高峰三枝子の「宵待草」
今日はなぜか「宵待草」・・・
先日、実家に帰ったとき、お袋が10年以上前に亡くなった親父の遺品であるLPレコードを何とかしろ、という。今更LPレコードでもないが、貰うLPがあるかどうか見てみたら、案の定、懐かしのメロディーと叙情歌ばかり。しかも倍賞千恵子のレコードが多いこと・・・
その中に「歌でつづる日本映画史」というLPがあり、高峰三枝子が歌った「宵待草」があった。これは昭和13年の松竹大船映画「宵待草」の主題歌である。少し聴いてみよう。
<高峰三枝子の「宵待草」>
「宵待草」
作詞:竹久夢二
西條八十(2番)
作曲:多 忠亮待てど 暮らせど
来ぬ人を
宵待草の
やるせなさ
今宵は月も
出ぬそうな暮れて 河原に
星ひとつ
宵待草の
花がちる
更けては風も
泣くそうな
この映画は、夢路が亡くなって4年後に、この歌にあやかって企画された映画だとという。
このLPの解説にはこうある。
「昭和13年8月11日、大阪劇場封切り。物語は、旅廻りのレビューのスター高峰三枝子と夏休みで帰郷している学生(夏川大二郎)とのロマンスを描いたものでした。高峰三枝子がレコーディングする時、竹久夢二の歌詞だけでは短いので、西條八十が二番を補足しました。後年、詩人は「月見草の花は散らないで、しぼむので『花は散る』の個所は『花の露』と改めたい。」と洩らされていました。」
そんな事もあって、西條八十の2番の歌詞は、その後ほとんど歌われないという。確かに自分はこの歌の音源を12種類持っているが、2番を歌っているのは映画の主題歌としてのこの高峰三枝子盤だけ。その意味では貴重な音源かも知れない。
ところでNetで調べてみると、「宵待草」という花は無いそうだ。「マツヨイグサ(待宵草)」がその花らしい。しかし「宵待草」という語感が何ともロマンチックで良い。
さっき、(5連休を惜しんで?)夕食後に愛犬を連れて近所を散歩してきたが、風も秋の風情で何とも心地よい。(息子が帰って、やっと静かになったせいもあるが・・・)
そして「宵待草」は5月の花らしい。でも何となく自分は、今の季節に似合う花のような気がする・・・。
最後にお口直し(失礼)で、中村邦子の歌で元祖(?)「宵待草」を聴いてみよう。大正7年の出版というが、まさに日本歌曲の不朽の名作である。
<中村邦子の「宵待草」>
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コメント
夢二館で買った「宵待草」の色紙があります。
子供の頃、竹久夢二の日めくりカレンダーがありました。
その中の「靴下」の詩が好きで覚えていたのですが、
忘れていたので調べたら「青い小径」にありました。
http://www.nextftp.com/y_misa/
それどころか小椋佳が曲をつけているのですね。
聴いたことがありません。
投稿: なち | 2009年9月24日 (木) 09:26
中村邦子さんの「宵待草」素敵ですねぇ。肩上げをおろした本裁(ほんだち)の浴衣を着た少女から大人になる間の自分を思い出します。
月見草の花を始めて見たのも丁度この年頃でした。ほっそりとか細い身体と心、憧れの美しい青年が、夏休みに帰省するのを待つ気持ち、この歌を聴いていると、涙が滲んできます。宵待草のやるせなさ・・・夢見る少女に戻ります。エムズさんありがとうございます。
投稿: 白萩 | 2009年9月25日 (金) 21:45
何とも言えないぐらい可憐で心に滲みいる日本を代表する名曲ですね。you tubeには、ざっと見ても、李香蘭、関屋敏子、高峰三枝子から倍賞千恵子、由紀さおり、小鳩くるみ、フォレスタ、そして、森昌子や田川寿美まで時代やジャンルを超えた歌手の競演が繰り広げられています。その中でも私にとって出色はアルフレッド・ハウゼ楽団の演奏です。弦を中心に原曲にもないようなメロディを組み入れて編曲され、この上なく美しい演奏になっています。背景には、竹下夢二の石碑や美しく揺れ動く芙蓉の花、夢二の描いたいくつかの美人画が次々と画面を飾り、最後に夢二の詩碑で終わっています。おそらくLPから大変工夫して作成し投稿されたものと思いますが、今はもうCDでも手に入らないのではないでしょうか。皆様にも是非一度聴いてみていただきたいと思っています。
【エムズの片割れより】
ハウゼの演奏を初めて聞きました。な~るほど・・・
投稿: 山下仁平 | 2015年10月23日 (金) 21:24