「今年(H21年度)の経済財政白書の読み方」
少し前の記事だが、先日の日経新聞のコラム「大機小機」に「今年の経済財政白書の読み方」という記事があった。曰く・・・
「今年の経済財政白書の読み方
経済財政白書が発表された。基本的には時代の要請に応えた力作だと思う。特に評価すべき点は、世論に迎合しない姿勢を貫いていることだ。例えば次のような点だ。
第1は、外需か内需かという議論である。2008年度後半以降、外需の落ち込みによって景気が大きく停滞したため、世の中では「外需主導から内需主導への転換が必要だ」と指摘する人が多い。しかし白書は、今後の新興国における需要拡大などを考えれば、外需は依然として重要な成長のエンジンであり、「外需と内需の双発エンジン」で回復を目指すべきだという。
第2は、非正規雇用と格差の議論だ。世の中では「規制緩和の行き過ぎが非正規雇用を増やし、格差社会をもたらした」とし、「非正規としての雇用を規制すればよいではないか」と簡単に言う人が多い。しかし白書では、「非正規雇用が増えたのはここ数年の現象ではない」「非正規雇用が多様な就労ニーズの受け皿として機能した面がある」「厳しい雇用保護規制は非正規雇用比率を高め、平均失業期間を長期化させる効果がある」「失業の増大こそが格差拡大の原因であり、景気回復が最大の格差対策である」といった議論を展開している。
第3は金融危機への対応をめぐる議論である。選挙を控えて、各党の政策はどうしても歳出拡大型になりやすい。こうしたなかで白書は、出口をどうするかも重要だと指摘し、「景気回復後に財政再建にどう取り組むか、十分な検討が必要だ」と説明する。
また、短期的な危機対応だけではなく、今のうちから危機後の成長を見すえた対応が必要であると説き、フィンランドやスウェーデン、韓国などの例を引きながら、「危機後にも生産性を高め、競争力を強化するためには、研究開発や人的資本への投資を怠らない事が基本だ」と論じる。
いずれも正統的分析に基づく適切な指摘である。ホットな経済問題が出現すると、経済論議もまたホットになりがちだが、白書はクールな姿勢を貫いていて好感が持てる。
こうして見てくると、今年の白書は、来るべき政権に対して、経済政策のあるべき方向を伝えようとしているようにも思える。選挙の結果、どの政党が政権を担うにせよ、経済政策運営の責任を担うこととなる人は、この白書を熟読玩味し、経済政策の運営に誤りのないようにしてほしい。(隅田川)」(09/7/31日経新聞「大機小機」より)」
自分はこの記事を、新鮮に(?)読んだ。なぜかというと、“新聞は何でも批判する”と思い込んでいる自分が、珍しく官僚にエールを送っている記事を見つけたから・・・・
今回の衆議院選挙の各政党のマニフェストを見ても、世間迎合の姿勢は痛々しいくらい・・・。民主党の言っている「子供手当て」は中学生まで子供1人当たり26千円を支給すると言う。まあこれは、前に当blogで取り上げた「子ども1人に月10万円支給したら?」(ここ)という大和証券 清田会長氏の論と似ているが、高速道路無料化などは、まさに世論迎合だろう・・。
その点、この白書は経済政策の真髄を突いているらしいので“○”なのだろう。(言っておくが、自分はこの「白書(これ)」を読む気ナンテさらさらな~い・・)
でも人間は弱いもので、その立場になれば直ぐに「迎合」するのは世の常。「選挙」などはその代表例だ・・・。まあ選挙に落ちて「タダの人」になりたくないので、ただただ当選を目指すのは致し方ない??
まあ、うがった見方をすれば、この白書を書いた官僚は、逆に“弱い立場にない”ので正論を張れた・・、とも言える??
昔、こんな事を聞いた事がある。野党は、与党の言う事は「まずは反対」。それから理由を考える・・・。本当かどうかは知らないが、こんなスタンスは、“打たれても耐えられる施策”にブラッシュアップする事は出来るだろうが、反対のための反対だと、何とも不毛だ。
今度の選挙で、世間に迎合しない“真のリーダ”を期待したいところだが、サーテどうなるだろう・・・
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