今日は、最近凝っているFM放送の、電柱からのノイズ対策の記録(その1)である。
FM放送にノイズが乗り出したのは半年ほど前からだったか・・・・。月に一回位はあったように記憶している。その頻度が最近増えてきた。11月以降、定期的に録音しているMP3の音源から発生の記録を取っているが(下記カレンダー参照)、11月で6日。12月の第2週以降はほぼ連日発生している。ノイズの音は先に書いた通り(ここ)、細い波形のチリチリ(パリパリ?)ノイズ。
そして今までの細いパルス状ノイズ①だけでなく、12月7日には、太い波形の“ジジッ”というノイズ②も出現。
下記にノイズの波形・音声、及び発生の日にちを示す。(波形は、MP3の音源をフリーソフトの「mp3DirectCut」で表示。写真はクリックで拡大)

<ノイズ①の音>(イヤホンで聴かないと分からないかも)
<ノイズ②の音>~ノイズ部分だけ抜粋
最初はてっきり車のエンジンの点火プラグから出るイグニッションノイズだとばかり思っていた。でも周囲に車は停まっていない。NHKの受信相談に“何か心当たりでも・・”と聞いてが分からない。それで音源を当サイトにアップした(ここ)。どなたか心当たりは??・・それから色々なアドバイスを頂き、順に確認したが、なかなか原因が分からない・・・
Netで「コモンモードノイズ」という言葉を知り、何だかこの対策が効くような気がした。それで、アマチュア無線の皆さんが使っているという「TDKの大型コア ZCAT3035-1330」を10個買ってみた。手持ちのコアも含めて15個の全てを1ターン(3回巻き)でアンテナからの同軸に取り付け、変化を見た。でも空振り・・。全く何も変わらなかった。
実はノイズ自体が、昼の時間対しか発生しないため、自分がナマでノイズに出くわすことがなかなか出来ず、発生場所の切り分けが出来なかった背景もあった。
そんな折、先日飲んだ(ここ)昔の仕事仲間からメールを貰った。知らなかったがその時に一緒に飲んだSさんはアマチュア無線をやっているそうで、前に同じような体験があったとのこと。同じように冬の乾燥期に良く発生していたとか。原因は電柱の碍子か柱上トランスではないか、との指摘。どうもそれらの絶縁不良からノイズが発生していたらしいが、東電に言っても対策して貰えなかったとのこと。後年電柱が移動してからはそのノイズが無くなったという。
早速、「電柱」というキーワードを手がかりにNetで調べてみると、色々な情報が得られた。結果、勝手に自分で「電柱の2連ピン碍子からのノイズ」と断定!!
改めて整理をすると、ウチのノイズは、・・・
1)前は本当に“たまに・・”だった。それが11月から12月になって、急に発生頻度が増えてきた。冬期の乾燥と関係か?
2)発生時刻は昼間だけ。発生時間帯は9時~16時頃だが、12時~14時の頻度が多い。
3)発生時間は、30分程度から1~2時間位に、そして段々を長くなりつつある。
4)発生する時は3日連続、という事もあるが、3~5日連続して出ないこともある。
5)バイクのイグニッションノイズは実際に体験したが、これは一過性であり、それではなかった。
6)以上の状況証拠のなか、12月12日にやっと在宅中に発生した。結果、FMバンド全域で出ており、電波が強い局を受信した時はノイズが抑圧されているらしく、ノイズレベルは低い。その後、雨の日もレベルは小さいが発生。時間的にも、連続して発生するようになった。
この事象に対して、特に参考になったのがJA1BYPさん(ここ)の「ノイズ対策に挑戦」という記事(順に読んで行くと分かり易い)。まさに自分と同じような症状で、一連の対策経緯が書いてあった。この事例では「二個連碍子」(2連ピン碍子)での絶縁不良から不安定な放電ギャップが形成され、ノイズが発生するらしい(ここ)。
(なお、このレポートはCQ誌の2000年10月号(ここ)に「147 電力会社にも協力を求めた電力用空中架線のノイズ対策」として掲載されたとのこと)~(2011/01/28追:このCQ誌の記事のPDFはここ)
この記事を読んで、これだと思った。そして家の前の電柱を見上げると、まさに「二個連碍子」が付いているように見える。
それで、電柱番号を調べて、12月9日に東電のカスタマーセンターに電話してみた。すると対応は速い・・・。勝手に決めつけた当方の言い分(「家の前の電柱からノイズが出ており、FM放送が聞くに堪えない・・」)を、受付の女性が聞きながらキーで打っていく。そして、追って担当から電話が行く、とのこと。
1時間半後、地元の東電から電話が来て、「サービスを担当している外部の会社から電話させるので、伺う日のアレンジを」。その10分後に東電ホームサービスのTVI担当の方から電話が来て、立会が必要、とのことで、12月11日(土)の昼過ぎに来てもらう事にした。
電話では、当方の決めつけの「犯人(二個連碍子)」に対し、可能性があると言っていた。そして何か対策のアタッチメントがあるとも・・・。それに、ウルトラホン(放電箇所を調べる機器)で調べてくれ、という話も通じたので心強い・・・。
そして12月11日(土)に東電ホームサービスが来た。ノイズが乗っている時の波形グラフを見せると一発で理解してくれた。「これだけはっきり出ているので、ウルトラホンも持ってきたが、調べるまでもない」との事で対策の話に移った。
まず、専用の取り付け金具があるとのことで、写真を見せてくれた。その金具を碍子に取り付けると、100%ではないが、ノイズが取れるとのこと。しかしこの部品はこれから手配するので、対策は月単位で先になる、と言う。「そんなに待てないので、碍子そのものを交換してくれたら良いのに・・・」と言うと、「それは東電の担当なので、月曜日になったら東電に交渉してみる。それに碍子を交換してもまた発生する可能性があるので、まず碍子を交換して、その上で金具を取り付けたらどうか」、と言うのでそのようにお願いした。
資料として、ノイズ発生の波形写真と、JA1BYPさんの記事のコピーを渡した。
次の日=12月13日(日)に初めて在宅中にノイズが発生した。上に書いたように、広帯域でノイズが出ている。方向の違うアンテナに変えてみても同じ。しかし受信局によってノイズレベルは違う。これは電波が強い局はノイズが抑制される結果だと思った。
携帯ラジオを持って電柱の近くを歩いたが、もともとFM電波が弱いので明らかな状況変化は掴めなかった。そもそもアンテナの目の前に電柱の碍子があり、位置関係が最悪。もしかすると、電柱とアンテナの位置関係が少し離れていたら、現象は出ないのかも知れない。
そして今日(12月14日)東電ホームサービスから電話あり。「東電と話が付いた。今月中にまず電柱の碍子の交換をする。もらった写真(これ)のように、今までの2個連タイプから一体型の碍子に替える。今日、図面(交換のための設計図)を書いて東電の工事部隊に送り、それをもとに工事の日程を決める」とのこと。
かくして、これから東電の工事業者から連絡が来て、具体的な碍子交換作業に移る事になった。
「電柱では?」とのアドバイスを貰ってからNetで記事を見付け、ここまでたどり着くまで1週間。JA1BYPさんの記事と妨害波形グラフ(上記)が、東電に対して非常に説得力があり、役に立った。
たぶん碍子を交換すればノイズは無くなると思うが、碍子を交換した結果は、後日報告します。
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