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2010年10月14日 (木)

「ありがとう」の仏教思想(1/6)

雑誌「大法輪」を読んでいたら「日常語に含まれている大切な仏教思想」という記事があり、心に留まった。その全文を6回に亘って読んで行こう。

日常語に含まれている大切な仏教思想
           大本山護国寺貫首 岡本永司

私たちが日常使っている言葉の中に深い仏教思想が含まれていることが多くあります。その一端をご紹介させていただきます。

「ありがとう」
第一番目は「ありがとう」という言葉で、これは日本語で一番美しい言葉であると言われております。一般的には人から頂き物をした時とかお世話になったときに感謝の意をこめて使われておりますが、この言葉の中には大変深い仏教の考え方、生き方の指針が含まれております。本来は法華経の「是(こ)の諸(もろもろ)の菩薩は甚(はなは)だ是れ有り難し」から出ていると言われております。お釈迦さまは弟子達に一つまみの土を手に取って、自分が今人間として此の世に生を受けたことは、この広大なインドの大地と掌(てのひら)の土と比較するほど稀有なことであるとされました。これを教典では「人身受け難し、今すでに聞く」と申しております。
申すまでもなく、この地球上には数えきれぬほどの種類の生物が存在しております。それらの中で不思議な縁を得て人間として生を受けたことは、正に奇跡的なことと言えます。まして私たちは日本の国に生を受けております。世界中を見ると、長い内戦や民族対立に苦しむ国の人、飢餓に苦しむ人々、その他過酷な気象条件のもとで生活している人々がおられます。そうしたことを考えると環境や治安が悪化したと言われながらも、安定して暮らして行ける日本に住していることも、全く「ありがたい」ことであります。
その他私たちが生きていく上では、天地自然の恵みや他の人々からの支えがなくてはなりません。そうした全ての事に感謝していく仏教的生き方が極めて大切なことであるということがこめられております。「ありがとうと言われるように言うように」との標語がありますが、私たちは「ありがとう」の本来の意味をかみしめて、口先ばかりでなく実生活に生かし実践して参りたいものであります。・・・」(「大法輪)2010年11月号p22より」

まるほど・・・。「有る」ことが「難しい」のか・・・。だから“有り難い”こと・・・

我々の日常生活を振り返ってみると、「ありがたい」事を「当たり前だ」と受け取っていることが如何に多いことか・・・。
“今日も何もなかった”というありがたさ。小旅行で、“事故もなく帰って来られた”というありがたさ。“今日もおいしい物を食べられる”というありがたさ・・・。これらを真に「有り難い」と受け止められる人は、世の中、そうは居ない。何事も慣れてくると“当然”となってしまう・・。

我が家は一般的な無信教(多神教?)家族なのだろうが、実は玄関に和歌山・熊野神社の「牛王符(ごおうふ)」を挙げてある。これはだいぶん昔に、友人からもらったお札で、スピリチュアルな事が好きな我が家は、それ以来、車で遠出をする毎に、出発前そして無事に帰ってきた時に、夫婦で二礼二拍手一拝をしている。その御利益かどうかは分からないが、今のところ無事である。
同様に、会社でもトップを筆頭によく神棚に向かって「安全祈願」する事がある。これは決して神道に頼っているのではない。安全に対して会社としてはやるだけのことはやった。あとは個人の意識だけ・・・、ということで、皆に安全に対する意識を蘇らせるために“形を作る”・・。我が家の二礼二拍手一拝も、その意味では「安全運転」への決意の現れ・・。よって、無事に帰ってきたら「ありがとう」を態度で示す・・・。

上の文に、「ありがとうと言われるように言うように」という標語が書かれていた。「ありがとう」という言葉がすぐに口をついて出る人は、人から好かれる。これは子どもの時からの教育なのだろう・・・。
ん?・・ハッと気が付いた。大きな声では言えないが、子供の頃、自分は死んだ親父から「お前は感謝と言うことを知らない」という言葉を“何万回”聞いただろう・・。ヘソの曲がった(次男の)自分は、そんな言葉を聞くたびに「ふん!」とうそぶいていたもの・・・。そして決して、意地でも「ありがとう」とは言わなかった。

たしかにそのおかげで“バチが当たった”場面はたくさんあった。でも自分もそろそろトシ・・・。“晩年は良い人だった”と言われるために(?)、とりあえず「ありがとう」を連発してみるかな・・??(ビョーキと思われるかも知れないけど・・・)

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