伊藤久男の「宵待草の唄」
自分は叙情歌が好き。昔の叙情歌では、八洲秀章と寺尾智沙/田村しげるのおしどりコンビの歌が好き。寺尾智沙/田村しげるの歌は、当サイトでも前に「白い花の咲く頃(ここ)」「リラの花咲く頃(ここ)」「夕月の歌(ここ)」「さざん花の歌(ここ)」の4曲を紹介した。今日はその5曲目、「宵待草の唄」の紹介である。
先日買った(これ)に「宵待草の唄」という歌が入っていた。このCDアルバムに入っている歌での“新発見”は非常に少なかったが、これはその貴重な1曲。
伊藤久男の「宵待草の唄」は昭和32年7月15日の発売。この年の暮れの第8回「NHK紅白歌合戦」(1957年/昭和32年)で伊藤久男が歌った、と記録にある。ついでに伊藤久男が紅白で歌った歌を調べてみた。
それによると、「イヨマンテの夜(ここ)」(昭和27・33・39年)、「オロチョンの火祭り(ここ)」(昭和28年1月)、「君いとしき人よ(ここ)」(昭和28年12月)、「数寄屋橋エレジー(ここ)」(昭和29年)、「キャラバンの太鼓」(昭和31年)、「宵待草の唄」(昭和32年)、「サロマ湖の歌(ここ)」(昭和34年)、「山のけむり(ここ)」(昭和35年)、「メコンの船歌」(昭和36年)の計11回出場している。(この中で「キャラバンの太鼓」と「メコンの船歌」は当blogでまだ紹介していない)
<伊藤久男の「宵待草の唄」>
「宵待草の唄」
作詞:寺尾智沙
作曲:田村しげる来ぬ人の まつげは悲し
渚に待てば 心なく
指よりもれる 銀の砂潮騒は 頬につめたく
うすむらさきの 夕闇に
ひとりたたずみ 泪ぐむ星かげは いつかまたたき
瞼ふせれば 仄かなる
宵待草の 花の色
聞いてみると、伴奏の編曲を含めて、実に“いつもの”伊藤久男の叙情歌である。
このCDの解説にはこうある。
「これも田村、寺尾夫妻による抒情歌です。宵待草は通称“月見草”、本来は“大待宵草”と呼ぶべき花ですが、竹久夢二が詩を書き、多忠亮が作曲した「宵待草」があまりに有名になったため、こちらの方が普通名詞になってしまいました。寺尾智沙の詩は、夢二の詩を土台にして書かれています。」
作詞家・寺尾智沙をJASRACのデータベースで調べてみた。するとJASRACに登録されている歌は26曲。それに比べて田村しげるの作曲は146曲。そして夫婦の合作は23曲だった。その中に今まであげた5曲が含まれる。
WIKIによると寺尾智沙は50歳で亡くなったというが、それ以上の情報はない。(しかしこのご夫婦は、後で別れたそうだ。~「伊藤久男~熱き心の歌~」BOX-CD解説書P51より)
ご夫婦での作詞作曲は、阿木燿子/宇崎竜童コンビがあまりにも有名。それ以外のコンビは・・・、自分は知らない。
そう言えば、当サイトの「エムズ」の語源である「クラフト☆ギャラリー M's(エムズ)(ここ)」も、夫婦合作???
いやいやそれは違う。とても合作とは言えない・・・。(大きな声では言えないが、そこには「主役」と「製造下請け」という立場があったので・・・。(ここ))
このサイトも、もう久しく更新していない。それは「エムズの“片割れ”」にしてみるとラッキーなことではある・・・・
確かに、夫婦で何か一つの作品を生み出すということは素晴らしいこと。しかし、一緒にどこかに行って同じ時間を過ごす、ということは良くあっても、夫婦で何かを“生み出す”ことは、興味の世界の違いや、センスの違いがあって、なかなか難しい。
近所で、リタイア後に夫婦一緒に大きな家庭菜園をされている方がいるという。そこで採れた野菜も夫婦合作と言うのだろうか?
