天声人語と「創作四字熟語」
自分はウィットが大好きだが、今日の「天声人語」にはうなった。住友生命の「創作四字熟語」の話題。本家の住友生命のサイト(ここ)には、単に背景だけが淡々と紹介されているが、天声人語は「創作四字熟語」を巧みな言葉遊びでつないでいる。それが実に鮮やか・・・・。曰く・・・
「ウィキリークスにやられた米政府が「公電泥棒」と叫んだかどうかはさておき、たいていのことは漢字四つで表せる。海老蔵さんの一件は「殴顔無値(おうがんむち)」か「親系酔弱(しんけいすいじゃく)」か。以下、住友生命が募った年末恒例の「創作四字熟語」で今年を顧みる。
まずは森羅万象のはやり物。「辛辣万食(しんらーばんしょく)」とばかりに食卓を席巻したのは食べるラー油。見渡すかぎり萌(も)え萌えの秋葉原で輝いた「四萌八萌(しほうはっぽう)」はAKB48。呟(つぶや)きを飛ばすツイッターは「流呟飛語(りゅうげんひご)」とまとめられた。
龍馬ブームは紀貫之にあやかって「土佐人気」。500メートルを超えた東京スカイツリーは、早くも「全人見塔(みとう)」の観光地になった。映像の奥行き、飛び出し、臨場感の三位一体で売る「三見(さんみ)立体」の3Dテレビも評判に。
グアム行きの構想は奇想天外だったのか。普天間放置の「棄想県外」に沖縄県民の怒りは募る。中国漁船が体当たりしてくる「船嚇(せんかく)諸島」の事件は検察も巻き込んだ。特捜には期待したいが、事件を作る「独創検事」は困る。
畜産宮崎を襲った口蹄疫(こうていえき)で29万頭の牛豚が処分された、ああ「諸牛(しょぎゅう)無情」。古色蒼然(そうぜん)のお役所仕事で「戸籍騒然」、所在不明の超高齢者が後を絶たない。花鳥風月も泣く「夏長秋欠(かちょうしゅうけつ)」の猛暑に、八百屋の店頭は「市場菜高(さいこう)」。腹ぺこの野生動物が街をうろつく「群熊闊歩(ぐんゆうかっぽ)」も。
バンクーバーは「遠金(とおきん)五輪」だったが、南アフリカのW杯は盛り上がった。「芝地(ピッチ)団結」の日本代表に、われら「不眠蹴球」。過労か寿命か、勝敗を当てまくって昇天した「百発蛸中(たこちゅう)」のパウル君も忘れがたし。」(2010/12/10付「朝日新聞」天声人語より)
この筆に、我々は手も足も出ない。やられっぱなし。
話は変わるが、外国の政治家のジョークは日常的。それに比べ、日本の政治家の冗談・しゃれは禁句・・・。
政治家の記者会見で、何かのアクシデントが起きても、外人はジョークを飛ばしてかえって場を盛り上げる。しかし日本人は、担当官僚の首が飛ぶ??まあ文化の差だろうが、何とも日本人は余裕がないように見える。
その点、こんな「創作四字熟語」や「サラリーマン川柳」などのシャレは、自分は大好き。マジメな日本人も、少しは余裕があるように見えて心強い。
当blogでも「サラ川」などは毎年つい話題にしてしまう(ここ)。そこにはこれと同じく、“噛みしめるウィット”がある。それが好き・・・。
しかしそれでいて、絶対に自分では作ることが出来ない。これはセンスの分野。だから努力とは無関係。頑張れば出来るというものではない。持って生まれた才能が必要。だから自分で作ることはムリ・・・。
でもせめてトシを取るごとに、物事に対する“ゆとり”だけは持ちたいもの・・・。
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