国立モスクワ合唱団の「仕事の歌」
先日テレビで、国立モスクワ合唱団の東京オペラシティでの公演の模様を放送していた。ロシア民謡は、昔は良く歌ったり聞いたりしたものだが最近はあまり耳にしなくなった。幾多あるロシア民謡の中で、“迫力”を感じる「仕事の歌」を聞いてみよう。
<国立モスクワ合唱団の「仕事の歌」>
「仕事の歌(ドゥビーヌシカ)」
ロシア民謡故郷で聞いた たくさんの歌
喜びの歌 悲しみの歌
その中で忘れられぬ一つの歌
それは仕事仲間の歌
(*)
エフ エフ ドゥビーヌシカ ウーフネム
エフ 丸太がくずれるぞ
引っ張れ 引っ張れ
ダー ウーフネム私が聞いたこの歌 仲間は歌う
丸太を桁に組み上げながら
不意に崩れる丸太 呆然とする仲間
下敷きになった 若者ふたり
(*)ヴォルガ河で 砂に埋もれ
足や背を祈り
胸を痛め それでも楽に引っ張れるように
歌うのさ おれたちのドゥビーナの歌
(*)時いたれば 民衆目覚め
頑丈な背をまっすぐに伸ばし
幾世紀も のしかかる重圧を振り払い
ドゥビーナを力強く振り上げるだろう
(*)
・ドゥビーヌシカ(ドゥビーナ)=「棍棒」「丸太ん棒」または曳綱を巻くロクロの軸木の意。荷役人夫の労働と深い関わりのある道具であり、ツァーリの圧制に抗して蜂起した民衆たちの武器になった。
・ウーフネム=力仕事をする時のかけ声
*歌詞はボグダノフが1865年に発表したものを85年にオリヒンが改作して後、革命歌として一般に広まった。世界的バス歌手シャリアピンのレパートリーでもあった。リフレインの部分が本来の「ドゥビーヌシカ」であり、ヴォルガの舟ひき人夫の労働の歌であったものである。(出典:CDの解説書より)
ロシア民謡は、昔の「歌声喫茶」で良く歌われていたが、ロシア人の歌うこの「仕事の歌」は、一般的なロシア民謡とは違って、何か重々しく迫力があった。
10数年前、ロシア民謡のCDを買おうと探したが、デジタル録音のCDがなかなか見つからなかった。昔の古いアナログ録音ばかり・・・。それで、何とか手に入れたのがこのCDだった。
唱歌・童謡もそうだが、Jポップ全盛の現代では、この手の歌は“別世界”に隔離されてしまったような感がある。でも先日の東京オペラシティでの国立モスクワ合唱団のコンサート(2009年6月2日公演)の模様をテレビで見て、まだまだロシア民謡は廃れていないな・・・、と思った。
還暦過ぎのリタイア組が、昔の歌声喫茶活動(?)を始めたようなニュースも聞く。自分がそれに参加するとは思えないが、昔の歌を懐かしむのは、自分だけでは無いようである。
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