映画「2012」を観た~「キネ旬」の映画史上ベスト10
映画には、何年経っても思い出し、何度も見る映画と、「ああ面白かった!」と一度だけで終わる映画とがあるように思う。
今日は、映画「2012」(これ)を観てきた。この映画は、まさに「一度だけ見る」映画の代表作だろう。
前に3D(立体)映画「センター・オブ・ジ・アース」(地底探検)(これ)を見たが、その荒唐無稽ぶりには感心した。これは決してけなしているわけではない。感心しているのだ。そして今日の「2012」もその荒唐無稽ぶりに感心した。そのCGの良く出来ていること・・
物語は、2012年12月21日で、地殻変動により地球が滅びる。そして遺伝子的に残すべき選ばれた人と金を出した人、そして動物たちが、まさにノアの「箱舟」に乗って生き延び、新アフリカで新たに出発する、というもの。CGの大作という事で、CGの出来だけを見に行った。そもそもこのような大掛かりなドタンバタン劇は、自宅のテレビ向きではない。ホンモノの劇場で、サラウンドの大音響と共に楽しむもの。その期待には応えてくれた。そんなバカな・・という場面も、「主役は死なない」と思ってゆったりと見ていられるし、双発飛行機で逃げるところも、自分も前にハワイで単発機を操縦した事があるので(ここ)、自分が操縦しているような気分で、楽しかった。
でも“学術的”に見ると、1500mの津波でインド大陸が海に沈む・・などなど、まあ色々あるだろうが、そんなことはどうでも良い。その時だけ楽しめればこの手の映画は合格だ。
一方、みんなの心に長く残る映画はこんな映画らしい。
先日の朝日新聞に“邦画史上1位「東京物語」~「キネ旬」が映画10傑”という記事が載っていた。曰く・・・
「映画専門誌「キネマ旬報」が20日、映画史上のベストテンを発表した。日本映画の1位は小津安二郎監督の「東京物語」、外国映画の1位にはフランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッドファーザー」が選ばれた。同誌創刊90周年を記念し、100人を超える評論家や文化人による投票を集計したもの。」(朝日新聞2009/11/22 p38より)(キネ旬の詳細はここ)
<「キネ旬」日本映画史上ベスト10>
①「東京物語」昭和28年(1953年)11月
②「七人の侍」昭和29年(1954年)4月
③「浮雲」昭和30年(1955年)1月
④「幕末太陽伝」昭和32年(1957年)7月
⑤「仁義なき戦い」昭和48年(1973年)1月
⑥「二十四の瞳」昭和29年(1954年)
⑦「羅生門」昭和25年(1950年)8月
⑦「丹下左膳余話~百万両の壷」昭和10年(1935年)6月
⑦「太陽を盗んだ男」昭和54年(1979年)10月
⑩「家族ゲーム」昭和58年(1983年)6月
⑩「野良犬」昭和24年(1949年)10月
⑩「台風クラブ」昭和60年(1985年)8月
* 選考者114名による集計
<「キネ旬」外国映画史上ベスト10>
①「ゴッドファーザー」1972年7月
②「タクシー・ドライバー」1976年9月
③「ウェスト・サイド物語」1961年12月
④「第三の男」1952年9月
⑤「勝手にしやがれ」1960年3月
⑤「ワイルドバンチ」1969年8月
⑦「2001年宇宙の旅」1968年4月
⑧「ローマの休日」1954年4月
⑧「ブレードランナー」1982年7月
⑩「駅馬車」1940年6月
⑩「天井桟敷の人々」1952年2月
⑩「道」1954年9月
⑩「めまい」1958年10月
⑩「アラビアのロレンス」1963年
⑩「暗殺の森」1970年10月
⑩「地獄の黙示録」1980年2月
⑩「エル・スール」1983年
⑩「グラン・トリノ」2008年
*選考者121名による集計
いやいや世の中は広い。名作中の名作は、自分も少しは見ていると思っていたが、特に外国映画はほとんど見ていない。日本映画では12作品中見たのは5作品のみ。外国映画では19作品中、見たのは6作品だけだった。
しかし、日本映画の名作が、何と古い作品ばかりか・・・。半分以上の作品が昭和20年代から30年代初期。それ以降半世紀以上を経ているが、この状況はどう理解したら良いのか・・・。最近の映画は、派手だが時代に耐えられる作品では無いという事か・・・。
外国映画も1960年代までの作品が6割を占めている。これも同じ理由か?
先日、NHKスペシャル「チャイナパワー第1回“電影革命”の衝撃」という番組を見た(ここ)。
中国で大々的に展開されている映画産業についてのリポートである。大きなセットと、ハリウッドスターをそろえ、社会的現象にまでしようとする広告宣伝。そこには「ヒット」「高収益」のスタンスしかない。確かにビジネスとしてはそうだろう。見て面白かった・・・、と。でも多分そのような映画は、今日のドタンバタン劇と同じく、直ぐに忘れ去られていくのだろう。「東京物語」や「二十四の瞳」がなぜ残っているかを考えると、答えは明らか。
でも「キネ旬」のこの指標は面白い。日本人の目からみた“史上に残る映画”を紹介してくれたわけで参考にはなる。いつの日か、少なくてもこれらの映画だけは目を通しておく事としよう。
ところで、今日見た「2012」だが、それはすぐ3年後の話。2012年12月21日以降にDVDでこの映画を見る人は、既に“過去の話”をどのような気持ちで見るのだろう?その頃にはもうこの映画は誰も見ない・・、と考えると寂しいよね。
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コメント
私はこれらの中で観たことのあるのは邦画が4作品、洋画も4作品で、エムズさんより少ないですね。文句なく面白いと思ったのは、「七人の侍」と「アラビアのローレンス」だけです。同じ黒澤作品でも「羅生門」は子供のとき、それから20代のときにもう一度観ていますが、その面白さ、素晴らしさがいま一つわかりません。子供のとき観たのは、この映画が戦後はじめて国際賞(調べてみるとヴェネチア国際映画祭金獅子賞とアカデミー名誉賞)を受賞し、わが町の映画館でも上映されたので、母親(だったか?)に連れられて観にいったのです。アメリカ人の友人がこんな素晴らしい映画を観たことがないと激賞したのを覚えていますが、この難解な映画が7位にランクされているところを見ると、日本人の視点からも素晴らしい映画なのでしょう。もう一つ私にとって難解なのは洋画部門7位にランクされている「2001年宇宙の旅」です。CG(コンピュータ・グラフィック)の専門家である友人がこの映画は素晴らしいといって何度も見ているのを知ってるのですが、私には退屈なだけで、だいたい内容が理解できません。この映画についてOKwaveにどこが面白いのか説明してくれるよう質問を出しこともあります(↓)。エムズさんは(ご覧になっているとすれば)いかがでしょうか?
https://okwave.jp/qa/q8357093.html
【エムズの片割れより】
今朝(2017/06/10)の新聞に、「砂の器」コンサートがあるとか。映画の上映と、映画の中で演奏される「宿命」を実際に東響が演奏するとか・・・
もう一度見ようかな、と、昔録画したS-VHSのテープを探してきました。
子どもの頃に見た映画では、お袋が連れて行ってくれた「ベン・ハー」と「十戒」を覚えています。これらと「七人の侍」も、大人になってやっと物語が分かりました。
「2001年・・」は難しくて自分もよく分かりませんでした。
投稿: KeiichiKoda | 2017年6月10日 (土) 11:44