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2009年10月 8日 (木)

JR東の“お役所体質”~台風での運休に思う・・・

今朝は、台風18号が愛知県に上陸して長野から東北に向かった。本土上陸は2年ぶりだとか・・。その影響で朝のJRが大混乱。
朝のニュースによると「JR東日本や東海などによりますと、在来線の一部の特急列車が始発から運休しています。その他、都心では京葉線が本数を半分ほどに、東海道線・中央線・埼京線なども本数を減らし、通常の5割程度の本数での運転となっています。」
JR東日本のHP。「中央本線の高尾~塩尻駅間は、台風の影響で午前中の全列車運休となります。(10月8日4時51分 配信)」~何と台風が来る大分前に“決定”!
そして極め付きが「JR東日本によると、午前8時現在、風速が規定値を超えたなどの理由で、山手線で内回り、外回りともに運転を見合わせた。」

今朝乗った通勤電車。まだ風も強くなく、雨もほとんど降っていないのに、中央線の快速電車は始発から大幅に間引き運転。そのため、電車はどれもすし詰め状態。久しぶりに身動きの取れない状態を体験。降りるのも人を掻き分けて、それはそれは大変・・・・。せっかく治りかけた五十肩をまた痛めてしまった・・。
フト疑問に思った。まだ何の影響も無いのに、なぜ電車の本数を大幅に減らす?まだ影響が無いのに、早々と運休を決めたのはなぜ?
やっといつもの駅で降りて、改札口の駅員に聞いてみた。「まだ影響が無いのに何で本数を減らすの?」 駅員曰く、「これから台風が来るのが確実なので、電車がじゅつ繋ぎになるのを避けるために本数を減らしている」。
Netで見ると、JR広報の公式見解は「また台風の接近や大雪など、あらかじめダイヤの乱れが予測できる場合は、駅と駅の間で電車が立ち往生するリスクを避けるため、先駆けて運転本数を減らしたりもします。」というものらしい。
乗り継ぎの京王線は普段と全く同じ。まあ当然だが・・・。降りた京王線の駅で聞いてみた。「JRは本数を減らしているが、京王線もするの?」「その予定はありません」「何でJRだけ減らしているのだろう?」「JRさんの事は分かりません」。そりゃそうだ・・・

会社に着いて、Netで各社の運行状況を見てみたら、西武、東武、京成、相武、京王・・・軒並み平常運行。一方、JRの関東の運行状況を見て目を疑った。9時現在、関東地方のJRは全面マヒ状態。つまり関東地方のJRの9割近くが「台風の影響で、上下線で運転を見合わせています・・・」。外を見ても、それほど風は強くないのに・・・。しかも地方だけでなく、山手線、京浜東北線、中央快速線、総武線まで全部ストップ。

これは何だろう?JRは自社のルールで自動的に運行停止。しかし隣の私鉄は動いており、私鉄に振替輸送・・? 何かヘン・・!
家に帰ると夜のNHKニュースでこの事を取り上げていた。京浜東北線とパラに走っている京急に客が振替で殺到し、ホームに人があふれて電車から降りられなくなった為、1時間半止まったという。京急の利用者にとってはエライ迷惑・・。
NHKニュースによると、並行する私鉄が運行しているのにJRが止まった原因は、JRが、たくさん設置してある風速計が25m以上を記録したため、規則によって止めたとか・・・。前に起こした脱線事故の教訓だって・・・

これらの一連の動きを見ると、JRと私鉄との「意識の差」を感じないわけにはいかない。私鉄の運行状況を見ると、“何とか運行したい”という意識を感じる。東京メトロも「また今後、地上区間で強風が発生した場合は、・・・」であり運転が前提。JRのように「台風が来る“らしい”のでヤ~メタ」という姿勢はない。つまり、「何とか平常運行を・・」という私鉄と、「予想されるので運休・・」というJRのあっさりした姿勢の大きな違い・・・。結果、JRの利用者は殺人的な混雑や、全面運休で移動の手段を奪われたり・・・。

一般市民としては、同じような路線では、JRも私鉄も同時に止まるのであれば、仕方が無いか・・、とも思えるが、JRだけが止まるのは何とも解せない。
JRは民営化されて随分良くなったとも言わていれる。しかし今朝の「顧客」のことを考えているとは到底思えない“四角四面の姿(全体の状況を考慮せずに、自社の規程を最後まで守り通した姿勢)”に、JRの意識は“まだまだお役所的”だな、と感じた。顧客に最大限迷惑をかけないように努力する「顧客志向」の意識が、今後より強化される事を期待したいが・・・。

(2009/10/9追)
今朝の朝日新聞に、昨日のJR東の大規模運休についての記事があった。05年12月の突風による事故により、運休する風速の規程を従来から5m下げたのだという。
「JRばかり運休 なぜ?
台風18号が本州を縦断した8日、首都圏では通勤ラッシュ時に晴れ間が見えていたのに鉄道のダイヤは終日乱れた。JR東日本の大半の路線が運休し、乗り入れている私鉄や地下鉄まで影響を受けたからだ。JRだけが動かなくなった背景には、鉄道事故で運転規制を強化した経緯がある。
東京都と神奈川県を結ぶ京急電鉄は午前9時半から約1時間半、運転を見合わせた。だが、同社は「運休したJRからの振り替え輸送客で混雑したことが原因。社内で規定する運転規制の風速には達していなかった」と説明する。
並行するJRの東海道線は午前6時54分、神奈川県の二宮―国府津間が運休。運休区間は広がり続け、全線復旧まで約5時間を要した。
JR東は現在、風速が毎秒20メートルを超えると徐行運転し、同25メートル超で運休する規定だ。05年12月に羽越線(山形県)で突風を受けた特急電車が脱線・横転して乗客5人が死亡。06年1月に従来の規制値を同5メートルずつ厳しくした。また、昨年度末現在で在来線の風速計を羽越線事故時の3倍に当たる674基設置した。担当者は「風速計が増えるほど、運休したり復旧が遅れたりする面はある」と認める。
この結果、首都圏の在来線だけでも過去最大規模の約2600本が運休、約296万人に影響する事態になった。
今回の影響について、JR東は「お客さまに迷惑をかけたのは申し訳ないが、安全を優先させた結果だ」と説明している。(小林誠一) 」(2009/10/9付朝日新聞p39(ここ)より)

規程はJRも私鉄も同じ25mらしい。しかしJRだけが止まったのは、風速計の数の違い?それとも風速計のデータの扱い(一つでもオーバーしたら止める?)の違い?
現場の状況がどうであれ、隣の私鉄が動いていようが、自社の「規程」を守ることが最優先・・。法治国家なので、そりゃそうだ。しかし、ビル風のように風速計の設置場所によっては異常値を示す場合もある。そして、それらの状況を加味して判断を下すのは人間。その人間が“規程”を根拠に、そして“安全”を金科玉条に簡単に運転を止めるのであれば、判断する人間は不要になってしまう。機械的でない、もう少し現場の現況を加味した人間的な判断(規程はそうだが、途中で様子を見ながら運転再開)は出来なかったのだろうか、と疑問が残った。

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