作曲家「いずみたく」の25年前の講演会
NHKラジオ深夜便で「〔深夜便アーカイブス〕文化講演会「体験的音楽論」作曲家 いずみたく(1986年(昭和61年)10月5日放送)」(2011/02/13・20放送)を聞いた。
我々シルバー世代の人間は、かつて“いずみたく作品”をどれほど多く聞いたことだろう・・・。あれも・・・、これも・・・。
そのいずみたくが、昭和60年に行ったNHK文化講演会の放送である。坂本九のことを「先日亡くなった・・」(ジャンボ機墜落事故はこの年(1985年)の8月12日)というような発言からしても、相当に昔の講演だが(25年前)、そこには名曲の背景の話が盛りだくさん・・・。少し聞いてみよう・・・
<「体験的音楽論」作曲家 いずみたく>
・永六輔と一緒に作ったミュージカルが「見上げてごらん夜の星を」と「夜明けの歌」。坂本九と岸洋子の同名の歌はここから出た。
・「希望」も元々倍賞千恵子のために作った短いミュージカル。その歌を岸洋子が歌った。
・佐良直美を売り出す時は、この子が“自分が恋に酔いしれて・・・”と歌うのは気持ちが悪い。だから幸せなカップルの後ろから「幸せになりなさい」というエンジェルのように歌ったらどうか・・、という事で作ったのが「二人は世界のために」。
・13歳の時から弟子に入っていた背が高く体重が76Kもあった子がいた。顔も可愛く歌もうまいが、体が大きい。体型はビア樽型。体型を隠すために服を選び、背を隠すために後ろに背の高い男のバンドを並べる。そして彼らが汚いヒゲをはやせば、彼女の顔がもっと可愛く見えるだろう・・。それで出来たのがピンキーとキラーズ。デビュー曲「恋の季節」はレコード売り上げ歴代第3位。350~400万枚売れた。
・コマーシャルの仕事で使っていた無名の歌のうまい歌手がいた。CMなどで、楽器で新しい音色を作るのが難しいので、女性の声で、ラララ・・とかアーとかを楽器とうまく混ぜて使っていた。あるラジオ局のテーマソングを作ってくれと言われたので作ったら、直ぐにレコードが出ていないのかと問い合わせが局に殺到した。それで、もう結婚して引退するんだと言っていた彼女を説き伏せてレコードを作った。それが「夜明けのキャット」という曲で、由紀さおりが誕生した。発売日が結婚式の日だった。
これだけの大作曲家でも、最初の本人の希望は演劇・・。それから車の運転手などを経て、作曲家専業に・・・。何とも、才能はどこに隠れていて、どのように見付けられるか・・・。そしてそれがどのようにして花開くかは、何とも不思議な世界・・・。(まあ自分のように、黒い石炭の才能では、うかがい知れない世界だが・・・)
でもいずみたくのモットー「誰にでも歌われる歌を」「世に歌い継がれて、民謡になるような歌を」というコンセプトは素晴らしい。確かにいずみたくの音楽は、湿っぽさが無く、明るい希望の歌が多い。
何もと懐かしい歌の、数々の誕生秘話・・・。聞いていて楽しかった。
この講演会は、歌の好きな人にとっては、時代を超えて楽しい講演会だ。
●メモ:カテゴリに「番組zipファイル(mp3)リスト」を追加
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