小澤俊夫の語る昔ばなし「蟹の褌(ふんどし)」
NHKラジオ深夜便で、「昔話を話せますか~小澤昔ばなし研究所所長 小澤俊夫」(2010/04/12放送)を聞いた。そこで「蟹の褌(ふんどし)」という昔話を聞いた。
こんな話だ・・・
<小澤俊夫の語る「蟹の褌(ふんどし)」>
昔話は、文字で読むものではなく、声で伝承されていくものだという。でも、少しだけ物語の概略を記すと・・・
「山の息子が、浜の娘を嫁にもらった。あるとき、初めて浜の嫁の実家に行く事になった。 ヨメはマヌケな夫に「歓迎で蟹が出るだろう。その時は褌を外して食うのだぞ」と入れ知恵をした。浜の親父は、大歓迎して蟹を出した。出たぞ、と思って息子はそれっとばかりに自分の褌を外して蟹を食った。それを見た親父は「こんなバカ者に娘を預けるわけにいかない」と、息子だけ追い返した。それを聞いた仲間が、ヨメを取り返しに行こうと、土産のキジをもって出かけた。たくさんの土産をもらった嫁の親父は、お返しにやはり蟹を出した。仲間はヒソヒソ相談をして、それっとばかりに自分たちの褌を外して食った。ビックリした親父はこっそり事情を聞いた。すると仲間は答えた。「初めに言っておかなくて申し訳ねえ。蟹なんて一生に一度食えるかどうかのごちそうだ。だから蟹を食う時は自分の褌を外して食うのが礼儀だと教えられてきた」。それを聞いた親父は「それは悪かった。村のしきたりとは知らないで嫁を取り返してしまった。ぜひ連れて帰ってくれ」と言って無事に収まった。」
さっき、散歩の時にカミさんにこの話をしたら、まったく受けなかった。自分は「嫁さんが、マヌケな自分の夫をからかって褌を外せと言った」と説明したが、Netで見たら、そうではなかった・・・。
広辞苑に曰く、「かに‐の‐ふんどし【蟹の褌】(形からの俗称)カニの腹部の三角形の部 分。」。なーんだ、要はカニの腹の部分の、甲羅を外して食え、という単純な話だった。それを「蟹の褌」という俗称を知らない自分は、何とも誤解してこの話を聞いてしまった・・。(写真はクリックで拡大)
これでは自分もこのマヌケな息子と同じ・・・・・。ちなみにウチのカミさんも知らなかたので“発見”が遅れてしまった・・・。(まあ我が家の知的レベルなんてこんなもの・・・)
この話は、単なる「説明不足」の話だが、その解決方法はフィンガーボウルの話と似ている。文化の違いである。Wikipediaの「フィンガーボウル」の項目にこうある。「荒木貞夫が陸軍大将だった頃に主宰した帝国ホテルでの宴会の席上、客の一人がフィンガーボウルの使用法を知らず、中の水を飲んでしまった。すると荒木は、咄嗟に自分もフィンガーボウルの水を飲み、主宰者として「客に恥をかかせまい」と配慮したという逸話が残っている。また、イギリス国王だったエドワード8世が王太子だった頃に、アラブの首長達を招待して開いた晩餐会の席上においても、上記と全く同じエピソードが残っている。」
仲間意識や文化の違いを教えてくれたこのお話もそうだが、昔ばなしは現代の我々に、色々な示唆を与えてくれるものらしい・・・。
リタイアしたら、日本昔ばなしの研究・・なんていうのも楽しいかもね・・・
ちなみに、話をされていた小澤俊夫氏は、指揮者小澤征爾氏の兄上だという。
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