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2010年11月 5日 (金)

朝日新聞の世論調査「死生観」

先日の朝日新聞に「死生観 本社世論調査」という記事があり、興味深く読んだ。
まず調査方法が「全国の有権者から3千人を選び、郵送方式で実施した。・・・全国の縮図になるように339の投票区を選び、各投票区の選挙人名簿から平均9人を選んだ。・・・有効回答は2322で、回収率は77%。・・・」という本格的なもの。
この記事を要約すると・・・

「重い病気で治る見込みのない場合の延命治療」
  希望しない 81%/希望する 12%
「家族に対する    〃        」
  希望しない 51%/希望する 33%
「家族が延命治療を拒んでも良い」
  そう思う 72%/そうは思わない 22%
「苦しい思いをするくらいなら、病気と闘うのはやめたい 53%
 苦しい思いをしてでも、病気と闘い続けたい 35%」
「ホスピスへの関心がある 70%(男性6割、女性8割)」
「ホスピスに入りたいか」
  入りたい 44%/そうは思わない 46%(自宅ですごしたい)

「自分が治る見込みのない末期がんだとわかったら」
  知らせてほしい 78%/知らせてほしくない 18% 
「自分の家族が末期がんだとわかった場合は」
  知らせたい 40%/知らせたくない 48%
「治る見込みのない病気で余命が限られていることがわかった場合」
  自分の余命を知らせてほしい 76%/知らせてほしくない 20%
「家族に余命を知らせるかどうか」
  知らせたくない 52%/知らせたい 37%

「余命を知り、心の準備をしてから死ぬのが望ましい 49%
 ある日突然に、何の準備もせずに死ぬのが望ましい 44%」
「死は・・・」
  怖い 55%/怖くない 35%
「何歳ぐらいまで生きたいか」
  80歳 45%/90歳 20%/70歳 17%/100歳以上 6%

「自分の葬儀を」
  してほしい 58%/しなくてもよい 36%
「葬儀の規模は」
  身内や親類だけの参列だけでよい 74%/多くの人に参列してほしい 18%
「葬儀の費用 全国平均は約230万円だが・・・」
 こんなにはかけたくない 85%/これくらいの費用をかけたい 10%
「通夜や葬儀をせず、火葬だけで葬る“直葬”への抵抗感は・・」
  抵抗感はない 46%/抵抗感がある 51%
「自分の墓について・・」
先祖や両親のお墓に入る 56%/お墓そのものがいらない 17%/今後自分のお墓を用意したい 14%/自分のお墓を持っている 8%
「自然葬と墓地埋葬では・・・」
  自然葬 21%/墓地埋葬 69%

それ以外で興味の引いた項目は・・・
「運命というものがあるとすれば、そのまま受け入れていくものだと思いますか。自分で変えていくものだと思いますか」
  そのまま受け入れていくもの 44%
  自分で変えていくもの    50%
「自分自身が孤独死することをどの程度心配していますか」
  大いに心配している  8%
  ある程度心配している 29%
  あまり心配していない 43%
「投薬などで“安楽死”が選べるとしたら、選びたいと思いますか」
  選びたい 70%/選びたくない 22%
「“安楽死”を法律で認めることに賛成ですか。反対ですか」
  賛成 74%/反対 18%
「あなたは“あの世”があると思いますか」
  あると思う 49%/ないと思う 43%
「両親や祖父母のお墓を守るのは、子どもの義務だと思いますか」
  子どもの義務だと思う 75%/そうは思わない 20%
        (2010/11/04付「朝日新聞」朝刊p9より)

なるほど・・・・
101105asahi なかなか興味深い記事である。特に延命治療については、8割が希望しないのに、病院で延々と続けられる現実・・・。それに「死」は怖いものだとばかり思っていたが、35%の人は怖くないという・・・。また、自分の葬儀をしなくて良いと思う人が36%もいるということは、現在の葬儀に対する不信感? また葬儀をしても親族だけで、と考える人が74%ということは、現在の葬儀のあり方が問われる。それに直葬への抵抗感が、46%の人が無いと答えている。これは意外・・。(写真はクリックで拡大)
安楽死についても面白い。助からないと分かったら、7割の人が安楽死を選ぶという。法律改正も含めて安楽死は日本のこれからのテーマ?
また「あの世」があると思う人と無いと思う人が半々とは面白い。こんなことを真面目に聞くことはあまり無いので・・

まあ、このようなデータに対しては、あまりコメントするものではないな・・。ただ、ナルホド・・と頷くだけ・・
しかし日本人の死生観についてのデータは初めて見た。色々と考えさせられるデータではある。

★非常に興味深い記事なので、オリジナルの記事をPDF二つに分けて(ここ)と(ここ)に置きます。ご参考まで・・・・

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コメント

朝日新聞に「死生観 本社世論調査」という記事があり、エムズ氏は「興味深く読んだ」とある。転移した肺癌で余命半年と言われ、その後、何とか一年を闘病を意識して、存命している私にとっては、身につまされる世論調査であり、大変有用かつ参考になった内容でした。
アンケートの設定が、ガンでの宣告・死亡を想定しているようだが、その前に人生の終末には、大別して三通りがあろうかと思う。
① ガンをはじめ、その他種々の病により闘病後の死。
② 血管系の疾患による突然死。
③ 長寿と言われる年齢となり介護されての死。
この三択のどれを望むかの設問が欲しかった。

当然のことだが自分の年齢により、その人の死生観は大きく変わる。
73歳になる私は、現在は①のケースだが、③となるケースは絶対に避けたかった。
宣告を受けた当初は、余命を知らされたことに、「死ぬも気合なり」「準備も出来て結構」「肺癌で幕を閉じるは望むところ」と豪語していた。
一年の闘病している間には、正直に言って②の方がどれだけ気が楽であろうかと思うこともしばしばあった。
しかし、人生の面白いことに(自殺を例外として)、創造主はその選択する権利を人間に与えていない。どれに当たるか運次第。だから面白い。
「神の思し召すままに」とお預けする以外にないと達観する心境が欲しい。
「死を知らせたい人のリスト作り」が12% 「自分史などの作成」が3%と意外に少ないと思った。私は余命の許されたことを幸いに、リストも整理して「ご好誼に感謝申し上げます」と題した挨拶状も済ませ、現在は「生きた証」をDVDに遺す準備をしている。

葬儀はどのようにしてもらいたいか? の設問が参考となりました。
「家族だけの密葬」の割合がここまで高い数値とは思わなかった。
いくら本人が望んでも、永年の風習で「家族だけの密葬」では済ませられない地方もあるのが現状。

人間には結婚適齢期があると同様に、死亡適齢期もある。
長寿社会とは言え男性は80歳まで、女性は85歳までが死亡適齢期と思われる。
僻みっぽく言うなれば「長寿は不幸の始まり 長寿は不幸に終わる」と銘すべし。 

【エムズの片割れより】
肺がんの方からのコメントは、何とも重く・・・。
自分が選べるのなら②ですね。
14年前に80歳で亡くなった親父は、麻雀をやりながらの脳溢血で、次に日に亡くなりました。兄が色々と整理をしましたが、いつ死んでも良いように全ては整理してあったそうです。
自分は死の恐怖(=告知)に到底耐えられそうにないので、②の突然死が本望・・。もう少し経ったら、色々と整理をしておこうかと・・・
当サイトでも胃ろうなどを考えていますが、確かに介護されての死だけは避けたい・・。よって親父を見習いたいが・・・。「神の思し召し」は如何に??

投稿: 田中久雄(柳風) | 2010年11月 6日 (土) 11:34

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