プロによるアナログレコードのCD化
前に「スクラッチノイズの低減」という記事を書いた。(ここ)
その時に書いたのが、「レーザーターンテーブル」を使用してのアナログレコードのCD化。それをプロ(ここ)の会社に頼んだのだが、それが出来上がってCDが今日届いた。
音源は、自分が長い間CDを探し求めていたモラヴェッツの演奏によるベートーヴェンの「月光」(ここ)。
世界的にCD化されているかどうか今もって分からない。(スプラフォン盤など、一応コニサー録音と明記したCDはあるのだが、自分は納得していない。それは1楽章の最後のフェルマータの長さが違うので・・・) それで先に手に入れた米コニサーレーベルのLPレコード(これ)を、プロの手で最良の状態でのCD化を頼んだもの。その音がこれ・・・
<モラヴェッツの「月光」#1~プロによるLPからの復刻>
やっと手に入れたLP(ここ)は米国製であるが、かなり聞き込んでいたLPらしく、盤が傷んでいて再生するとスクラッチノイズが多かった。
今回、“プロ”に期待したことは、すり減ったレコード溝のLPでも、表面に近いすり減っていない部分を再生するという「レーザーターンテーブル」の性能に期待する事と、プロとしてのノイズ低減技術。
我が家のプレヤーで録音した音源と聞き比べてみよう。これはDENONのDL-103というMCカートリッジを使用している。
<モラヴェッツの「月光」#1~DENONのDL103>
この差をどう評価するか・・・。相当マジメに聞かないとその差は分からないかも知れない。自分も最初に聞いた時は、とにかくノイズが多く、「??」と思った。しかしこのベースにあるノイズは、盤そのものにあり、仕方がない・・・。そして自分の録音と比較して分かったことは、高域の揺れが無くなっている。つまりスクラッチノイズによる高域の揺れが無いのである。
この音源をWindows Media Playerで、「視覚エフェクト」「バーとウェーブ」「海の霧」で見ると、周波数毎のレベルが分かる。それを見ると一目瞭然。
なるほど・・・。さすがプロ・・・、なのだが、自分の期待値には遠い・・・。なぜなら自分の期待値は“CD並のノイズが一切ないもの”に生まれ変わってくること・・・。まあ原理的にあり得ない“夢”だけど・・・
でもこれで自分の“モラヴェッツの「月光」”へのこだわりは、この辺りで終わりとしよう。
まあ、どの家庭にも、写真で“思い出の一枚”があるように、“思い出の音”もあるだろう。子どもの誕生の時の声、結婚式の録音、その他ビデオカメラが登場する前のカセットに録音された音や、今回のように、CDでは手に入らない(?)大切な音源など、音をデジタル化して悪化を食い止めたい音の一つや二つはある。
それを、このようなプロに頼んで最良の状態でCD化しておくのも、また意味があるのかな・・、とも思う。もちろん音にこだわらない人にとっては、先の音の差のように、こんな僅差では意味がないと思う人も多いだろう。でも趣味の世界は“無意味に”広いのである・・・
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コメント
はじめまして。
半年くらい前から(コッソリと)拝読させてもらっています。30代の男です。
“エムズの片割れ”さんは、多分、僕の父と同じくらいの年齢の方だと推測させてもらっています。
世の中には星の数ほどあるブログですが、“エムズの片割れ”さんのブログは、シニア世代の人生経験に基づいた奥深さがあり、自分の中での「お気に入り」項目の常駐になっています。年齢に【反】比例するかのような柔軟な心持が伝わってきます。肩肘を張らずに、楽しく柔らかく生きてらっしゃるのが想像できます。(時々ある奥様のツッコミも笑って読んでいます)
今日の話題は、いまだに手持ちのレコードを擦り減らすように聴いている父と一緒に、ディスプレーに並んで座って拝読させてもらい、音源の比較をも楽しませてもらいました。父の食い付きも予想以上でした。
聴くたびに擦り減るレコードを惜しみそうに眺めている父ですので、今度の誕生日祝いに、お気に入りのレコードを同じようにCD化してあげようか!?と提案したら、大喜びでした。(これで車での移動中にも聴けるとのことです)
貴重な記事をありがとうございました。
これからもコッソリと拝読し続けていますので、無理の無い範囲で頑張ってください。
また、僕たちの世代の知らない話題も楽しみにしています。
失礼します。
【エムズの片割れより】
まるで自分の息子から褒められたようで、変な気分です。
ところで、たまに「かくれ読者」さんや、「こっそり読者」さんからコメントを頂きますが、「堂々読者」さんとはどこが違うのでしょう??
