NHKスペシャル「命をめぐる対話~暗闇の世界で生きられますか」を観て
2010年3月21日に放送されたNHKスペシャル「命をめぐる対話~暗闇の世界で生きられますか」(これ)を観た。何とも言葉が出ない・・・。
ナレータの言葉が重い・・・。
「ちょっと想像してみてください。もしもあなたが、意識がはっきりしているのに目を開けることも話すこともできない。体を動かすことも全くできない。そんな状態がずっと続くとしたら、どうしますか。TLS(完全な閉じ込め状態)究極の命を生きる人がいます。
難病が進行し、体を全く動かすことができず、瞼も開けることができません。しかし意識や感覚は残っていて、音を聞くことも考えることもできます。意思を伝えることのできない暗闇の世界に、一人生きています。意思の疎通が極めて困難になる「完全な閉じ込め状態」や「閉じ込め症候群」。脳梗塞など脳の病気や事故で、運動の機能が損なわれることで起こります。人口呼吸器や人工栄養の延命治療の発達により、今こうした状態で生きる患者が増えています。
「完全な閉じ込め状態」になったら、死なせてほしいと訴える人がいます。人工呼吸器をつけて暮らしている照川貞善さん。わずかに動く頬の筋肉でパソコンを動かし、要望書を書き上げました。
「動くことが出来なくて、意思の疎通も出来なくなれば、精神的な死を意味します。闇夜の世界に身をおく事になり、とても耐えられません。その時は、呼吸器を外して死亡させてい頂きたく、事前にお願い申しあげます」
照川さんの要望書が今、社会に議論を巻き起こしています。意志が伝えられない暗闇に閉じ込められた時、私たちは命とどう向き合えば良いのでしょうか。・・・」
この言葉・・。「般若心経」でいう無の世界そのものでは・・・
TLS(完全な閉じ込め状態)については、前に記事を書いたことがある。ALS=筋萎縮性側索硬化症については、「こころの時代~難病ALSと闘う日々」(ここ)、そして脳梗塞によるものが映画「潜水服は蝶の夢を見る」(ここ)。
だからどんな病気かは聞いていたが、この番組のように、真っ暗な画面に言葉だけが聞こえる表現をされると、思わずハッとする。
寝ている状態のまま、意識も感覚もあるのに、筋肉だけが動かなくなる・・・。何という残酷な状態か・・・。従って、例え頬の小さな動きだけでも外部に表現する手段があれば、手紙を書くことも出来る。
そして、その手紙で死を願う・・・。しかし、いちど動き出した人工呼吸器を外すことは、今の法律ては殺人などの罪に問われる可能性があるため、誰にも出来ない・・・。例え病院の倫理委員会で「照川さんの意志を尊重すべきだ」という異例の判断をしても、現実は外せない・・
この番組では、照川のように死を願う人だけではなく、前向きに生きようとしている人も紹介している。そして、家族にとって“たとえ動かなくても、お父さんがそこに居るだけで良い”という家族もある。
このような状態は、ALSという難病だけでなく、交通事故や脳梗塞でも発症するというから、決して他人事ではない。
カミさんとこの番組を見ていて、我が家の結論は簡単。「人工呼吸器を付けること自体を拒否」。
しかし現実は、本人や家族の同意無しに、病院のエスカレータに乗ったまま、人工呼吸器を付けられてしまうかも知れない・・。そして一度付けたらそれが外せない??
この番組は、自分で自分の死を選択できない現実について、我々に問う・・。この解は、家族間で“その時はどうする”を決めておいて、その時が来たら、本人に代わってそれを実行するしかない。まあ自分の場合は、カミさんがしっかりした死生観を持っているので安心だが、問題は逆の場合だな・・・・
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