世界の名指揮者ベスト・ランキング2009
今日はクラシック音楽の話・・・
昨日久しぶりに「レコード芸術(2009年)12月号」を買った。「世界の名指揮者ベスト・ランキング2009~50人の評論家と読者が選んだ世界の名指揮者ベスト・テン」という特集があったので・・・。
それによると・・・
<世界の名指揮者ランキング2009>
(カッコ内は、レコ芸1996年3月号の順位)
①ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(①) 336点
②ヘルベルト・フォン・カラヤン(②) 297点
③レナード・バーンスタイン(④) 269点
④アルトゥーロ・トスカニーニ(③) 215点
⑤カルロス・クライバー(⑧) 209点
⑥ブルーノ・ワルター(⑤) 201点
⑦オットー・クレンペラー(⑪) 162点
⑧エフゲニー・ムラヴィンスキー(⑩) 155点
⑨ジョージ・セル(⑫) 107点
⑩ハンス・クナッパーツブッシュ(⑨) 100点
⑪セルジウ・チェリビダッケ(⑳) 99点
⑫カール・ベーム(⑥) 86点
⑫シャルル・ミュンシュ(⑮) 86点
⑭ニコラウス・アーノンクール(25) 75点
⑮カルロ・マリア・ジュリーニ(⑱) 72点
⑮ゲオルグ・ショルティ(⑭) 72点
⑮ピエール・ブーレーズ(⑦) 72点
⑱ピエール・モントゥー(23) 69点
⑲クラウディオ・アバド(⑬) 68点
⑳フリッツ・ライナー(⑯) 65点
まあそうだろうな・・、と思われる順位になっている。個人的なコメントを少々・・・
セルの評価が高い反面、ベームとショルティが低い。そしてここには出てこない小澤征爾が34位。評論家の得点が4点。つまり50人の評論家がベスト10人を選んだ時、1人が9位、2人が10位、残りの47人の評論家は小澤征爾を選ばなかったということ。朝比奈隆が25位なのに比べ、ウィーン国立歌劇場の音楽監督まで務めた割に寂しい・・・。期待と現実との乖離か?
1位のフルトヴェングラーは圧倒的。当サイトでも取り上げた。運命は(ここ)、第九は(ここ)。論ずるまでも無い。
2位のカラヤンは前回の13年前も2位か・・・。自分はどうも“巨匠”という表現はピンと来ないが・・・。でも自分にとって、若い時から身近にいた(?)事は事実。特に高校3年のときに買ったウィーン・フィルとのブラームスの第1番は、自分の頭の中で「標準」となってしまい、その後、誰の演奏を聞いてもフィットしない。動物が一番最初に見たものを親として認識するのと同じなのかも知れない。少し聴いてみよう。
<ブラームス交響曲No.1~カラヤン/ウィーン・フィル>
3位のバーンスタインは自分とはあまり縁が無かった。でも大学の時に手に入れた、ショスタコーヴィチの交響曲No.5は、その迫力に魅了されたもの。
4位のトスカニーニは高校時代にたくさんのレコードを買った。当時、ステレオレコードの出始め。自分の家にはステレオが無かったので、“どうせ買うならモノラルでしか手に入らないものを”とトスカニーニを買った。なぜフルベンでなくてトスカニーニか?“楽譜に忠実”というスタンスが気に入った?でも実際には、テンポがかなり揺れているとか・・・。
5位のカルロス・クライバーは、自分が良く聞いていた学生時代には有名ではなかった。しかしウィーン・フィルとの「運命」はすごいと思う(ここ)。
高校のとき通っていた土浦の駅前に、西武百貨店があった。そこで、時々LPレコードの“訳あり品”の特売セールをしていた。ジャケットの片隅に丸い孔が開いており、キズ物。でも安かったので良く買った。その時、時々見かけたのがエーリッヒ・クライバーのLP。その息子がね・・・・・
6位のワルターは、何と言ってもマーラーの「巨人」。高校3年のときにこのレコードを買ったが、4楽章の冒頭を聴いたとき、ステレオの素晴らしさを実感した。すこし聴いてみよう。
<マーラー交響曲No.1「巨人」#4~ワルター/コロムビア饗>
駅前に本屋があって、音楽の友社の「名曲解説全集」をいつも立ち読みしては、旋律を追っていた。
考えてみると、自分がクラシックにのめり込んだのはほとんど高校、大学の時。特に大学に入るや、トリオの真空管式FMチューナーのキットを買ってきて、自分で組み立て、下宿の庭に大きなFMアンテナを立ててFM放送を聴いた。そのうちオープンデッキを買って、共同通信社発行の「FMファン」という番組表片手にエアチェックし、夢中になって聴いたものだ。
しかし、会社に入ってからはクラシックのレパートリーは増えていない。つまり聴かなくなった。時間が無くなったせいもあるが、寮が2人部屋だったりして、聞くムードでは無かった?
