に追い込まれた。
事件後、軍部にたてついてまで正論を主張しようとする気風が失われた。やがて人命、資源を費やした戦争に突き進んでいく。
・・・・
今、この事件を見つめたい理由は、そうした軍の暴虐についてではない。理不尽な要求をはねつけようと、自らの体を張った為政者がいた。そこからくみ取るべき教訓があるということだ。
・・・・
事件の直前、1936(昭和11)年度の政府予算案が編成された。難産の末に産声を上げた。
陸海軍は当初、前年度比14%増に当たる11億7600万円の予算要求を提出していた。民生費などを合わせた歳出総額の約5割を既に軍事費が占める中、更なる増額を求めたのだ。
この時、立ちはだかったのが高橋蔵相である。こんな国会答弁がある。
「いくら軍艦ができても兵備が整っても、国民の経済力で維持し、万一の場合これを動かす力がなければ役に立たぬ。国防の程度は国民の財力に耐える程度のものでなければならない」
・・・・・
予算編成の閣議は、軍部と高橋のにらみ合いになった。結局、高橋は国債漸減方針を変えず、軍事費は増えたがその伸び率を前年の半分以下の4.4%に抑えて予算編成は終わった。
「82歳翁の頑張り・耐久王高橋さん」「奇跡のダルマ」……。21時間も続いた閣議で、信念を貫いた老為政者を当時の朝日新聞は称賛した。
しかし、軍事大国への道に立ちふさがる高橋は、軍部にとって邪魔者以外の何者でもなかった。
高橋亡き後の予算編成は軍部の思い通りとなる。後継の財政当局者らは「公債は生産的である。特に軍事公債は生産的だ」と述べ、37年度予算は「未曽有の膨大予算」と朝日新聞が批判するほどの積極型。結局、総軍事費は36年度の3倍になった。
増勢はとどまらず、39年度は36年度の6倍、日米開戦時の41年度は同12倍、44年度は同68倍……
・・・・
さらに深刻なのは、財政の惨状を全身全霊で改めていこうという為政者の長い長い不在である。権力をめぐる争いこそが政治家たちの主戦場との観すら呈している。
与野党の隔てを超えて「国民の暮らしを守る」と言う。では問いたい。これだけ借金を積み上げて守れるのか。とりわけ子や孫の未来を、と。
・・・
高橋の葬儀の時、「幼児を背に、子どもの手を引く裏店(うらだな)のおかみさん風の人びとが多数を占めていた」という。庶民たちは、だれが自分たちの味方か、よく分かっていた。」(
2011/02/27付「朝日新聞」社説より~ここ

なるほど・・・、と感心して読んだこの社説も、ある意味、法人としての主張だ。それをどう読むかは読者次第・・・。(でも素直な自分はつい信じてしまう・・・・)
(それはともあれ、このような気骨のある人が踏みつぶされ、歴史は動いていった。
もし、このような人が殺されなければ、開戦にも少しはブレーキがかかったのかも知れないが・・・)

信じやすい自分!?(脳天気な自分??)
マスコミの書いていることや、その主張をどのように読めばよいか、少しぐらついている自分ではある。

(付録)
カミさんのお気に入りの公園に、小金井市の「江戸東京たてもの園」(ここ)がある。
ここに赤坂から移築された高橋是清邸がある。行く度に「この2階が2.26事件の現場・・・」と聞いた。よって、こんな社説を読むと、直ぐにあの部屋の光景を思い出す。
しばらく行っていないので、桜が咲いたらまた行ってみよう。「千と千尋の神隠し」に出てくる風呂屋もあるので・・

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