生活第一、輝け社員~後端企業の生きる道
先日の朝日新聞の1面に「企業 新たな自分探し」という記事があり、ちょっと気になった。曰く・・・
「生活第一 輝け社員~後端企業の生きる道
・・・・・グローバル時代に高まる大企業と国家の緊張をよそに、地域社会との共存を目指す企業群もある。長野県の伊那谷。アカマツ林を残す約3万坪に伊那食品工業の本社や工場が広がる。朝7時40分、一日は会長以下社員総出の掃除から始まる。土地は地元の組合から管理を委託された。「伊那になら任せられる。使ってほしいとなった」と塚越寛会長。農家の冬場の副業だった「斜陽」の寒天製造にこだわり、社員約400人の1割は開発部門に配置、用途を健康食品や化粧品、医療に広げてきた。国内シェアは8割。創業以来、05年まで「48年間増収増益」。「社員の生活が大事」と工場は午後5時まで。株上場を勧められても断っている。株主が求めがちな短期の収益を意識すれば、人件費を削減したり、下請けに無理をさせたりすることになるからだ。「人件費を『コスト』と考えること自体がおかしな話。企業は、みんなが幸福になるための手段。大事なのは働く人が失業せず、生活が続けられるよう企業が永続すること。雇用をつくり、税金を払って社会に貢献しながら、木が年輪を重ねるように少しずつ無理なく成長すればいい」
岐阜県輪之内町。電気スイッチのボックスや電線の地中埋設管などでトップシェアを維持する未来工業の工場は年末から「17日間の正月休み」に入った。・・・・
「全員正社員」で日本一短い労働時間(1日7.25時間)、年休は140日前後、育児休暇は3年。これで創業以来赤字なし。「生き残るには、一人一人が製品や仕事の差別化で工夫するしかない。それには働く人がやる気を起こす会社にするのが一番、近道だった」と創業者の山田昭男相談役。・・・・・
設計開発をする加納一啓さん(31)は・・・・「大手に就職を考えたことがあったが、ここは全部、任されるからやりがいが違う。給料が倍になってもそれで幸福と思えるかどうか。今は満足している」
この「ローテク後端企業」(山田相談役)にトヨタ自動車と組み合わせた海外からの視察がひっきりなしだ。12月21日、昨年最後の視察は、韓国の大手電線メーカーの経営刷新チーム。「韓国企業もコストの安い中国と高い技術を持つ日米に挟まれ悩んでいる。日本にはこんな会社もあるんだとヒントを得られた気がする」。
グローバル競争に勝ち残る。そのうえで会社が社会や働く人と「幸福な関係」を作るにはどうすればいいのか。そして“日本流”とはトヨタやパナソニックなのか、伊那食品や未来工業なのか――。輸出企業の「無国籍化」が避けられないなら、「雇用や生活の基盤、自己実現の場」を実践する企業を社会にたくさん組み込むこと。それが本物の「豊かさ」を実感する成長戦略かもしれない。(編集委員・西井泰之)」(2010/1/3朝日新聞p2より)
当サイトでは、つい何度もブータンの話を出してしまう。ブータンの、貧しいながらも“国民が幸せだ”と思うお国柄が驚異だから・・・
日本国内で、このブータンと同じような考え方の企業があるという。社員の幸せを優先的に考え、それでいて決して競争に負けていない。この見事なからくりはどこから生まれてくるのか・・・。
それは、日本ならではの“ハイテク”でしか実現できないと思ったら大間違いだ・・・と、この例は示している。でも必須なのは、ボス(社長等)の熱い思いとリーダーシップ。それによって、社員は150%働く・・・。
今日から、また世の中が動き出した。目指すは利益・・・。企業は利益が出ないと何も出来なので「利益」「利益」・・と言う。これは仕方が無い。
一方、我が“日本株式会社”。新聞を読む限り、海外を含めて我が鳩山社長の評判は今ひとつ。それに、GNPで今年は中国に抜かれて世界第3位に転落するのは確実だという。まあGNPは置いたとしても、国民の「幸福度」が毎年改善されているかというと、年々国民の貧富の格差は開いており、幸福度が増しているとは言い難い。
まあ国政は鳩山さんに頑張ってもらうとして、先の例のように、給料が安くても社員が決してスピンアウト(転職)しない会社もある。
最近、「お金」以外の幸福度を増す手段について、つい考えてしまうシルバー世代のエムズくんではある。
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