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2010年2月 9日 (火)

吉野弘の詩「祝婚歌」

NHKラジオ深夜便「ミッドナイトトーク」で「今だから伝えたいことば~作家 吉永みち子」(2001/2/2放送)を聞いた。その中で、こんな詩の紹介があった。

「祝婚歌(しゅくこんか)」
   吉野 弘

二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい

完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい

二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい

立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい

健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい

そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい
(「贈る歌」(吉野弘著,花神社)より)

Netでみると、この詩は,40代後半だった吉野さんが、どうしても都合がつかずに出席できなかった姪御さんの結婚式に、「**夫妻に」という題で贈ったプライベートなものだったという。そしてこれは姪御さん夫妻に向けてだけで無く、自分に対しても、そして吉野さんの奥さんへのお礼も含めて言いたかった、とコメントされているという。
この詩は非常に有名な詩らしく、多くの結婚式でも紹介されているらしい。

読んでみると、この詩は若い人たちに“肩を怒らせず”に自然体で・・・と言っている。まさに幾多の人生を生き抜いた熟年の世代から若人へのアドバイスだ。
還暦を過ぎた自分たち世代からすると、どれももっともな事ばかり。しかも、決して家庭の人間関係のことだけでは無く、一般社会生活にもそのまま当てはまる。サラリーマンの現役を退いた我々には良く分かるが、日常が“戦闘状態”の現役サラリーマンには、言葉では分かっても、体ではなかなか理解ができないものかも知れない。

ふと、前に書いた“D.カーネギーの「人を動かす」”(ここ)を思い出した。
人間関係の要諦は永遠に変わらないものであろう。

(付録)
同じく吉永さんがもう一編紹介していたのが、居酒屋のトイレに貼ってあったという言葉。

 「自鍛(じたん)のための“つもり違い”10か条」
 高いつもりで低いのが教養  低いつもりで高いのが気位 
 深いつもりで浅いのが知識  浅いつもりで深いのが欲望
 厚いつもりで薄いのが人情  薄いつもりで厚いのが面皮
 強いつもりで弱いのが根性  弱いつもりで強いのが自我
 多いつもりで少ないのが分別 少ないつもりで多いのが無駄

これも奥が深い・・・

(関連記事)
「健康十訓」

(追)~備忘録
自分は、NHKラジオ深夜便の録音を、オリンパスVJ-10で行っているが(これ)、「AMラジオ用高性能ループアンテナAN1(これ)」を買ってみた。抜群の性能で大満足。
今までは、VJ-10のAMチューナの性能を信じていなかったため、FMはVJ-10で、AMはライン入力にSONYのチューナをつないでいた。しかしFM放送のノイズが我慢できず、AMの音は犠牲にして、AMをVJ-10、FMをSONYのチューナにつなぎ換えた。案の定、AM放送のノイズがひどい・・。それで“本当にダメモト”でVJ-10専用のアンテナAN1を買ってみた。今日着いたので、つないでみてビックリ。AM放送のノイズが消えてFM放送なみの音となった。当地は八王子だが、これは4500円の価値はある。AM放送の音質で困っている人がいたら、ぜひ試してみて下さい。

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コメント

吉野弘さん、ほとんど知りませんが、高田三郎の合唱曲「心の四季」の作詞者です。
この合唱曲を、近くの合唱団で取り上げる時には、是非、参加して、歌ってみたいと考えています。

投稿: リュウちゃん6796 | 2010年2月 9日 (火) 22:50

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