そして定年近くなって、時間に少し余裕が出来てから、昔聞いた音源を懐かしく聴いているのが今・・・、というワケ。
同じ「レコ芸」の12月号に、「再登場した『ヴォックス』からホーレンシュタインの第九」という記事があった(p353)。何とも懐かしい・・。自分が30cmLPを買ったのは、中学3年の時のアンセルメの第九が最初。それ以前は、ビクターから発売さていたVOXというレーベルの、17cmEP盤に33回転で詰め込んだレコードを買っていた。安いので・・。そこで演奏していたのが、このヤッシャ・ホーレンシュタインであり、プロ・ムジカ管弦楽団、バンベルク交響楽団だった。そしてバイオリンはイヴリー・ギトリス。何と彼は今87歳で、来日中とか・・。この人の独奏で、色々なバイオリン協奏曲を聴いたものだ。
ともあれ、クラシックを聴くと学生時代を思い出す。その時はまさに貪り聴いていたが、それ以降は成長の無い我がクラシック歴である。
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コメント
はじめまして 「エムズの片割れ」様
世界の指揮者のお話楽しく読ませてもらいました。40年も前の学生時代の先輩の話を聞いているようで無性に懐かしく思いました。
最近、60歳は耳順だと教えられて、今までに少しずつ集めたCDを聞き直しては新しい発見をしています。ブログ末永く続けてください。
投稿: wolfy | 2009年11月25日 (水) 13:49
wolfyさん
コメントありがとうございます。
「耳順」という言葉を教えて頂き、現在「研究中」であります・・・。
投稿: エムズの片割れ | 2009年11月25日 (水) 22:36
世界の名指揮者ランキング、
懐かしく読ませていただきました。
小生にとっては、
フルトベングラー
トスカニーニ
ぐっと離れて、ワルーターでした。
もう一人、メンゲルベルクがいましたが、ランクに出ていないのでしょうか。ナチスの協力者というところでは、「黒」。フルトベングラーの「灰色」とは異なるのでしょうね。
小澤征爾は相変わらず日本人評論家には嫌われているようですね。NHKに遠慮しているのでしょうか。
投稿: Mdayon | 2010年2月15日 (月) 19:30
Mdayonさん
コメントありがとうございます。
自分が中高生のとき、クラシックを聞き始めた頃の好きな指揮者は「譜面に忠実な(?)」トスカニーニでした。その後は、音の良さの影響大で、ショルティとか・・・。カラヤンはとうとうあまり好きではありませんでした。
実は最近の若手指揮者はほとんど知りません。録音の良し悪しは置いて、往年の名演奏をじっくりと聞くようになりました。
投稿: エムズの片割れ | 2010年2月18日 (木) 20:28
クラシック、指揮者、名盤ランキングでこのサイトにたどり着きました。貴重な音源を聞かせていただき有難うございました。
私も高校生の頃オープンリールデッキでFM放送から録音しましたが、今はほとんど再生できず眠っています。
これからも楽しいサイトを是非続けて下さい。
【エムズの片割れより】
コメントありがとうございます。
どうも同じ世代のようで・・・。当方も若い頃のエアチェックをまたやろうかと、色々と探っています。でも番組はクラシックでなくて歌が目的・・・。
Netで探してみると、アナログレコードを聴いている人も結構いるようですね。
投稿: 団塊の片割れ | 2010年7月14日 (水) 00:11
高校生までは、カラヤンばかり聞いていたな。まさに帝王。圧倒的商業主義の時代。音楽を聴くというよりカラヤンという名前を聞いていたんだな。
大学に入学して、丸山真男を読んでフルトヴェングラーのレコード聞いてから、改宗した。プロテスタントへ。丸山はルターだったのかな。1978年にカラヤンを処分した。
ここにお邪魔して、30年前のことと思い出した。懐かしくなったので、コメントしました。
【エムズの片割れより】
自分も40年前は、カラヤンは何か商業的で、あまり好きではありませんでした。でも現代の指揮者に比べると、まだ正統派だったのかも・・・
投稿: furt | 2010年12月18日 (土) 17:25
指揮者と言えば、『そりゃ君、フルトヴェングラーならぬ”振ると面食らう”だぜ』とあるアマチュア指揮者に先生が注意したことが昔昔あった。私はこの方面はさっぱり分からない、が、囲碁に似ていないかと思うことがある。部分と全体の両方を視野に入れつつその間を絶妙に按配しつつ構成と言うきわどいことを行う。エンジニアの世界にはこれが頻繁にある。相互に矛盾する要素を如何に高いレベルでバランス取って機械や構造物を組み上げるかが設計者の能力である。且つそのようにして出来た飛行機、船、車は一目見て『美しい』。そしてこの方面はどうやら男の専売特許のようだ。
【エムズの片割れより】
まだまだ収束しない福島原発。「想定を越えた」「エンドレスの想定では、設計などできない」・・・
自然を相手にどうバランスを取るか・・・。なかなか難題です。
投稿: yakata1578 | 2011年4月 3日 (日) 12:00
やはり、音楽的要素での実力からみると、大野和士でしょう。ま、小林研一郎や秋山和慶もいますが、山田和雄さんを除いては、朝比奈隆や渡辺暁雄、その他の邦人は音楽上の基礎的実力からみると、未熟な水準と言えるでしょう。
【エムズの片割れより】
渡辺暁雄・・・、懐かしい・・・。中学生の頃、テレビで午後に番組がありました。食い入るように見たものです。
佐渡 裕氏はどうですか?ベルリンフィルとのショスタコービッチの5番には、感心しました。
投稿: おしんオバマ | 2014年11月27日 (木) 00:57