東大寺大仏 現代なら4657億円~建設費、関大が試算
当サイトのコンセプトは、“ヘエ~”・・・・・
先日の日経新聞に「東大寺大仏 現代なら4657億円」という囲み記事があり、“ヘエ~”と読んだ。曰く・・・
「東大寺大仏 現代なら4657億円
752年に開眼供養が行われた東大寺(奈良市)の大仏と大仏殿の創建時の建造費が、現在の価格で約4657億円に上るとみられることが6日までに分かった。関西大(大阪府吹田市)の宮本勝浩教授(理論経済学)らが試算した。建造にかかわった人の消費などによる経済波及効果は約1兆246億円に上るという。 宮本教授らによると、建造当時や再建時の資料などをもとに原材料費、人件費、労働者の住居費の3つに分けて費用を推定した。
原材料費は、大仏に使った精錬銅約500トンなど約3363億5千万円。人件費を約1292億円、住居費を約1億7千万円と積算した。石材や内部装飾、東大寺の他の建築物にかかった費用は含んでおらず、実際にはさらに多額の費用が必要だったとしている。」(2010/08/07付「日経新聞」p34より)
別の記事では・・・
「大仏の建造費はサッカーワールドカップ(W杯)開催費より高額?
奈良・東大寺の大仏と大仏殿の建築費用を現代の金額に換算すると、約4657億 3100万円になることが4日、関西大学大学院会計研究科の宮本勝浩教授らの試算で分かった。大仏の建造費用を試算したのは初めて。同教授は「経済波及効果も1兆円超あったとみられ、日韓W杯の約1.3倍に当たる」と話している。
宮本教授らは、平安時代後期の「東大寺要録」という史料に記載されていた材料費を基に、当時の1両を約10万円と仮定して試算。練金代が1万436両と記されており、価格も推定すると、精錬銅なども含めた大仏の材料費は計約1977億4000万円となり、大仏殿は木材や瓦の現在価格から、約1386億 1300万円となるという。
また、延べ260万人が携わった工事などの人件費は、現代の建設労働者の平均日当1万3790円(2004年度)を基に、約1292億500万円と算定。人件費に伴う労働者の住居費は約1億7300万円とした。」時事通信より(ここ)
整理をすると、
1)大仏の材料費(精錬銅約500トンなど)約1977億4000万円(42.5%)
2)大仏殿の材料費(大仏殿の柱材用の丸太84本や、瓦等)約1386億 1300万円(29.8%)
3)260万人の人件費(現代の平均日当1万3790円を基に)約1292億500万円(27.7%)
4)住居費 約1億7300万円(0.04%)
合計4657.31億円
なるほど・・・・。材料費が7割か・・・。そしてあの大仏殿を思い出しながら、この5000億円弱の数字を、多いと見るか少ないと見るか・・
それでつい、“それではピラミッドは?”“万里の長城は??”という事になる。
人類で最大のプロジェクトと言われるピラミッド。この建設費用はいったいどの位なのだろう。誰か試算をした人はいないのだろうか?
一方、万里の長城は、秦の始皇帝以降、千数百年に亘る地道な建設事業。数十年の期間で完成させたピラミッドとは、少しプロジェクトの形態が違う。関西大学の宮本教授グループが、次にピラミッドと万里の長城の試算をしてくれると面白いのだが・・・
ところで、ピラミッドは壮大な公共事業だと言われている。普通、事業は投資とリターンを考えるが、ピラミッドを一つの事業とすると、リターンは何? ペイした?? といつものクセで、つい考えてしまう。どうもロマンがないな・・・・・
話変わってドイツのノイシュヴァンシュタイン城。バイエルン王ルートヴィヒ2世が、時代遅れの建設で国家財政を破綻に追い込んだというこの城だが、今は有数の観光名所となって地元の財政を潤しているという。
もちろん、このような文化遺産を、事業という視点で捉えるのは意味がない。でもこのように現在価値で示されると、つい“プロジェクト”として捉えてしまい、“ヘエ~・・”と、ピンと来るので、なかなか面白い。
何? 我が家の“息子プロジェクト”の社会における現在価値?? そんなの怖くて計算できるわけがないよね・・・
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コメント
エムズの片割れ様へ
帚木逢生の「国銅」を読みましたが、建立にかかわった使い捨ての人足の苦労は、建造費などとは比較にもならないものだったと思います。
【エムズの片割れより】
東大寺の大仏は、壮大なボランティアとか・・・。とてつもない人々の苦労があったのでしょう。それを突き動かしのが権力の強制ではなく、人々の仏心だと救われますが・・・
投稿: wolfy | 2010年8月14日 (土) 09:08