戸部けいこ著コミック「光とともに・・・~自閉症児を抱えて~」
カミさん推薦の戸部けいこ著「光とともに・・・~自閉症児を抱えて~」というマンガの文庫本。自分にも読んで欲しい本だというので読んでみた。
だいたい自分はマンガを読まない。もちろん子どもの時には読んだが、大人になってからは、自分から進んで読んだのは「あしたのジョー」位かな??
それ以外のマンガ本は、前に書いた「星守る犬」(これ)も含めて、すべてマンガ好きなカミさんからの薦めである。
この「光とともに・・・」という本は、自閉症の子どもを扱っている。平凡な家庭に自閉症の子どもが生まれ、その成長と共に物語は進む。(写真はクリックで拡大)
少し読んで「ツライので、読むのを止めようかな・・」と言ったら、カミさんが許してくれない。なぜツライか?・・・色々な過去を思い出すから・・・・。
自分の子どもが段々と育って行くとき、周囲の子どもたちが出来て、ウチが出来ないと、ガッカリする。そこでの葛藤・・。それが深刻なほど、周囲の無理解に絶望を感じるもの・・・。たぶんどの家庭でも起こり得ること。そしてどの家庭でも大なり小なり経験してきたこと・・・。
そのことが、マンガとは言え、それがそのまま再現されると、なかなか読んでいてツライ・・・(自分は、どちらかというと加害者側(?)でツライのだが・・・!?)
物語は、自閉症児の光クンの成長と共に、段々と周囲の協力が得られて行くという“救いのある”展開で進む。仕事最優先だった夫も、過労で倒れたのを機に、仕事本位から家庭本位に変わる。息子の家の鍵を持って、勝手に上がり込んでくる“とんでも無い”姑も、自分で知らなかった自閉症について、段々と理解し始める・・・・。そして保育園も小学校も万全の協力をしてくれる・・・・
自閉症児は、確率的に1000人に1~2人は生まれてくる。Wikiによると日本では推定36万人居るという(本書では24万人と書いてある)。原因は不明で、発達障害のために治らない。昔の映画だがトム・クルーズとダスティン・ホフマンの「レインマン」が有名。この映画の日本公開は1989年だった。この映画でも、抜群の記憶力を発揮してカケで勝つ場面があるように、自閉症でも色々な能力はある。しかし一般社会での融和はなかなか難しいのが現実。そのあたりを、このドラマは丁寧に描いている。
もちろんマンガは絵を楽しむもの。しかし自分はどうもそれが苦手・・。どの人物も、目が大きくてキラキラ光っており、区別が難しい。まあ人物の区別が苦手なのは、通常の映画やTVドラマを見ていても同じなのだが・・・
だからマンガも、ついセリフばかり追ってしまう。それでも、読んでいると直ぐに物語の世界に引き込まれてしまう・・・。
しばらく寝る前に読んでいたものが、カバンの中に入れて通勤電車やドトールでも堂々と開いて読むことになってしまった・・。シルバー族のオジサンが、マンガを堂々と読む・・・
まあ滑稽と言えば滑稽だが、単にマンガと言って馬鹿には出来ない内容・・・
それもそのはず、Net(wiki)で見ると、このマンガは“平成16年度(第8回)文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作品”であり、“韓国・香港・台湾・アメリカ合衆国・カナダでも、現地語に翻訳され、出版され”、2004年にはテレビドラマ化もされたという。
その作者、戸部けいこ氏は今年(2010年)1月に52歳で亡くなり、「光とともに・・・」は未完で終わったという。
当blogでも何度か書いているが、障害者はある確率で生まれてくる(ここ)。しかし健常者の家庭から見ると、ほとんどが他人事。しかし、このようなマンガやそのテレビドラマ化で、障害者に対して、ほんの少しでも理解が深まれば、世の中も変わって来よう。
それだけに、このような視点で作品を書き続けていた戸部けいこ氏の訃報は残念としか言いようがない。せめてこの「光とともに・・・」という作品だけは、(まだ2冊しか出てないが)文庫本の出版に合わせてカミさんが全部買うだろうから、最後まで読んで、少しでも自閉症への理解を深めたいと思う。
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