「団塊世代は“食い逃げ”するな~寄付で助けよ」
今朝の日経新聞の「インタビュー領空侵犯」のテーマは「団塊世代は“食い逃げ”するな」。何とも刺激的な見出しで、気になった。曰く・・
「団塊世代は“食い逃げ”するな~若者の社会変革、寄付で助けよ
北海道大学教授 山口二郎氏
――団塊世代に対し、若い人の社会運動にお金を寄付すべきだと提言していますね。
「若いころは学園紛争の主役となり、社会変革に燃えていたのが団塊世代です。しかも終身雇用に守られながら退職年齢に達しました。日本の高度成長の恩恵を十分に享受できた最後の世代でしょう。その人たちが今、退職して私生活に埋没してしまっては、若い世代から突き上げられます。妙におとなしくなったなどと批判されるのも面白くないでしょう。だから、よけいなお節介かもしれませんが、お金の寄付を訴えたんです」
「若い世代には立派な人が多い。病児保育を推進する特定非営利活動法人(NPO法人)とか、2年前の年越し派遣村など、イデオロギーにとらわれない若いリーダーが起業家感覚で新タイプの社会運動を広げています。関心のある分野に団塊世代が退職金から1%でも寄付すれば、自分が参加できなくても、大きな社会変革の力になります」
――団塊世代の食い逃げは許さないということですか。
「世の中が危機的な状況にあるからです。若い世代は人生の予測ができないでいる。学校を出て就職し、結婚して子育てをするなど、かつての普通のライフスタイルが共有できない社会になっています。非正規雇用の比率が高まり低賃金労働です。その結果、未婚者は増え、少子化も止まらない状態です。これらは若い世代による社会への一種の復讐ですね。ただし、いずれは自分に跳ね返ってくる自己破壊的な反逆です」
「このままでは、さらに大きな規模の貧困が広がり、社会保障システムでは救えないという話になりかねない。だから団塊世代には座視しないでほしと思うんです。『余生』なんていう言葉は使ってほしくないですね」
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(聞き手から)
以前にフランスの退職者を取材したとき、よく耳にした言葉は「連帯」だった。自分たちは恵まれた世代。その恩返しに、失業で悩む若い世代に就職ノウハウを指南しているNPOもあった。必要とされるのは世代対立よりも連帯。団塊世代も含めた大人の温かみを、若者が実感できる社会づくりを改めて考えた。(編集委員 須貝道雄)」(2010/11/29付「日経新聞」p4より)
なかなか耳に痛い論である。「食い逃げ」という言葉もキツイ・・・。 同じ今日の日経新聞の別のページに「苦難の就活 遠のく婚活」(2010/11/29付「日経新聞」p5)という記事があった。結婚件数が23年ぶりに70万組割れするという。この記事にあった2枚のグラフが先の記事を裏打ちしている。若者の就業率と年収の推移、及び結婚数の推移である。(写真はクリックで拡大)
確かに団塊の世代は日本の高度成長期に恵まれ、まず「失業」という言葉をほとんど知らないで過ごせた。でもそれは団塊世代以前の方がもっと良かった。退職金もふんだんに貰えた。我々の世代は、それらが急速に減って行く中で、ラストチャンスに引っ掛かったということ。まあ、その意味では“食い逃げ”と言われてもうなずくしかない・・・
確かに、若い世代に我々ベテランの遺産を贈る方法を、我々は知らない。家族の中でさえ、世代間の支援も難しい。(だいたい息子どもはオヤジの言葉を聞く耳を持たない)だから「寄付で支援を」という論は正しい指摘なのかも知れない。
でも現在の社会に、世代間の支援をする仕組みは(逆方向の年金制度を除いて)無い。この論で言っている“退職金の寄付”にしても、その仕組みはもちろんこれから・・。
でも電子政府を標榜する日本・・・。前に“事業仕分け”でこんな事を言っていた。若い人が、自分がどんな職業に向いているかを調べるサイトを叩くと、ある条件では常に「ペットショップの店員」という答えが出てきたとか・・・。
まあこのような寄付制度が本当に出来たら、“自分がどのNPOに寄付したいかを調べるサイト”は、恣意的なNPOが出ないように作らないといけないな・・・。
おっと話がそれた。そんな事は後々の話・・・
ともあれ、世代間の支援制度は面白い。自分が支援したい事業に寄付をする。そしてそれを見守る・・・。しかも「お金」だと後腐れが無くて良い。団塊世代は教えたい。しかし若い人はそれを聞きたくない・・・。それをうまく埋められるかも・・・。なるほど・・・
(大きな声では言えないが、自分はとっくに退職金を使ってしまったので、この話は番外だぞ~。もうお金は無いので、“これから退職金をもらう人”から適用する、ということにしようよね・・・)
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