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2009年6月23日 (火)

裁判の傍聴記

先日、初めてホンモノの裁判を傍聴した。(参考:ここ
テレビ番組では良く見る裁判の風景。でもたぶんほとんどの人はホンモノの裁判を見たことは無いだろう。なぜって、裁判の当事者になって証言台に立つチャンス(?)はほとんど無いから・・・。
前から一度ホンモノを見たいと思っていた。それがひょんな事から実現した。場所は東京地裁。道路交通法違反事件。つまり“酒気帯び運転”である。

地下鉄霞ヶ関駅で降りて東京地裁へ。入り口で手荷物検査。空港の手荷物検査と同じ設備。カバンをトレーに乗せてX線検査。そして金属探知機のゲートをくぐる。検査の人との会話はひと言。「携帯電話は?」「カバンの中です」・・。財布も腕時計もベルトもそのままだったが、金属探知機は作動せず、そのままOK。空港と違って大分ゆるいらしい。まあ前はフリーだったというし、「録音機・カメラは持ち込めない」といっても、携帯電話を全て預かるわけにも行かないのだろう・・・。

5分前にそうっと傍聴人入り口から目指す法廷に入る。何やら弁護人と検察官が打合せをしている・・・。正面に裁判長席、その一段下に書記官、左手に検察官と事務官、右手に弁護人。傍聴席は20席で、被告人と証人のその妻がいた。本当の傍聴人は自分の他に1人。後で3人位入ってきた。
シーンとした法廷。空調機の風の音だけが聞こえる。定刻を2分位過ぎて裁判官が入ってきた。そして事務官の号令で起立・礼。裁判官の「お待たせしました。これから・・・の審理を始めます」でスタート。
被告人を証言台に立たせて、①「人定質問」~住所氏名等の確認。本籍も正しく言えないといけない。裁判官が親切に証人が言うべき段取りを細かく教えてくれるので、分かり易い。
②「検察官の起訴状朗読」~起訴事実を読み上げる。この事件は、1年前に酒気帯び運転で30万円の罰金を受けているのに、また同じ酒気帯びで捕まったため、今回は略式ではなく正式裁判になった、という。でも正直、検察官の棒読みにはビックリ。確かにつまらない事件かもしれないが、“告発するぞ”というの迫力が無く、あまりに淡々とした口調。副検事さんが慣れ過ぎでは・・・?
③「黙秘権の告知」~裁判官が、“言いたくなければ言わなくて良い。黙っていても良い。しかし言ったことは全て証拠となるので注意して発言するよう”告知する。実にはっきりした口調で言う。さすがプロ・・・。(裁判官は会議の司会役だな・・・)
④「被告人の罪状認否」~被告人が「検察官の言った通りだ」と答える。
⑤「弁護人の罪状認否」~弁護人も争わないと答える。
⑥「検察官の立証」~調書の要旨の朗読。これも迫力が今ひとつ・・・。アルコール量のデータや、警察での取調べの調書が証拠として出されているらしい・・・
⑦「弁護人の立証」~“情状証人の尋問”。傍聴席から被告の奥さんが呼ばれて証人台に。そして「ウソは言わない」旨の宣誓。そして弁護人の質問に答える形でのQ&A。これは事前に練習していたらしく、検察官・裁判官が聞きたいであろう質問も含めて整理して明確に質問し、答えていた。そして“被告人質問”。おなじ形で弁護人とのQ&A。これも練習通り? まあ事件が酒気帯び運転なので、争うよりも、刑務所に行かない為に、執行猶予が付くかが問題らしかった。
⑧「検察官の論告・求刑」~再犯の恐れがあるとして5ヶ月の求刑。
⑨「弁護人の弁論」~早口で、本人は反省しており、妻の証人通り普段は真面目な人間なので、寛大なる判決を・・・・と。これもその場で事務官が、弁護人からの書面を検察官・裁判官に配布しており、それを読むので、だらだら読むことは無く、早口で読んでいた。
⑩「結審」~最後に、裁判官がかなり具体的に被告人に対して諭していた。酒を飲んで運転する事の怖さ。それで刑が重くなっていること・・・・等々。犯した罪に対する被告人への言葉。これ程までに親身になって諭すとは、裁判官は大変だ・・・
そして次回に判決を言い渡すとして、次回の日時の確認をして終結。

全部で40分位・・・。これが裁判か・・と、初体験。たかが酒気帯び運転と言うなかれ。2回目はこうなる。そして、この裁判がうまく行かなければ実刑で刑務所行き・・・。まあ今回はたぶん執行猶予が付くだろうとのこと。でもその期間中に再再犯だと・・・、即刑務所だな・・・・

この5月21日から裁判員制度が始まった。我々も、いつその場に身を置くか分からない。今回は、別にそれを想定して行ったわけではないが、“社会勉強”として一生に一度くらい裁判所の雰囲気に触れることも悪くはないだろう・・・と思って行ったわけ。
本当に裁判はオープン。傍聴が趣味の人も居るらしい。確かに人生のヒダは分かる・・。
それと、少なくても自分は酒を飲んでの運転は絶対にしないと思う。このような場に出る位なら、何があっても飲んだら運転しない・・。まあ、そう思ったことも、今回傍聴の“成果”かも・・・・(追:地下の食堂は安いらしい。今回は見学だけだったが、次回は地下食堂で食べようかな・・・)

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