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2010年1月18日 (月)

小椋佳の「ぼうやおねむり」

NHKラジオ深夜便「こころの時代」で、「大志よ!~阪神・淡路大震災の遺族 上仲まさみ」(2010/1/16放送)を聞いた。昨17日は阪神大震災の15年目・・・。「こころの時代」の題としてはたぶん最も短いであろう「大志」というのは、震災の時に1歳半で亡くした上仲まさみさんの息子さんの名前だという。15年経っても、母親の子供を亡くした記憶は尚鮮明・・・・
一番可愛い盛りだったであろう子どもを、震災とはいえ奪われた理不尽さに、親は未だに諦めきれていない・・・。ふとこんな歌を思い出した・・・。

小椋佳作詞・作曲の歌に、「ぼうやおねむり」という歌がある。1973年6月1日発売の「ほんの二つで死んでゆく」というLPに入っていた歌である。

<小椋佳の「ぼうやおねむり」>


「ぼうやおねむり」
  作詞/作曲:小椋佳

静かな夜空に星が見守る
しじまのどこかに唄がきこえる
あたたかなママのかいなに抱かれて
いこいの夢路へぼうやおねむり
あなたを初めて見た時の
パパの瞳のかがやき
うれしくてうれしくてママは泣いたわ

故郷へ帰る鳥が渡る
もうすぐどこかで春が生まれる
あたたかなママのかいなに抱かれて
いこいの夢路へぼうやおねむり
あなたをじっとみていると
天使のような気がする
しあわせでしあわせでまぶたが熱いわ

いこいの夢路へぼうやおねむり
いこいの夢路へぼうや一緒に

もちろんこの歌は、まさに生命誕生への賛歌である。何とも初々しい・・・。
一方この旋律・・・。自分は昔から大好きな録音だが、まさにこれから“あらゆる可能性を持つ”子供に対する賛歌にしては、その旋律が何故か悲しげ・・・。バイオリンによるオブリガートも何か悲しい・・・。これは何だろう・・?
この歌を、先の上仲さんの話を思い浮かべながら聞いていると、何かこの“ねむり”が別の意味を持ってくる。地震と同時に2階が落ちてきて、隣に寝ていた大志ちゃんの上に梁が・・・。自分も身動きが出来なくなったが、直感で大志ちゃんの命が切れた気がしたという。そして足で触っている大志ちゃんが段々と冷たくなって・・・

(気を取り直して・・・)
小椋佳はいったい何歳のときにこの歌を作ったのだろう・・・。小椋佳公式サイト「小椋佳倶楽部」によると(ここ)、長男が生まれたのが小椋25歳の1969年、次男が生まれたのが29歳の1973年だという。つまり、この歌はまさに生まれたばかりの自分の子供を見て作った歌かも・・・?

でも、この初々しい“新しい生命に始めて出会った感動”を歌ったこの歌詞も、幾ら天才・小椋佳でも、“おじいいちゃんの小椋佳”ではもう書けない歌詞かも・・・(誰でもそうだが、初めて子供を持った時は、自分たちの夢を無限の可能性を持つ子どもに託すもの。でも、子供が育ってしまった今では現実が見えてしまって・・・。小椋佳といえども書けない・・・・?)

個人的な話で恐縮だが、我が家でも上の息子が1歳半の時に急病に罹って緊急入院した事があった。このまま死んでしまったらどうしよう・・と体から力が抜けたもの。でも当時お腹にいた二番目の子どもの存在に、どれだけ勇気付けられたことか・・・・。

人にはそれぞれ“旬”がある。子育てには子育ての旬・・・。
少子高齢化が進む日本ではあるが、(少し悲しげだが)こんな赤ちゃんに対する賛歌を聴いて、震災など幾多の不幸を跳ね返して、元気な子どもが増えることを祈りたいものだ。

(関連記事)
手仕事屋きち兵衛の「命連綿(いのちれんめん)」
「ほんの二つで死んでゆく」(「小椋佳」との出会いと別れ

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コメント

最近、よく拝見させて頂いています。
私も、「リュウちゃんの懐メロ人生」という、自分がカラオケで歌った歌、及び歌いたい歌中心のブログを昨年から始めましたが、私の歌の好みと「エムズの片割れ」様の歌の好みが、かなり近いように感じています。
小椋佳も大好きで、「しおさいの詩」、「木戸を開けて」、「春の雨はやさしいはずなのに」、「揺れるまなざし」などは、カラオケでよく歌います。童謡も大好き、「花かげ」の有山麻衣子さん、良かった!です。

また随時コメントさせて頂きます。

投稿: リュウちゃん6796 | 2010年1月22日 (金) 23:01

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