「大地からの贈りもの~レアアース、レアメタル」
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先日放送されたNHKラジオ深夜便「インタビュー 大地からの贈りもの~レアアース、レアメタル 東京大学名誉教授 月尾嘉男」を聞いた。
自分は出身が理系なこともあって、このような具体的な数字があると、実に理解しやすい。まあ女性はどちらかというと不得手らしいが・・・。話を文字にしてみると・・・。
「インタビュー 大地からの贈りもの~レアアース、レアメタル
東京大学名誉教授 月尾嘉男
・地球上の重量を比率で表すと(=クラーク数)、酸素が一番多く半分。次がケイ素で26%、アルミニウム8%、鉄5%・・・。それに対して、レアアースのジスプロシウムは4ppm、つまり0.0004%で光磁気ディスクに使用している。MRIなどの磁石を作るのに必要なレオジムは0.0022%しかない。
・日本の食糧自給率はカロリーベースで4割。よって6割は輸入。そば粉の9割はアメリカや中国などからの輸入。大豆の自給率は5%。小麦粉は14%、果物は4割。魚は5割。水は日本に降る雨の総量の20%を使っているが、輸入している穀物などを育てる水まで入れると、全部で4割を使うことになり、生態系を維持するための川に流す水量を考えると、取水率4割はギリギリとなる。
・原油は99.6%、天然ガスは96%、石炭は100%が輸入。日本のエネルギー自給率は4%。
・地球上の資源を今のまま使い続けると、あとどれ位で無くなるかを調べてみると、石油は40年で無くなる。天然ガスは70年、ウランは85年。そして銀は14年、金は17年、銅が36年、鉛が24年。鉄だけは120年。レアアースのうち、アンチモンが13年、タングステンが62年、ニッケルが46年、クロムが123年、コバルトが182年。
・木材の輸入率は8割。世界中で今、1年間に北海道と同じ面積の森林を切っている。これは1秒間にテニスコート3面分を切っている計算になる。このスピードで切って行くと、530~540年で森林は全部無くなってしまう。人類が出す二酸化炭素の3割はこれら森林が酸素に変えてくれている。それが少なくなると地球温暖化が進んで100~200年で人類絶滅の危機に直面?
・資源は、減っていくものは値段が上がる。今世紀に入っての10年間で見ると、石油は2.7倍、ウランは8.4倍、レアメタルの代表のニッケルは1.9倍、アンチモンは4.1倍。
・レアアースは、現在中国で生産されたものが97%。埋蔵量は中国が36%、ロシアに19%。タングステンは生産量の75%、埋蔵量の67%が中国。アンチモンの生産量の88%、埋蔵量の56%が中国。
・対策の第一は備蓄。石油の備蓄は日本では10カ所で行っており、194日分ある。レアメタルは茨城県の国家備蓄倉庫で7種類備蓄している。
・対策の第二は、資源の調達先を分散する。カザフスタン、ベトナム、モンゴル、オーストラリア等と進めている。日本の温泉にもレアメタルが含まれている。草津温温泉にはスカンジウム、別府温泉にはリチウム、タングステン、セシウムが含まれており、抽出の技術開発が進んでいる。
・第三は、不要品からの回収。金で言うと、世界一の高品質の鉱山は日本の鹿児島県の菱刈金山で、1トンの鉱石から60グラムの金が取れる。携帯電話は8000個位集めると1トンになるが、その配線などに使われている金を取り出すと300グラム取れる。つまり5倍。今まで日本で使われた金(金歯や電子部品など)を全部回収出来たとすると、日本は世界一の金保有国だという。
・第四の対策は、レアメタルを他の素材で代用する技術の開発。錆びないステンレスは従来、鉄とニッケルとクロムの合金だったが、ニッケルの代わりに銅を使う製品が既にある。または鉄とクロムとスズで作った製品もある。
・「節約こそ最大の資源」。日本では重量で6500万トンの食料が供給されているが、そのうち2000万トンが棄てられている。まだ食べられるのに、賞味期限切れで棄てられたりしている。パーティーの15%の料理は手付かずで棄てられる。
・世界で飢餓状態にある人は11億5000万人いる。世界人口の20%。逆に食べ過ぎ・肥満で困っている人が10億人位いる。ちょうど見合う数字。アメリカでは1日に棄てている食料をお金に換算すると120億円になる。アスレチックなど、体重を減らす為に使うお金が1日に120億円。肥満治療で医療費として使っているお金が1日260億円。年間1000万人もの人が餓死している状況から、配分をうまくする社会が必要。
(2011/01/06「NHKラジオ深夜便」から)
実にゾッとする数字・・・。特に、金や銀が10数年で掘り尽くすとは知らなかった。石油の話はよくあり、産油国では延命のために産出量を調整しているやに聞く。しかし、金銀銅などの馴染みの金属がそれほど少ないとは・・・。なるほど、廃棄品からの回収の話題が多いはずだ・・・・
地上デジタルへの変更が半年後に迫った。各家からアナログのテレビが排出されている。先日、軽トラックで回っている回収屋さんに聞いたら、集めたブラウン管テレビは、修理されて輸出されるのだという。車も多く輸出されているらしいが、これらは資源の有効活用からすると、非常に良いこと。壊して金を取り出すよりも、よっぽど価値がある。
まだウチにも処分していないブラウン管テレビがある。今は回収料が2千円とか・・・。先の「減ってくる資源は値段が上がる」という話ではないが、アナログテレビはこれから益々各家庭から排出される。つまりはテレビのダブつきから回収料の2千円は上がって行くだろう。早く処分せねば・・・・
なかなか勉強になる「NHKラジオ深夜便」ではある。
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コメント
私もNHK深夜便で「月尾嘉男先生の大地からの贈りもの~レアアース、レアメタル」についての放送を録音して拝聴した。
実に背筋の寒くなるような内容であった。
尖閣列島事件での唯一の副産物的に出てきた話題は「中国が日本への報復的処置としてレアメタルの輸出制限」を前面に出してきたこと。日本の産業界を震撼させるほどのインパクトがあり、一般庶民に事の重大さを喚起するものとなった。
月尾嘉男先生の話は、レアアース・レアメタルの解説は、話も分かり易かったが、エムズ氏の要約を読んで、再度その実態が数字を眼で見ることができて、よりで理解できた。レアーメタルが産業のビタミン剤であるとの話。
地球上の資源を今のまま使い続けると、あとどれ位で枯渇する話で、
石油は40年、天然ガス70年、ウランは85年。そして銀は14年、金は17年、銅が36年、鉛が24年。レアアースのうち、アンチモンが13年、タングステンが62年、ニッケルが46年。
との話にはショックを受けた。
日本の対応についても話が及んだが、不安は残る。
月尾嘉男先生のより詳しい話の続きを期待したい。
【エムズの片割れより】
なかなか勉強になりますよね・・・。
投稿: 田中久雄(柳風) | 2011年1月14日 (金) 08:11