「合作」はあくまで対等の関係。でも我が家を始め、普通は、男がリタイアした途端に、女性は絶対に“主”になり、男は必ず“従”になり下がる。よって対等の関係での真の合作は、対象が何であれ極めて難しいと思うのだが・・・。
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コメント
伊藤久男さんのよい叙情歌を載せてくださってありがとうございます。
歌の流れた子供の頃をふと思い出します。
ところで、作詞・作曲家のご夫妻って結構いらっしゃるんじゃないでしょうか?
私の乏しい知識でも、
加藤和彦&安井かずみ
鈴木 淳&悠木圭子
松任谷正隆(編曲・プロデュースかな)&松任谷由実
ほかにもいらっしゃると思います。
夫婦合作! なんと素晴らしいことでしょう!!
【エムズの片割れより】
そうなんですね。作詞・作曲の夫婦って、たくさん居られるのですね。
投稿: ジャン | 2010年12月16日 (木) 00:59
奥さんと旦那さんの立場が逆転している老夫婦だったら 素晴らしいのですけど、男の人って お客様、下宿人、預かっているよそ様の学生さんかしら、と 思ってしまうほど、家庭内のことは ”従”なのですね。 私も時々 それが悩みなのですが、 なんとか 主と従のバランスを 傾き過ぎないように ”いい知恵”をと思う日々です。 暖かいホームを作るということは 二人の合作なのですが、 退職後は 生活形態が変わります。良い知恵といったものの、なかなか難題ですわ。 気が利きすぎるいい妻でない、ほうが 男性もぼけないでいくのかなぁとか
思います。 真の合作でなく、適当に合作でも いいです。 夫の為にも長生きしないとですね。(笑)
【エムズの片割れより】
男がリタイアした時に、家庭でカミさんに“主”を譲る?のは、ある意味当たり前のような気がしてきました。現役時代は、会社では男がベテランで、女性は家庭でベテラン。その女性が君臨する家庭に、新人の男がノコノコ入って行くのですから、主が取れるワケがない・・・。
よってリタイアサラリーマンは、小さくなって?余生を過ごしましょうかね・・・??でも女性の長生きは絶対条件。自分など、カミさんが先に逝ったら自分は結果として殉死する、と言っています。(何のことはない。料理を作らないので結果として餓死?)
投稿: むべ そよ風 | 2010年12月16日 (木) 08:19
伊藤久男さんの「宵待草の唄」
オリジナルは、昭和31年8月のABC「クレハホームソング」です。
番組から録音したのがありますが「宵待草」と紹介していました。
大阪の朝日放送で録音して保存してあるので、
レコードのは、後にレコード会社で別に吹き込みされたものです。
伊藤久男さんのホームソングぱ「星ぞらの下で」「秋の風」もあります。
ご夫婦での作品は、以前書かれていた時に、
中村メイコ・神津義行さんもおられると書いています。
【エムズの片割れより】
そうなんですか・・・・
投稿: なち | 2010年12月16日 (木) 20:13
こんにちは 以前コメントをさせていただいた雪の華と申します
叙情歌、いいですね。「津軽のふるさと」が好きですが、滝賢一郎さんという方がこの歌を歌われて、最近叙情歌を歌われてます。
一度コンサートへ行きましたが、テノール歌手の方で、とても歌声が良かったです
お好みもおありと思いますが、是非一度聴いてみてください
追伸 ご夫婦の関係がとても楽しいですね
でもしっかりと結ばれてますね
【エムズの片割れより】
ご紹介ありがとうございます。今度調べて聞いてみます。
夫婦の関係??カミさんも時たま同じようなことを友人から言われるとか・・・。でも実際は・・・。
実はこれは“カモフラージュ”なのです。我が家が、映画「ローズ家の戦争」のようになったときのための、アリバイ作りなのです。(よ~し、うまく行っているぞ!!)
投稿: 雪の華 | 2011年1月 3日 (月) 14:01