フジテレビのドラマ「不毛地帯」が終わった
先日、昨年10月から19回に亘って放送されていたフジテレビのテレビドラマ「不毛地帯」(これ)が終わった。山崎豊子原作だけに、実に重厚なドラマで見応えがあった。しかし視聴率は12%程度だったとの事。先に放送された「JIN-仁-」(これ)が19%、来週最終回を迎える「曲げられない女」が14%だというので、少し低くて残念。(自分が見ている番組の中での比較だが・・・)
役者も一流ぞろい。思い付いたことをメモしていくと、自分の一押しは、近畿商事社長の大門一三を演じた原田芳雄(70)。これは渋い。精悍なる青年社長から、時代に取り残されていく老社長まで、その風貌、風格はピッタリ。三国連太郎(87)もすごい存在感だが、原田芳雄の存在感も同様だと感じる。そして、里井副社長を演じる岸部一徳(63)も嫌われ役だが、その存在感は堂々たるもの。
毎朝新聞の記者・田原秀雄を演じる阿部サダヲも、最初はいやらしさを感じたが、段々と正義を報ずる姿勢が感じられ、好ましく感じてきた。最後、主人公の壱岐正から(社長追い落としのための)情報を貰って礼をするシーンは、今までのいやらしさ、不信感が払拭された感じがして良かった。
そして、ライバルの東京商事の鮫島辰三を演じた遠藤憲一は、最後まで競争相手としてのいやらしさを遺憾無く発揮、悪役を演じきった。それとは逆に、シベリア帰りの上司・谷川正治を演じた橋爪功は、善良そのものの人間味が出ていて暖かく、厳しいドラマの中で、唯一ホッとするシーンを与えてくれた。
そして主人公・壹岐正を演じた唐沢寿明は、自分には何か感じるものが少なかった。もちろん好演したには違いないが、“魅力ある人間像”を演じたかというと、どうも自分には訴えるものが少なく、その世界に入り込めなかった。
そして主人公の恋人役、秋津千里を演じた小雪も、どうも自分とは相性が悪かった。緊張したドラマの進行だけに、少し恋愛ものを入れて“一服すること”も必要だったのだろうが、自分に取ってみると、かえってその場面で気が削がれ、残念。よって千里とのシーンは、ドラマの進行に影響を与えない単なる“一服”と判断して、最近見るときは、その恋愛部分は全てスキップして見なかった。それでも充分に楽しめた。
前に「“もう一度見たい20世紀の名作ドラマ”ベスト10」(ここ)という記事を書いた。その時、「心に残るドラマはどれもフジテレビ系とは、いったいどうしたことか。」と書いたが、この「不毛地帯」でもそれは正しかった、・・・かな?充実したドラマはやはりフジテレビ・・・とすると、“フジテレビで始まる次のドラマ”でも探そうか・・・
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コメント
不毛地帯は毎週楽しみにして見ていました。ただし、VTRでですが。私の感想もほぼ同感です。もちろん原作も読んでいますが、鮫島辰三を悪役にしすぎたきらいを感じました。また、千里役の小雪さんは原作のイメージとマッチ出来なくて、早送りで飛ばして見ていました。原田芳雄さんを久しぶりに見ましたが、若いときのイメージと異なり渋い役が似合う重厚な役者になっていた事がなぜか嬉しく感じました。全体としては楽しめた番組でしたね。
投稿: 江口 | 2010年3月26日 (金) 11:12
江口さん
コメントありがとうございます。
確かに鮫島は悪役にし過ぎましたよね。
これに続く「骨太」のドラマは無いのでしょうか・・・。
投稿: エムズの片割れ | 2010年3月27日 (土) 22:04