AMループアンテナを作った~ミズホUZ-K1S
毎日、NHKラジオ深夜便を録音しているが、23時台から1時まではFMでは放送していないので、この2時間は仕方が無く「NHK第一」を録音することになる。問題はその音質だ。
いつも使っているオリンパスのラジオサーバーVJ-10内蔵のAM受信機は、自分には不満。専用のアンテナ(AN-1)を買ってはみたものの、(確かに良くはなったが)受信機の性能がいまひとつ。よってオーディオ用のチューナーで受信する事になる。
先日、ケンウッドのFM/AMチューナー(KT-1100D)をヤフオクで買った(ここ)。
そして、買うと同時にKENWOODのサービス(横浜・白山)に送ってオーバーホールをして貰った。ほぼ完動品だったが、この先10年は安定して動くように・・と、消耗品である電解コンだけでなく、出来る限りIC関係も交換して貰った。ヤフオクで買った本体の値段以上の費用がかかったが、ピッカピカになって返ってきた。
ついでに、AMアンテナはチューナーの設計の一部、と思っていたので、ケンウッドのサービスにKT-1100Dの純正アンテナが無いか聞いたところ、純正は無いが同等品があるというので付けて貰った。しかしレベルがいまひとつ・・・
先日、フトしたことから、ミズホ通信という所から「ループアンテナの主要パーツキットUZ-K1S」というのを売っている事を知った(これ)。
自分の場合、遠距離受信が目的ではない。594KHZの「NHK第一」だけが目的。よって、ヘタにアンプ付きを買うと、レベルが雑音と共に増幅されてしまって過大になる恐れがある。よってアンプ無しの「UZ-K1S」というキットにした。 それを今日作った。電線を巻くワクだけは用意するしかない。導体でなければ何でも良い。メーカーの作り方の見本は、幅40センチのハンガーを二つ、1メートル離して棒に縛り付けて、1m×40cmの枠で巻くもの。しかしデカイ・・・。確かに大きいほど感度が良くなる事は分かるが、今回は置く場所の制約から、35cm×55cmの段ボール箱を利用する事にした。先ず段ボール箱を真っ二つに切る。線材は帯状に巻くので幅は3cmもあれば充分なのだが、20cm位でカットした。(写真はクリックで拡大)
キリで小さな孔を空けて、電線を表に出して巻く事10回(L1)。そして二次巻き線を2回(L2)。チューナーにつなぐと、直ぐにシグナルメーターが振り切れた。なるほど、これは強力だ・・・。
さてチューニングなのだが、これが思う通りに行かない。指向性が「8」の字なので、指向性の最悪値は分かる。よってそれから90°回せば良いはず・・・
しかし同調点が分からない。そもそもレベルメーターが振り切れているので、バリコンを回してもピークが分からない。アンテナの方向を最悪値近くにして、バリコンを回すと、レベルが最も下がるポイントはある。しかし目的は最大値なのだ・・・・
さっき、夜になってもう一度チャレンジ・・・。バリコンBOXには丁寧にも細かな周波数まで書いてある。これはダテでは無いだろう・・・。ふとチューナーの受信を「NHK第二」に変えてみて気が付いた。何と「NHK第一」が少し聞こえる。バリコンを回してみると、第二の放送の中に、第一の音が大きくなったり小さくなったり。そしてピークのポイントがある。(アンテナの片線を外して弱くしても同じだが・・) バリコンBOXのメモリを見ると、600のほんの少し上。なるほど。そういうことか・・・
そもそもL1(10回)はLC共振器。つまり同調器である。よってある周波数に同調すると、L2(2回)から出力される電波は、チューナーの受信周波数とは関係なく、L1で同調した周波数が最大になっている。だから受信したチューナーで混信まで引き起こす。つまり、レベルメーターが振り切れてピークが分からない場合は、受信機の周波数をわざとずらして、そこで聞こえる音が最大になるポイントにバリコンを調整すれば良い事になる。小学生のころ、鉱石ラジオを作ったが、その原理と同じ。そもそもL1は、もう一つの“ラジオのバリコン”なのである。
自分はNHK第一しか聞かない。よって、これでバッチリ? 色々な放送局(周波数)を聞く人は、その都度、ループアンテナの同調点を合わせなければならない。
Netで色々と探ってみたが、この同調についての方法は記述がなかった。つまりレベルが振り切れていた人はいなかったのだろう。だから自分とは違ってピークが分かった・・
なお、L1からバリコンBOXまでは最短が良いだろうと、30cm位で切って短くした。そしてチューナーにつなぐL2は、わざわざバリコンBOXを経由する必要は無いので、昔のテレビに付いていた300Ωの平行フィーダーをL1ケーブルに直接継ぎ足して延長し、チューナーまで持って来た。
AM放送を良い音で聞くのは、原理的に振幅変調なので至難の業。でもこんなに簡単に高感度アンテナが作れるとは・・・。本来、電線とバリコンがあれば良い。バリコンは100円ショップで売っているラジオに付いている物を外して使えばよい。だから部品的には数百円のレベル。ミズホ通信のUZ-K1Sは、バリコンをわざわざ箱に入れて、取り付け端子を付け、素人用にまとめたもの。だから実に分かり易いが、部品の割には高価。
でも今回の4200円の買い物。AM受信で困っている人で、少し工作が出来る人にとっては、お買い得かも・・・
最近、ハンダゴテを手にする機会が増えてきた。紅顔の工作少年の再来である。そろそろシルバーエンジンが掛かってきたかな?でも今日は、キライだった電磁気学を思い出してゾッとしたけど・・・。
ふと40年前、就職の配属の時に「だいたい線がつながっていなくて通信が出来るという“無線”というのは、そもそも理解が出来ないし、生理的に自分に合わない」と、有線通信課に行ったYという男のことを思い出した。自分も未だに無線は分からない。何が飛んで行く??
おっとそう言えば、小学校の時にアマチュア無線に憧れた事もあったけ・・・・?(何か今の話と合わないけど・・)
ともあれ、徐々に“昔に帰っている”自分がここにいる。
(事後報告その1~2010/08/23)
昨夜の録音を聞いてビックリ。今までよりもノイズが大きい・・・。確かに入力信号は594KHzに同調していて、その周波数だけ抜群に強くはなっているのだが、当然その近くのノイズ信号にも同調しているワケだ。つまり必要以上のノイズをチューナーに送り込んでしまった結果、S/Nがかえって悪くなったようだ。
色々試してみたが、ケンウッドの準純正アンテナは、レベル的にはシグナルメーターの最大値ギリギリだが、ノイズは少ない。つまりチューナーの必要信号は何とか満足しているが、あえて不要なノイズ分を送り込んでいないので出力のノイズは少ない・・・。なるほど・・・。やはり「AMチューナはメーカーの純正アンテナを使用すること」は正しかった。ちなみにSONY他の手持ちのループアンテナは、ケンウッドにはかなわなかった。
どうも段ボールの力作は、遠距離受信用であり、自分の中距離受信には向かないようだ。
(2013/05/06追)
ミズホ通信も2012年12月31日で廃業したとのこと(ここ)。このアンテナの資料も、今となっては貴重なため、取扱説明書(作り方)のPDFを(ここ)に置きます。バリコンは、100円ショップの安い中波ラジオから部品を取って作ることも出来るようです。
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