我が最大の贅沢~30万円のFMチューナー(L-02T)を手に入れた
「贅沢」を広辞苑で引くと「①必要以上に金をかけること。分に過ぎたおごり。「―な暮し」 ②ものごとが必要な限度を越えていること。」とある。
今回の自分の贅沢は、まさにこれだ・・・・。
Yahooオークションで、1982年当時30万円もしたという「KENWOOD L-02T」(これ)&(これ)というFMチューナーを手に入れてしまった。もう30年も昔の機械だが、今でも10万円近い値段で取引されている。
このチューナーの存在を知ったのは、前にFM放送を何とか良い音で聞きたいと、Netで色々な情報を調べていた頃。
しかしこのL-02Tというモデルは発売当時の値段が30万円と聞いて、全く検討の対象外だった。でも、そもそも自分は昔からトリオ(TRIO)=ケンウッドのファン。前に「Yahooオークションに凝った~FMチューナーの更新」という記事を書いた時に、自分のチューナーの歴史を書いたが、その時に手に入れたケンウッドのチューナー・KT-1100D(1986年発売 \74,800)(これ)が7月1日に送られて来た。
電源を入れると、何かセパレーションが悪い気がして、さっそく予定通りメーカーのサービスにオーバーホールを頼んだ。「これから最低10年は使うので、消耗部品である電解コンデンサは、本当は全部交換したい。金と時間は幾ら掛かっても良いので、新品同様まで調整してくれ」と頼んだ。そうしたら、サービスから電話がきて、「出来るだけの電解コンと、壊れてはいないが主要なICは交換する。しかし部品の入手に時間が掛かるので、かなりの時間がかかる」と言ってきた。そして「時間は幾ら掛かっても良い」と答えた。でもそれが1ヶ月も掛かるとは思っていなかった。でもそう言った以上は我慢、ガマン・・・。途中で状況を聞いたりはしたが、決して煽らなかった。
・・・と、段々と“少しくらい「贅沢」をしても良いかな・・・”と浮気心が出てくる・・。
つまりせっかく中級機の名機を手に入れて、必死にオーバーホールをしている最中と言うのに、なぜか最高級のT-02Tを手に入れたいと思い出した・・・。子どもの時の、欲しい物に対するワクワク感がよみがえる。
見ると、ちょうど完動品がオークションに出ている。・・・というワケで、つい買ってしまった。しかしこのL-02Tという機械は、まさにバケ物。超弩級と称されているように、単なるFMラジオなのだが、重さが12Kもある。大きさも横幅が48センチ、奥行きも43センチもある。
落札する前に、メーカーのサービスに聞いてみた。「もしL-02Tを手に入れてオーバーホールを頼むと、可能か?」するとこのような答えが返ってきた。「基本的にオーバーホールはしていない。故障の時だけ対応する。しかしL-02Tは部品が無いので修理可能かどうかは分からない。オークションで買うにしても修理が不可能な場合があるのでそれを念頭に・・・」。KT-1100Dとの音の差を聞いてみた。すると「L-02Tはそれなりの音はする。しかしとにかく古い。動いている物を手に入れて、それが壊れたら修理を諦める、という感じか・・」とのこと。なるほど・・・。それで法人出品の完動品を買った。
そして昨日、それが届いたのだ。同時にKT-1100Dも修理が終わって一緒に届いた。問題は、L-02Tがちゃんと動くのか・・・と、両者の音の差・・・・。入手した時の値段の差は6倍。全く予定外の最高級チューナーの出現・・・。(写真はクリックで拡大)
この2台、今使っている2万円のチューナーとは格が違う。音が全く違う。ノイズが無いのである。ひとことで言うと、シンセサイザーチューナーの中級機KT-1100Dの音は固い。最高級バリコンチューナーのL-02Tの音は柔らかい。
L-02Tでたまたま録った楽曲を、昔録った音源と比較してみた。CSデジタルラジオのスターデジオの音に比べて、高域が伸びている。同じく無圧縮のPCMデジタルラジオのミュージックバードの音と比較しても、高域が伸びている。これは、ミュージックバードの光出力にはエンファシスがかかっているため、デジタル録音したパソコン上でディエンファシスをかけるわけだが、その処理に実は自信がなかった。たぶん適切なディエンファシスがかかっていなかった為だろうと思う。
デジタル放送はノイズが無いことが最大の特徴。しかしケンウッドのこれらのチューナーは、全くノイズが無いのである。デジタルラジオ放送と全く同じなのだ・・・。
いまさらFM放送?という視点も確かにある。先に書いた通り、前にCS有料放送のミュージックバードや、スカパーの音楽放送であるスターデジオも聞いた。確かにデジタル放送なので音は良い。でも飽きた・・・。単なる繰り返しなので・・・。それに引き替えてNHK FMは生きているように思える。毎日NHK「ラジオ深夜便」を聞いている。「歌謡スクランブル」も録音している。ほとんどが持っている楽曲のため、聞き流していたが、今回の音源の比較で、自分はCD音源以外は全てFM放送の音源に取り替えるかも知れない・・
放送もNet配信する時代。実験放送も始まっている(ここ)。NHKがいつ始めるかは分からない。でもデジタルの場合、必ず圧縮が伴う。その弊害とアナログFM放送のバトルだ・・。
自分の場合、FM放送ではNHK以外は聞かないが、その“良い音”を追求するのも、幾らデジタル時代とは言え、今でも“有り”では?と思うのだが、どうだろう・・・・。
結局、FM放送はL-02T、AM放送(NHKラジオ深夜便の23時~1時まで)はKT-1100Dという使い方になってしまった。それを何のことはない、ラジオサーバ(ここ)のライン入力で録音するので、2台の入力を切り替える必要が出てくる。それで通販で5Vリレー(100円)、ユニバーサル基板(200円)を買って、携帯充電用の5V電源アダプタを利用して切換器を作ってしまった。それを1500円のデジタルプログラムタイマーと連動させれば、切換が出来る。サラリーマン現役時代には、実験室でこんなものは幾らでも作った。今回は、数十年ぶりにユニバーサル基板を使ったわけ。(とにかく老眼が参った・・・。小さい部品のハンダ付けが大変・・・)
かくして自分の、FMやLPの、いわゆるアナログ・オーディオの一連のドタバタが終わった。
しかし一連のオークションの応札を経験してみて、今でも如何に“昔の名機”を求める人が多いかを知った。
今回手に入れた30年も前の“贅沢の塊”の「名機L-02T」。まさに我が「お宝」である。よってこの機械には、なんとしても長生きして欲しいものである。
| 0
| コメント (5)
最近のコメント