「日日是好日」
雑誌「大法輪」の今月号の巻頭は、「日日是好日」・・。曰く・・・
「日日是好日(にちにちこれこうにち)
佐々木容道(臨済宗天龍寺派管長)
『日日是好日』は、中国唐代の禅僧・雲門文偃禅師(うんもんぶんえん)の言葉です。
この一句は、達道の人である雲門禅師の日常底の境涯を示すものであり、楽しみあり苦しみありの人生の日々を、かけがえのない大切な一日として、深い自覚の上に、あるがままに受けとめ、外のことに惑わされることなく、ものと一つになって主体的に生きる心境です。
順境・逆境を無心に正受し、菩提心をもって人々に接し、穏やかな心で歩んでいく心境を示していると思います。」(「大法輪」2010年6月号p21より)
「日日是好日」はどう読むのか?「にちにちこれこうにち」が正しい。
意味は?・・・ 広辞苑には「[碧巌録]毎日毎日が平和なよい日であること。」とある。
我が家の和室の床の間に、「日々是好日」の掛け物がある。ちょうど1年前に中国・西安の青龍寺で買った般若心経の掛け軸のとなりに鎮座している。この「日々是好日」の掛け物は、10年以上前に、箱根で買ったもの。現役時代、家族でよく会社の保養所に行った。箱根・強羅駅前にも立派な保養所があり、何度か行った。夜、散歩すると、ある店でカミさんが「日々是好日」の 掛け物を見付けた。その時は、高価なので躊躇した。しかし家に帰ってから「あれを買っておけば良かった・・・」と後悔。その後、同じ保養所に行った時、同じ店にまだあった。それで今度は躊躇無く買ってきた・・・というわけ。(写真はクリックで拡大)
そんな訳でしばらくは玄関に飾っていたものだが、実はこれを我が家では「ひびこれこうじつ」と勝手に読んでいた。意味は文字を読めば分かるので、出典も調べもせず、勝手に・・・。
そして数年前、やっとその本性(読み方)が分かったというわけ・・
「日日是好日・・・」、何と平和な言葉ではないか・・・。
同じ「大法輪」にこんな詩が載っていた。
「おそろしいこと
群馬県草津中学校3年 森田佳代子
困難にぶつかることよりも
人にうらぎられることよりも
つらいことよりも
悲しいことよりも
苦しいことよりも
もっとおそろしいのは
あきらめてしまうこと――
そこですべてが終わってしまうから・・・・」
(雑誌「大法輪」2010年6月号p30より)
「日日是好日」という記事を読んだ直後に、後のページに出て来るこの詩・・。何かドキッとする。
「日日是好日」という文字を眺め、“穏やかがいいな・・・”と思っていると「あきらめるな!」と叱咤激励(?)されてしまう。心の平和は「あきらめ」から来るような気がしていたのに・・・
仏教では執着を捨てよ、と教える。こだわるな、と教える。般若心経でも、何もかも捨てた無の境地を教える・・・
この詩を紹介している群馬・曹洞宗長徳寺住職 酒井大岳氏は、この詩について「すごい、と思い、心を打たれました。何事も途中であきらめてしまったら、そこですべてが終わってしまいます。中学3年生でこういうことが言える。そのことにも深い感動を覚えました。」と記している。
自分の捉え方は少し違う・・・。若い時はまさにその通り。しかし自分のような還暦を過ぎたトシになってくると、頑張ることよりも心の平安に重きを置くようになるもの。だからカミさんが良く言う「深いあきらめ」も必要ではないか?
雑誌をめくりながら、ゆらゆらと心が揺れる(?)この頃である。
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コメント
事と次第により、あきらめることも大切、あきらめないことも大切だと思います。
難しいことは分かりませんが、中学3年生の子が書いたことよく分かるような気がします。「あきらめることがおそろしいこと」とは、私なりに解釈すれば、自分が自身に負けることが一番辛いことなのだと思います。
私が、学んだ大学の学長から卒業の前にいただいた言葉は、
「情熱をして静かに燃えしめよ 湿れる松明の如くに」と言うものです。
女性は結婚をしたり、子育てをしたり、自分の思い描いたような生活(人生)を送ることはなかなか容易なことではありません。しかし、「自分が何になりたい、何をしたい」という夢はいつも持ち続けなさい。その気持ちを持ち続けていれば必ず叶いますよと言われました。
「情熱をして静かに燃えしめよ 湿れる松明の如くに」、この言葉は、私の座右の銘というほど大それたものではありませんが、(いつもは忘れていても、)何か本当に困った時は必ず思い出す大切な言葉です。
何事もあきらめることなく細々でも持続していけば、どうにか道は開けると思っています。
それから、父親からは「いつもニコニコしていなさい」と、よく言われました。
ニコニコして生きてこられたかどうか、なかなか難しいことですが、日々是好日と思って生きよと言うことですね。
投稿: ジャン | 2010年5月13日 (木) 20:59
ジャンさん
その通りですね。何事も、まあ臨機応変に・・・。
しかし良い意味で、段々と肩から力が抜けてきたのは事実です。
投稿: エムズの片割れ | 2010年5月14日 (金) 22:52