五輪招致活動と障害児の教育行政
今朝の新聞を読んでいたカミさんが「これをblogで取り上げたら?」という。朝日新聞の「声」への投稿記事である。曰く・・・
「障害児の将来砕く教育行政
無職 女性(東京都足立区 40)
脳性まひを持つ12歳の長男の車いすを押しながら、商店街にはためく「オリンピックを東京に」の文字を見る度に切ない気持ちになった。
4年前に夫が3人の幼子を残して病死。私も持病があり、働くことは難しい。そこで救いなのは息子の通う特別支援学校の敷地内にある寄宿舎だ。通学が困難な障害児が放課後から翌朝の登校まで過ごす。単なるケアではなく仲間や先生との丁寧なかかわりの中で得がたい社会性を身につけることができるのだ。
しかし、都教委は現在9カ所ある寄宿舎を13年には5カ所に減らそうとしている。親子で存続を求める署名や請願をしてきたが、都議会文教委員会でも請願は不採択になった。財政再建の犠牲になったのではないかと思っている。
五輪招致に敗れ、石原都知事はその費用150億円について「財政再建の余剰分であり、東京の財政は痛くもかゆくもない」。5年後の息子たちとの暮らしが見えない。」(2009/10/17朝日新聞p16「声」欄より)
同じ朝日新聞の「オピニオン 異議あり~記者の視点」で、五輪招致についてこんな意見が載っていた。
「五輪招致 国内啓発はもうやめたら?
平井 隆介(スポーツグループ)
・・・・東京の支持率が低迷した大きな理由は、150億円もの巨額な招致活動費だったように思う。うち95億円は国内の機運盛り上げや普及活動のための「ムーブメント推進経費」だった。詳細な使途は都が今後自ら検証する予定だが、大半はアスリート(競技者)を呼んだイベントを開いたり、のぼり旗をつくって招致ムードを盛り上げたりするのに使われたという。
・・・広島・長崎でも東京でも、国内向けの啓発事業はやめたらどうか。招致活動費を減らし、無駄をなくすことにもつながる。
もしそれでも国内支持が広がらないなら、競技場ではなくテレビで見られれば満足というのが今の日本人の考え方なのだろう。だとしたら、そういう国の都市が無理して五輪を呼ぶ必要はない。」(2009/10/17朝日新聞p17より)
この平井氏の結論は実にもっともだと思う。都が大金を使ってムードを盛り上げ、それでも招致しなければいけないものだったのかどうか・・・。都の検証は、身内なのであまり期待はできないが、一歩踏み込んで検証して欲しいもの。これは都議会の民主党がどう目を光らせることが出来るか・・かな?
しかし、先の投書の指摘は深刻だ。“石原都知事がやりたいこと”と都民がやって欲しいこと、との乖離・・・。鳩山政権はモノより人に金を遣うと言っている。これはこれで期待したい。しかし一方で、今回の都の五輪招致活動を見るに、都も国会と同じような大改革が必要なのかも?
半藤さんは、太平洋戦争突入は国民が熱狂したのも一因、と指摘している。つまり国民も悪いのだ。同様に都知事も都議会も都民が選んだ結果。よって都民にも責任はある。
Wikipediaに07年4月の都知事選での石原さんの選挙公約が載っていた。そこに「2016年に東京オリンピックを招致」とあり、それで「投票の過半数にあたる281万票を得て、東京都知事に三選」・・・。ウーン・・・。自分も都民・・・
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コメント
声欄記事投稿の障害児の母です。心にとめて下さってありがとうございます。
今月11日の都の発表でいよいよ長男の学校の寄宿舎が潰されると判明しました。http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr101111tok.htm
(東京都教育委員会)
要請行動等行っておりますが毎日生きた心地がしません。少しでもお力添え頂ける可能性があればメール頂けると幸いです。
【エムズの片割れより】
そうですか・・。日本の福祉も、北欧並みとは言いませんが、少しでも改善の方向に動いてくれると良いのですが・・。
投稿: ホリカワです | 2010年11月20日 (土) 21:28