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2010年6月29日 (火)

「幸福度指標は無駄」

旧聞だが、先日の日経新聞のコラム「インタビュー領空侵犯」に、「幸福度指標」についての意見があった。曰く・・・

幸福度指標は無駄~物差しより政治哲学を
      元世界銀行副総裁 西水美恵子氏
――「幸福度指標」を作ることに反対だと聞きました。
「国民の幸福など測っても無駄です。そもそも幸せは測れないもの。国民総生産は生産物を市場価格に換算して足し合わせる。ところが幸福は人それぞれ、市場価格などで換算できず足し算できない。『測れるものは必ず管理される』という言葉があります。国民の幸福を無理に数値化すると、国が間違った指標を管理しようとして危険なことになります」
「ブータンの国民総幸福量がお手本とされますが、これは誤解です。国民総幸福量は指標ではなく、ブータンが長年貫いてきた政治哲学です。前国王の雷龍王4世が海外メディアに『国民総生産より国民総幸福量の方が大切だ』と話した言葉がひとり歩きしたのです。前国王の意図は『国民の幸せを中心に据えて国を収めるのは常識で、経済成長は幸福を実現するための手段である』ということ。国民総幸福量の追及は公共政策哲学なのです。日本の政治家は、幸福度を測って何に使うつもりなのか。必要なのは物差しではなく哲学です」
――幸福追求に重きを置くと、経済成長が軽視されると懸念する人もいます。
「目的は国民の幸せ、経済成長は重要な手段です。目標と手段を取り違えではいけません。『ブータン2020』という国家ビジョンでは、自然環境や文化伝統を破壊し、家族や友人、地域社会のきずなを犠牲にするような経済成長は追求せず、人が安らかに住める国をつくると宣言しています。こうしたビジョンを掲げながら、一人当たりの国民所得が南アジア2位となるまでの成長を遂げました」
――なぜブータンではうまくいったのでしょうか。
「人口約70万人のブータンは、北に中国、南にインドと大国にはさまれ国家存亡の危機感を常に抱いています。武装しても勝ち目はない。国を守るのは人心しかないのです。国民総幸福量は、国家安全保障戦略でもあります。10代で即位した雷龍王4世は、数年かけて国中を回って国民の声を直接聞き「国の安泰をもたらすのは国民の幸せだ」と学んだのです」
「翻って日本の政治家をみると、本気度が足りない。真剣に国民の目線から国を治めようとするなら、一円も無駄にできない高齢の年金生活者の生活を1日でも体験してはどうか。国の役割は、国民一人ひとりが努力して幸せになる上での障害を取り除くことです。日本は憲法第13条で『幸福追求に対する国民の権利』を基本的人権として認めています。時間の浪費にすぎない幸福度指標より、政治のあり方を本気で考えてほしいと思います」(2010/06/21付「日経新聞」p5より)

当サイトは、前からブータンの「国民総幸福量」に興味がある。最初にこの言葉を知ったのは、NHKの「五木寛之 21世紀・仏教への旅 幸福の王国をめざして~ブータン」という番組からだった(ここ)。 その後、BS朝日で放送された「ZOOM ASIA~奇跡の国ブータンから学ぶこと」も見た(ここ)。
これらの番組で、自分は経済的な幸福だけを追っている先進国のはかなさを知ったもの・・・

筆者が指摘している通り、目的と手段の議論は良くある話。「目的は国民の幸せ、経済成長は重要な手段」という指摘は全くその通り。でも経済が立ち直れば、金が回って皆が幸せになれる。つまり“金さえあれば幸せ”という短絡思考で、つい経済に目が行ってしまう。
しかし、そもそも日本では、政治家が“幸せ”を論じること自体に違和感を覚える。ブータンは敬虔な仏教国。だから“幸せ”という哲学的な政治理念も解せる。“金がないと幸せになれない・・”と思う人が多い日本とは違う・・・

前に「知足石」の事を書いた(ここ)。 仏教では「足るを知る」ことを説く。
自分はどうも、仏教国ブータンでは国民が“足る”を知っているように思えてならない。逆に、“先進国ニッポン”は足るを知っている国民とは思えない・・・。ここが出発点・・・。
何? 自分は足るを知っているかって??
知っていたら、こんな記事は書かないよ。こんなことを書きながら、自分に言い聞かせているのが現実なのさ・・・・

(関連記事)
NHK「五木寛之 21世紀・仏教への旅」ブータンの幸福観
真の豊かさ・幸福とは?~ブータンの国作り
「吾唯(われただ)足るを知る」

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