でも若い人に読んで頂いているとは、意外です。まあいつもいい加減で好き勝手な事ばかり書いていますので、あまりお気になさらないように・・・
投稿: ドクターケロ | 2010年9月 9日 (木) 13:19
はじめまして
レーザープレーヤーは興味はあったのですが、高価ですから手が出ず、たまたま御HPで聴くことができました。どうも有難うございます。
ちょっと気になったのは、この音源はノイズ低減等の編集が入ったものか、手が加えられていない録音直後のものかということです。
ブルブルという雑音が特徴ですが、これは、レコードから録音したものを過度にノイズ低減するとよく出てきます。
プロの仕事なので、それはないと思うのですが。
私は、これまでに趣味で300枚ほどのLPレコードを24ビット-192KHz録音して編集していますが、傷が酷くて、もともとの音源を破壊している場合には、似たようなブルブルというノイズが出てきて、編集をやりなおしたりします。
MCカートリッジで録音したものを聴くと、そのすれすれのような感じもします。ただ、編集でクリアにできないほどのものではないような気もします。
録音しカッティングした当時はレーザープレーヤ等全く念頭にない時代ですから、相性の良し悪しがあります。針でトレースできないところは、全く無視してカッティングする(そこまでカッティングできない)ことも考えられます。
今回は、針でトレースできないところをレーザーで拾い、そこにブルブルノイズがあるような気もします。たぶん、これは編集では除去できないと思います。
ご自分で、確かめることはさほど難しいことではありませんが、時間と根気がいります。
同じ業者に、針で録音したものを編集してもらったらどうでしょうか。たぶん、クリアになると思います。
【エムズの片割れより】
業者さんには、ノイズ低減の編集も含めて、出来るだけ良い音で・・・とお願いしました。でも何せオリジナルが悪いと、どうしようもない・・・。
しかし、レコード300枚のデジタル化とは、色々な趣味があるようで・・・。
貴HPを覗いてみました。ワルターの第九のLP!自分も持っています。これらか色々読ませて頂こう・・
投稿: mahler | 2011年2月 2日 (水) 11:23
非常に知的レベルの高い方とお見受けしますので、このようなことを申し上げるのは釈迦に説法でしょうが、このHPを見る不特定多数の方を対象に書き込んでいると思ってください。
LPをCD化するのは、一種の特注品ですから、業者さんに注文されるときは、スペックを明確にしないと、業者さんもどうしてよいかわからない。
LPの特徴である、針音(パチパチ等)を除いて欲しい、というのがスペックになるでしょうが、そうるすと、パチパチは取れたが、ブルブルが生じる。ブルブルを取るという注文は無かった、となりかねない。
注文の仕方が難しいのです。目的は、綺麗な音にしてほしいということでしょうが、具体的な指示のやりかたがわからない。綺麗という言葉が、曖昧だからです。
具体事例を紹介するしかないのでしょう。原版が「かくかく」で、編集して「しかじか」以上にしてくれということでしょうか。
業者さんが聴いてみて、「かくかく」が「パチパチ」で、「しかじか」が「これならCDなみだな」、とわかってくれるわけです。それを実現するのに、MCカートリッジなのか、レーザーなのかになります。レーザーを使えば、必ず「しかじか」になるとはかぎりません。
その事例を作るのが厄介でしょう。作るくらいなら、全部、自分でやればよいのです。そこで、私のHPをご覧になられたようですから、これを参考に事例を作られたらどうでしょうか。
http://dvda.music.coocan.jp/Contents/compare.html
これで良いかは、主観があるので人によって違うでしょうが、「こんなもの聴く気もしない。」と言われたことはありません。むしろ、いくら説明しても「CDをリッピグして掲載してよいのか。」と言われてしまうこともあります。古い録音をCD化した商品をリッピングした勘違いするのです。
ここまでするには、技術よりも手間がかかるので、業者さんが、受けるかどうかは、原則、予算しだいでしょう。私だったら、LP1枚で10万円以上はいただかないとやる気はしない。
結論は、お金に糸目をつけなければ、たいがいのレコードは、CDなみにするのは難しいことではないということです。
投稿: mahler | 2011年2月 5日 (土) 10:49
はじめまして、確かにレーザーターンテーブルのノイズは、針式よりも少ないです。
10年以上前に私も他社でレーザーターンテーブルにてCD化してもらった音源があり、最近自分でノイズ除去をしてみました。
綺麗に取れます。
購入予算はそれなりにかかりましたが、最近のノイズ除去ソフトは素晴らしいものがあります。
もし、よろしければですが、HPに掲載されている月光、こちらで1曲ノイズ除去しますよ。
驚くほど取れますよ。やってみませんか?
※怪しい者ではありません。
【エムズの片割れより】
コメントありがとうございます。
当方「Sound Forge Pro 11.0」でノイス取りをしてみましたが,ノイズと同時に、音質が悪化するようなので、パルスノイズの除去以外(全体的に行う操作)でのノイズ取りはあきらめました。
音質に影響を与えないノイズ取りは無理なのでは??
投稿: ちゃー | 2018年3月 3日 (土) 01:56
エムズの片割れさん、お返事お待ちしておりました。
SOUND FORGE PROはDAWと呼ばれ、一般的には優秀な編集ソフトの位置づけだと思います。
私も他社製品ですが、wavelabという編集ソフトから勉強しましたが、付属のノイズリダクションでは音質が悪化しただけです。
恐らくSound Forgeに付属しているノイズリダクションでは、音が削れることの方が多いかと思います。
で、肝心のノイズ除去音源に使える音源は、レーザーターンテーブルの音源より、DL103から拾った音源の方が綺麗に取れますよ。
レーザーターンテーブルの音源は、恐らく何らかの据え置き型のノイズリダクション装置を通した音質に思えます。それに加えて、DL103が拾わない怪しいノイズが多すぎます。
何か直接連絡が取れて、wavファイルのやり取りが出来てしまえば、お金は取りませんのでノイズ除去をしてみたいなぁと思ったのですが…。
ノイズ除去をする分には、この月光の音源はそんなに傷んでないと思いますよ。
ただ、私が思うには自分がお願いした物も含め、レーザーターンテーブルの音質はあまり良くないですね…。
聞きたい音が出てませんね。
個人的に気にしていたワウフラッターも、ダイレクトドライブの針式が優秀な為、さほど変わりません。
投稿: ちゃー | 2018年3月 5日 (月) 00:13