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2010年11月19日 (金)

特許に勝る「秘伝のタレ」

昨日の日経新聞に気になる記事があった。「特許に勝る「秘伝のタレ」~標準握り技術優位性を生かす」というコラム。曰く・・

「企業 強さの条件
特許に勝る「秘伝のタレ」~標準握り技術優位 生かす

「特許を取らなかったから皆が使ってくれた」。今年のノーベル化学賞の対象になった「クロスカップリング反応」。・・・・
この技術をいち早く使ったチッソは液晶材料の市場を独企業と二分する。だが液晶パネル、テレビと下流に近づくほど韓国、台湾などアジア勢に押される。日本の誇る先進技術が世界市場を急拡大させているのに、産業力に十分に生かせていない現実。特許を押さえていたら、状況は変わっていたのだろうか。
後発組が急追
日本が特許の9割以上を握り、「日本企業にしか作れない」とされた記録型DVD。今では台湾企業などの安値攻勢でリストラに追われる。生産技術はすぐに世界に広まり、特許で囲い込むだけでは後発組の追い上げをかわせない。その中、三菱化学が気を吐く。世界首位を走り、黒字を維持。技術と市場の主導権を手にしたのは事実上の「標準」を奪ったからだ。
「秘伝のタレ」。三菱化学社長の小林喜光(64)がこう呼ぶ材料がある。記録層に使う「AZO色素」。光や熱など環境変化に強く、映像やデータを安定的に記録・再生できる。三菱化学はこの材料の特許取得にとどまらず、タレの価値を高めるために事業モデルをがらりと変えた。
製造装置会社と組み、同材料を使って記録型DVDを安く大量生産する工程を開発。新規参入を狙う新興国企業などに採用を働き掛けた。材料そのものはブラックボックスのため三菱化学から買うしかない。執行役員の奥川隆生(58)は「ピーク時には世界で生産される記録型DVDの9割にタレが使われた」という。競合企業が販売を伸ばすほど三菱化学が潤う。
記録型DVDの需要が縮小すると見るや、次の「秘伝のタレ」を探し始めた。
狙うのは照明などに使う発光ダイオード(LED)向け材料の世界標準。青色LEDの開発で知られる米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授の中村修二(56)と研究に取り組む。
・・・・・・
高級自転車部品で8~9割ともされる世界シェアを握るシマノ。海外売上高比率が9割近くに達しながら、2010年12月の連結純利益は前期比94%増を見込む。パソコンのMPU(超小型演算処理装置)で標準を握る米インテルになぞらえ、「自転車業界のインテル」と呼ばれる。
部品を構成する歯車の素材や構造にこだわり、組み立てたときに最高の性能が出るよう擦り合わせる。商品企画を指揮する神保正彦(58)によると「微妙なさじ加減はまるで薬の調合」。工場を変えただけで品質が落ちることもあるほどで、他社が微細に分析してもまねできない。完成車の海外生産が増えてもシマノへの指名買いは減らず、円高耐性が際立つ。
・ ・・・・」(2010/11/18付「日経新聞」p1より)

自分は、もう現役をリタイアしたつもりなのだが、どうもこのような記事を読むと反応してしまう。まさにビジネス戦略・・。同じような事業モデルとして昔から有名なのがファナック。もう20年以上前だが日経ビジネスで、“ファナックのサービス体制を考えると、値段は高いがファナック製を採用せざるを得ない”といった記事があった。それ以来、自分たちもこのビジネスモデルを模範としてきたが、到底実現は出来なかった。
しかし世の中ではそれらを着々と実施している会社がある。しかも、ローテクと思い込んでいた自転車産業に、それが生きているとはビックリ。世界は広い・・・。

ひるがえって、自分自身の近くを見回してみる。会社で、家庭で、我々はそんな「タレ」を持っているだろうか。ほとんどの人は持っていない。だから“サンデー毎日”になった時に、家人から有り難がられない。それは身から出たさびか?それとも家人の“贅沢”か?

結婚もその時の勢い、または一時の迷いだという。恋愛だとか何だとか言っても、そうそう長続きするものではない。結局は数十年経って、夫婦は静かなフェイズに入る。そして家庭毎にいい味を出す・・・。その“いい味”がここで言う「タレ」のような気がする。
つまり、平々凡々の我が家にだって「秘伝のタレ」はあるんだぞ!?(←ホントかな??)

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