手仕事屋きち兵衛の「小さな酒場(みせ)」
今日は、手仕事屋きち兵衛さんの「小さな酒場(みせ)」という歌を紹介しよう。この歌は、「素描画」というアルバムに入っている。しかしホテル玉之湯さんでも品切れということで(ここ)、もう手に入らないだろう。
<手仕事屋きち兵衛の「小さな酒場(みせ)」>
「小さな酒場(みせ)」
作詞・作曲:手仕事屋きち兵衛
酔いにまかせて眠りたくて グラスをかたむける
都会の隅の小さな酒場(みせ)は 無口なままがいい
夜に抱かれて酒におぼれて あの日の夢に落ちてゆく
ゆらゆらとゆらめいた明かりの中に 失くした面影探してる
きれいな夢を 見たいのなら 夜にかくれたまま
過去(むかし)のことも昼間(ひる)の素顔も知らない方がいい
それが都会の恋のルールとほおづえついて呟いた
あのひとの横顔にからんでのぼるタバコの煙りを見つめてた
今晩(きょう)もこうして同じ場所で 同じ椅子に座る
グラスも酒もあの晩(ひ)のように同じ顔をしてる
うつろいやすい都会の中でこの酒場(みせ)だけは変わらずに
ほの暗い絵の中に落ちてくようでくすんだ壁にもたれてる
うつろいやすい都会の中でこの酒場(みせ)だけは変わらずに
ほの暗い絵の中に落ちてくようでくすんだ壁にもたれてる
きち兵衛さんにしては、珍しく何となく気だるい雰囲気の歌。でも世のサラリーマンには何となく分かる・・・
自分は、会社が終わるとさっさと家に直行する毎日だったので、この雰囲気は分からない。でも誰かに連れられて、その人のなじみの小さな店に行った時のことを思い出すと、何となく分かる・・・。例え30分でも、ホッと落ち着く場所というものは貴重な存在・・・。
話が変わるが、昨日、昔頼まれ仲人をした元の部下のI君から転居のハガキが届いた。結婚はもう10年上前の事だが、先日、と言っても3月だったか・・、珍しく転勤するという報告の電話をもらった。I君はもともと都会育ちだったせいか、長野の新天地への転勤で困惑している様子が読み取れた。聞くと、会社の新規事業の拡大のため、現地の工場にエンジニアが集結する事になったとか・・。サラリ-マンではよくある話だ。
そんな事を頭に、奥さんの「単身赴任だった夫と合流し、再び家族そろった生活が始まった・・」という可愛い報告の文字を眺めていると、地方都市での新生活の様子が見て取れる。
まさに「人間万事塞翁が馬」・・・。自分の経験から言って、人間的な幅を付けるためにも、変化は望ましい。でも人間はなかなか自分からは変化を望まないもの。理由は簡単だ。慣れるのが大変なので・・・・。今までの環境の方がラクだから・・・・
I君も東京に自分だけの「小さな酒場」があったのかも知れない。でももうそこには行けない。しかし、「小さな酒場」は、そこだけか??否、どこにでも作れる。それは当人の意識の問題だから・・・。
この歌を、何となく「これから地方の工場に転勤していくI君」が歌っている、と思いながら聞くと、なかなか面白い・・・。
数年後、「あの時は“都落ち”のように感じました・・・」と笑い飛ばすI君の姿が今から頭に浮かぶが、ぜひ会社の期待に応えて欲しいもの・・・。
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コメント
久々のきち兵衛さんの登場に、待ってました!という思いです。
彼独特の哀愁、郷愁、ある種の冥さ・・・
うす暗い酒場の光景が眼に浮かぶようです。
お酒をすこーし愛する者としては、若かりし頃の想い出に浸って、しんみり飲みたくさせてくれる、いい曲ですね。
投稿: みほムー | 2010年5月13日 (木) 21:18
エムズさんの記事はいつも楽しみに拝見させていただいております。なかなかコメントは書けませんが。
お酒は飲めない私ですがきち兵衛さんの歌を聴いてるとその場に居るようでスウーと引き
込まれてしまいます。
これからもきち兵衛さんの曲載せてください。
楽しみにしてます。
投稿: 小雪 | 2010年5月13日 (木) 23:00
みほムーさん、小雪さん
コメントありがとうございます。こんなに皆さんがきち兵衛さんの歌を待っていて下さるとは・・・、心を強くします。
先日、きち兵衛さん本人が、どこかで当サイトを覗かれたとか・・・。当サイトでの紹介に対して、きち兵衛さん本人から謝辞を頂き、大変に恐縮しています。
既に入手困難なCDばかりです。これからも徐々に紹介していきますね。
投稿: エムズの片割れ | 2010年5月14日 (金) 23:00
いい歌ですよね。
いい歌を載せてくださってありがとうございます。
大人なら誰でも思い当たるような・・・歌詞。
(たとえお酒を飲まない人でもわかるような・・雰囲気。)
気だるいように感じるかもしれないけれど、
不思議とまた聞いてみたいと思う歌。
こんなにサラッと!いいセンスで歌えるきち兵衛さんは凄い。
きち兵衛さんには珍しく都会をテーマにした歌。
この歌って、客はもちろん店の人も、だれでも
口ずさみみたくなるような歌じゃないかしら?
投稿: ジャン | 2010年5月14日 (金) 23:30