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2010年8月12日 (木)

「死後にもセーフティーネット」~長江曜子氏の論

先日の新聞に、聖徳大学教授 長江曜子氏の「死後にもセーフティーネット」という記事が載っており、興味深く読んだ。曰く・・・

死後にもセーフティーネット
    聖徳大学教授 長江曜子さん
葬祭業に従事している米国人から「日本人の供養は丁寧で、とてもすばらしい」と言われたことがあります。亡くなって7日ごとに念仏をあげ、49日目にようやく納骨する。その後も故人をしのぶ法事がある。残された人の悲嘆を徐々に和らげるタイミングは絶妙だし、親族が集まって絆を深める機会にもなる、と分析していました。
でも現実はどうでしょう。私はお墓に関するセミナーの講師をしていますが、今年に入って「お墓の相続を放棄したい」「火葬場で遺骨の受取拒否は可能か」などの相談がありました。
核家族化が進み、親類との交流も細るにつれ、お墓は「先祖代々」から「夫婦」「個人」へと変容が進んでいます。故郷から離れて暮らす人も多い。先祖をまつることが重荷となっている家庭は少なくないのだと思います。
一方で、単身の人や子どものない夫婦にとっては、お墓を作っても誰も訪れてくれないかも、という不安があります。その思いが、散骨や樹木葬を望む人の増加につながっているのでしょう。
でも、お墓は死者だけではなく、生きている人にとっても必要だと思います。「死者を記憶し、時には死者と対話する」というのは人間の自然な欲求です。中国・上海では、散骨された海を見渡す展望台が設けられ、散骨された人々の名前が石碑に刻まれていました。北京で樹木草が行われている場所でも、木の1本1本に故人の名前のプレートが設置されていました。
たとえ亡くなった本人が「お墓は必要ではない」と考えても、残された人には故人をしのぶ追悼の場所が必要なのだと実感しました。
良いことも悪いことも、亡くなった人と分かち合う、という経験は。生者にとって貴重な癒やしになりますし、若い世代に命の大切さを伝えることもできます。お墓参りの持つ力にもっと気付いてほしいのです。
欧州では、お墓の問題を福祉行政の一環として位置づけています。たとえばスウェーデンでは、所得の0.07%を埋葬税として支払い、葬儀や墓の使用権の費用に充てています。無縁の墓は整理されますが、政府がその後も責任を持って遺骨の管理と祭祀を続けます。民間がお墓を経営することは「永続的に管理できるかどうかリスクが高い」として認められていません。
現代でも「死んだ後も、誰かがずっと自分をまつってくれる」という安心感が、生きている人には必要ではないでしょうか。それがないと、社会が殺伐としてしまうと思います。
日本では墓や遺骨の永続的な管理を保証する法的な仕組みが不十分です。東京都営の墓地では無縁の遺骨を合祀していますが、他の自治体の墓地ではどうするのかあいまいで、明文化していないことも多い。「永大供養」をうたっていても実際には期限が限られていたり、民間の霊園やお寺自体が無くなってしまうこともあります。
人間にとって避けようのない死への不安を和らげるためにも、死者をまつることも家族だけに任せず、社会全体で「死後のセーフティーネットづくり」を考えるべき時ではないでしょうか。」(2010/08/11付「朝日新聞」p11より)

当blogでは、今までも死の問題やお墓の問題を度々取り上げてきた(ここなど)。今年の5月には、新潟まで、カミさんのお祖母さんの墓参りと、お墓掃除に行ってきた(ここ)。確かに故人を偲ぶ場所は生者にとって必要だと思う。でも少子高齢化の日本社会は、その方向には向かっていない。

しかしこの記事の、スウェーデンの考え方は新鮮だ。確かにお寺さんも永遠ではない。それで国が全てを管理する・・・。なるほど・・・。でもここまで国に管理されると、息苦しさも感じるが・・・。

ところで、今の若い人にとって、故人とは、そしてお墓とは、どのような位置付けなのだろう? 昔とは大分変わってきているのだろうか? 所詮、死んだ後のことは次の世代に全てを託さざるを得ない。そこに故人の意志は関係ない。これらは、次の世代の人の価値観や考え方だけで決まる。よって、昔からある家代々の墓でも、それが維持されるか、無縁墓になっていくかは、先に死ぬ我々シルバー族などは、考えても仕方がないこと・・・
お墓の継承者がいない場合はもとより、子どもたちが居たとしても、結局故人を偲ぶ関係があるかどうかの問題。もちろん子供たちが住んでいる場所とお墓の位置関係もある。お墓が住居の近くにあれば、何とか維持が続けられるだろうし、故人との関係が希薄でお墓の場所が遠ければ、無縁化していくのは仕方がないこと。だからと言って、子どもたちを責めることはできない。
それに最近話題になっている「100歳以上の人でも、住民票が一緒の家族でも居場所を知らない・・」ということからも、最近の家族関係の変化を読み取る事が出来る。
それら、現代の人々の価値観の変容と、少子高齢化による家族関係の今後の変化を前提にすると、長江氏が言っている「社会全体で“死後のセーフティーネットづくり”を考えるべき時では?」という考え方も確かにあるように思う。

何?我が家?・・・当然、“ケセラセラ”さ・・・・

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